音茶楽とOlasonicのコラボによる「TH-F4N」は、これまでのカナルタイプイヤホンの常識を覆す快作である。価格4万円台の「高級イヤホン」として、その価格に見合った音は当然ながら、それ以上にエンジニアリング的な意味が大きいと感じた。
カナルタイプには構造上どうしても「閉管共振(あるいは閉管共鳴)」による周波数特性の変化が避けられない。それを「ツイン・イコライズド・エレメント方式」という独創的な方法で低減し、かつ従来のカナル型のイメージを超える低域の再生能力を得ている。
設計・開発は東京にある音茶楽株式会社で、同社が特許を持つツイン・イコライズド・エレメント方式を使ったカナル型シリーズ「Flat-4」がすでに発売されている。このFlat-4をベースとして、安価で高性能な小型オーディオを得意とするOlasonic(東和電子)によるファインチューニング版が、このTH-F4Nということになる。
ちなみに音茶楽株式会社代表取締役の山岸亮さん、東和電子代表取締役の山本喜則さん、おふたりともにソニーを退社し独立したエンジニアであるところも興味深い。すでに発売されて結構な時間が経っているものの、改めてこのイヤホンがほかとどう違うかについてせまってみよう。