英国で最も尊敬されている音楽プロデューサー/DJの1人である
アンドリュー・ウェザオール(Andrew Weatherall)が死去。彼のマネジメントは声明で、「アンドリュー・ウェザーオールが2月17日の早朝、ロンドンのホイップス・クロス病院で亡くなったことをお知らせいたします。死因は肺塞栓症でした。彼は病院で治療を受けていましたが、残念なことに血栓が心臓に達しました。彼の死は急なものでしたが安らかなものでした」と発表しています。ウェザオールは56歳でした。
アンドリュー・ウェザオールは英ウィンザー生まれ。地元でポスト・パンク・バンドのヴォーカリストとなり、1980年代後半に影響力のある同人誌Boys Ownを共同設立した後、ウェザオールは当時のダンスミュージックで急成長していたアシッドハウスに没頭する。
ウェザオールは90年代前半のアシッドハウス/マンチェスターシーンの中心人物であり、アシッドハウスクラブShoomでのDJキャリアと並行して、
ニュー・オーダー(New Order)「Worlds in Motion」、
ハッピー・マンデーズ(Happy Mondays)「Hallelujah」などのリミックスをリリースし注目される。ウェザオールはビョーク、マニック・ストリート・プリーチャーズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなどもミックスした。
中でも
プライマル・スクリーム(Primal Scream)の初期曲「I'm Losing More Than I Than I Have Had」を再分解し、全く新たなサウンドとして生まれ変わった楽曲は「Loaded」としてリリースされ大ヒットを記録。マンチェスター・ムーブメントを代表する楽曲となった。プライマル・スクリームが1991年にリリースしたアルバム『Screamadelica』はウェザオールのプロダクションとリミックスにより、この時代を定義するアルバムとなり、1992年に最初のマーキュリー賞を獲得した。
ウェザオールは
セイバーズ・オブ・パラダイス(Sabres of Paradise)や
トゥー・ローン・スウォーズメン(Two Lone Swordsmen)を含む複数のグループでも活躍。またJunior Boy's OwnやRotters Golf Clubといったレコードレーベルも設立した。
2006年には、デビューソロEP『The Bullet Catcher's Apprentice』を、2009年にはデビューソロアルバム『A Pox on the Pioneers』をリリースするなどソロ名義の作品もリリースした。最後のアルバムは2017年の『Qualia』だった。
訃報を受け、さまざまなミュージシャンらが追悼コメントを発表しています。