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先月購入した本のなかでも、とりわけ懐かしい一冊、否、二冊。
『百科』と名乗っているが、例のケイブンシャのシリーズではない。本家「ドラえもん」と同じく、小学館「てんとう虫コミックス」に入っていた。
「ドラえもん」人気が急上昇した時期、テレビアニメ化、映画化に合わせた企画で、「コロコロコミック」掲載時、リアルタイムで読んでただけに懐かしさもひとしおだ。

自分らの世代はたいてい、この「百科」を通じて「ドラえもんの耳は、ネズミにかじられてしまった」「そのショックで体が青色になった」のを知ったと思う。
それら設定の大半は、実は藤子不二雄氏のアシスタントだった方倉氏がこの「百科」で勝手に作ってしまったのを、藤子先生自身が「公式設定」として追認したものだったらしい。

ご覧のとおり、ドラえもんの解剖図までしっかり載っている。腹の真ん中に思い切り「原子ろ」って…ドラ、原子力で動いてんのか、危険極まりないな(笑)。
しかし、彼の誕生(というか製造)は22世紀、2112年ということで鉄腕アトムやエヴァンゲリオンよりさらに100年後、福島の災厄もサード・インパクトも生き延びた人類が作りだしたんだから安全性は格段に進歩してるのだろう。どら焼きまで「原子力エネルギー」に変えてしまい、しかも放射性廃棄物も出さないとは! 夢のようです。
他にも、のび太の部屋の間取りや、タイムマシンの動力原理が数式でキチンと解説されていたり(リーマン空間なんて用語も出てくる)、9頭身のハードボイルドなドラえもん(汗)まで描いていたり、全てについてやり過ぎ感充溢の、今となっては希少な?一作。
つまりは、ウルトラ怪獣に対する大伴昌司、にも似た役どころを方倉さんはここで務めていると言っていいのだろうか。


作者の方倉氏が、恩師藤子F氏が亡くなって程なく、やはり若くしてこの世を去られたと知ったのはつい最近のことである。