さくらインターネットは12月24日、独自のIoTプラットフォーム事業に参入することを初めて実質公表した。
同日開催されたユーザーイベント「さくらの聖夜」にて、8月に再ジョインした小笠原治フェローとDMM.make AKIBAに居を構えるハードウェアスタートアップのCerevo 岩佐CEOとのトークセッションで明らかにされたもの。正式な発表は2月になる予定。
DMM.makeの仕掛け人である小笠原氏が、創業メンバーでもあった古巣のさくらインターネットに再ジョインした背景はこちらの記事の通り。DMM.makeといえばCerevoのホームでもあり、IoTで何らか企んでいるのだろうことは以前から想像できたもの。それが一気に明かされたのがこのユーザーイベントだった。
さくらインターネットのIoT参入は、独自のSIMカード、そしてCerevoとの共同開発による通信モジュールの2つからなるプラットフォームになっている。通信モジュールについては、Cerevoが7月に発売したIoTデバイスのプロトタイピングキット「BlueNinja」を、通信モジュールなどの追加PCBに組み込んだ形で実現されている。
BlueNinjaが持つ、9軸センサー(加速度、角速度、地磁気)やBLE通信、気圧センサーといったI/Oはそのまま利用可能。さらに3G通信が加わることで、ユーザー側の通信設定などは一切必要とせずに、独立してセンシングし、通信できるIoTモジュールとして利用できるものだ。開発ボードのサイズは2インチ角(5センチ四方)程度と、かなり小さい。BLEと3G通信はブリッジすることもできるため、BLEにぶら下げた何らかのセンサーデータ(例えば室温センサーや、ビーコンの情報)をそのままクラウドに送るようなこともできる。
想定価格については、一般的な3GやLTE通信対応のM2M(マシンtoマシン。機器同士の通信システム)モジュールが2〜3万円という水準なのに対し、大幅に安価なハードウェア価格をターゲットにしているというから驚きだ。通信モジュールだけではなく、各種センサーも込みと考えると破格といえる。
プレゼンを担当した小笠原氏によれば、さくらインターネットが狙っているのは広義のIoTで、いわゆる「インダストリー4.0」などに代表されるような狭義のIoT領域ではないと説明する。
さくらインターネットが参入するIoTプラットフォームの構成案は下の写真のようなイメージだ。同社が先ごろ発表したさくらのクラウド上でのプライベート・ブロックチェーン環境の提供についても、実はこのIoTプラットフォームにリンクしたものだったことも明かされた。
気になる、いわゆる”さくらのSIM"については、IoT向けに特化したプランで低価格なものを準備しているという。IoT向けとは、月間数十MBにも満たない通信量、数百Kbps程度の低帯域幅で、センシングデータをひたすらクラウドに蓄積し続けるようなものを想定している。
イベントの一般参加者の質疑応答セッションでは、この分野のSIMの競合であり、月額料金300円からのIoT向けSIMとして話題を集めるソラコムの通信プランとの比較についての質問も出た。具体的な料金プランの明言は避けながらも、「(ソラコムのSIMは)あれはあれで良い形だと思っている。そこに、僕らがプラスアルファできるとしたら何があるか?という考え方」(小笠原氏)と語るなど、価格帯や通信帯域は似たような水準になりそうな印象だ。
また通信キャリアについても「相手があることなので」と具体的には語られなかったが、複数のキャリアをサポートしていきたいとコメントしていた。
今後のロードマップは、2月初旬にこのIoTプラットフォームの発表会を実施、その後、2016年春にベータテストを開始する。期間中、ベータテスターはハードウェア、SIMともに無料で利用できる。
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