これ、Changing the World Child by Child で、赤ん坊を小学校につれてきて、1年の変化を観察し、その体験によって子供の情感を発達させ、燐人愛を育てる教育法です。この事業をやってるのが、カナダにある非営利法人「Roots of Empathy: 感情移入の根」です。ホームページからピックアップした概要は、末尾につけておきました。
井上英之さん(慶応、ETIC.)から来たメールで、このような事業が日本で広がらないことに怒ってます。怒りはこうです。
「思うのは、ほんとうに日本にこのくらいのプログラムはないんだろうか?
実は、意外とあるんだけど、ないのはLeverage していく仕組みだけなんじゃないか?
良質のプログラムがあっても、その展開に対して投資する動きがない。
だから、小さな火種がより大きく成長する機会を逸して、しぼんでいくのでは?
そういうお金を動かす、仕組みがない。
政府でも財団でも、金持ちでも、地域の有志でもいい。そういうものがないから、成長できないのでは?」
ごもっとも。
カナダの経験では、「Roots of Empathy」の事業は、即効性があり、効果が大きいようだ。こうした事業は、今まで日本には無縁なことで、無視してもよいことでしたが、いまや違い、子供の犯罪が増え、子供の情操教育が、緊急に必要なことになってきてしまい、日本でも話題になってるのです。
国会では、教育基本法改正案の審議があり、愛国心教育とは何かだとか議論してますが、現在の緊急問題の解決にはピンとはずれで、テレビで国会の審議を見ていて、政治家には、社会のリアリティがないな、と不思議に思いました。こんな教育に挑戦してみようというようなことを、今の国会で議論してほしいのです。
また、こんなことも考えます。
日本にだって子供教育のプロジェクトはありますが、それがカナダのように急速に広がらないのが問題で、当事者に広げる心が足りない。
アメリカの社会起業を評価するポイントに、「ソーシャルインパクトは強力か」「社会を変えようとする大望があるか」「組織は持続的に拡大してるか」というのがあります。これに合格ならカネが来ます。社会起業家は、ビジネスプランを作るだけで満足せずに、ソーシャルインパクトが大きくなる方策をも提案し、いろんな人々の支援を求めます。
日本の非営利事業は、ここがまだ弱い。井上さんが言うとおり、広げるレバリッジの仕組みがまだないことも確かですが、事業を始めた人が叫ばなければ、鈍感で現場感覚がない政治家や大企業には届きません。残念ですが、こうした遅れた人々から援助が来るんですから。届けば、支援の手は必ず来ます。皆、内心なんとかしたいと思ってるのですから。
アメリカの社会起業家で偉いと思うのは、この「叫ぶ力」と「ステークホールダーを引き付ける力」です。個人力ですね。文化の違いもあるでしょうが、この辺りは学ぶべきことです。
また、アメリカでは、社会起業の経験が、もう20年ぐらいありますので、支援するインフラもある。それに比し、日本は、まだ5年ぐらいのことで整ってないのは仕方ないことだと楽観してるんですが。。。日本社会が、新しい段階へ成熟して行けば、自然に整うことだと見てます。
◆Roots of Empathy:
Roots of Empathy is an evidence-based classroom program that has shown dramatic effect in reducing levels of aggression and violence among schoolchildren while raising social/emotional competence and increasing empathy.
(ルーツ・オブ・エンパシーは、スクールチルドレンにある攻撃的な態度や暴力を、社会性や情緒を養い、人への感情移入を涵養することにより、劇的な効果をあげるクラスルーム・プログラムです)
Roots of Empathy was created by Mary Gordon in 1996 and became a charitable not-for-profit organization in 2000. Working in partnership with communities, the program reaches school children from Kindergarten to Grade 8 in English and French, in rural, urban, remote, and Aboriginal communities both on and off reserve and is being piloted internationally.
(1996年にマリー・ゴートンによって始まり、2000年に非営利事業になり、コミュニティー 田舎、都市、人里はなれたところ、先住民の住むところとパートナーシップによって行われ、現在は、世界に広がってます)
In the 2005/06 school year, there are 1,581 programs operating in 9 provinces, reaching 39,525 children across Canada.
(カナダの9州の1581学級で実施され、39、525人が学んでます)