賛否両論の
「国立メディア芸術総合センター」
2009年度の補正予算で117億円もの予算がついた「国立メディア芸術総合センター(仮称)」が論議を呼んでいる。国会の質問で民主党の鳩山由紀夫氏が「国営マンガ喫茶」と揶揄したことから批判が強まり、今月8日には自民党の「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」が不要との判断を下し、党側に予算の凍結を求めた。
これに対してマンガ家の里中満智子氏らが記者会見を開き、「メディア芸術の歴史を築くために必要だ」と主張した。里中氏は「1950~60年代のマンガの破損状況がひどい」と指摘し、原画の保管のためにアーカイブが必要だという。文化庁もアニメ、マンガ、ゲームなどの「ジャパン・クール」と評価される分野を網羅し、海外に発信力のある拠点をつくることがコンテンツ産業の振興に役立つという。
しかし問題は、このセンターの実態がはっきりしないことだ。文化庁の有識者検討会の報告書では東京都内に4~5階建てのビルを建て、展示室や上映ホールを置くということになっているが、書かれているのは図のような建物の外観だけで、肝心の何を展示するかはまったく書かれていない。
率直にいって、「マンガ好きの麻生首相が補正で100億の予算をおろす」という話が出てからバタバタと作った印象はまぬがれない。青木保文化庁長官は「100年に1度のチャンスだ」と発言して批判を浴びた。
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