前編ではGoogle カレンダーを基本的な機能を中心に紹介してきたが、前編の冒頭でも述べた通り、Google カレンダーの特徴は「ソーシャル カレンダー」とも呼ばれる他ユーザーとの共有機能にある。後編ではこの共有機能を中心に、他ユーザーとの連携について解説していく。
■ スケジュールごと共有設定が可能。出欠確認やコメント機能も
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「予定の詳細を編集」から他のユーザーを招待できる
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Google カレンダーの共有機能は大きく分けて2つある。1つはカレンダーに登録されたスケジュールごと個別に共有する機能、もう1つはカレンダーごと共有する機能だ。また、共有とは少し異なるが、スケジュールの内容をインターネットやブログに公開できる機能も備えている。
まずはスケジュール単位での共有機能を見てみよう。共有したいスケジュールをクリックし、「予定の詳細を編集」画面を表示。画面右上の「ゲストを追加」から招待したいユーザーのメールアドレスを入力する。
招待する相手はGoogle カレンダーのユーザーである必要はない。招待先には該当するスケジュールのみを表示できるURLが通知され、招待を受けたメールアドレスがユーザーIDとなってスケジュールに参加できる。
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HTML形式の招待メール
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出欠報告や同伴者の連絡、コメントが可能
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スケジュールを変更した場合は再度メールで通知できる
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招待したゲストには、同じスケジュールに招待された他のゲスト一覧を表示できる権限や、さらに他のユーザーをゲストとして招待できる権限を与えられる。スケジュールへの出欠報告や、掲示板感覚でのコメントも可能だ。Google カレンダーのユーザーであれば、招待されたイベントを自分のGoogle カレンダーに登録することもできる。
なお、ゲストを招待したスケジュールを変更した場合は、スケジュール変更をメールで通知する機能が用意されている。ただし、一度ゲストが出欠を報告したスケジュールに対して、日時の変更などを行なった場合は出欠状況がリセットされてしまうので気を付けよう。
■ 複数ユーザーで共通のカレンダーを編集
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カレンダーの共有設定
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次にスケジュールではなく、カレンダーそのものを共有してみよう。カレンダーの共有といっても、Google カレンダーをすべて共有するのではなく、作成したカレンダー単位で共有を設定できる。プライベートな情報と共有したい情報は、あらかじめ別のカレンダーで管理しておくといいだろう。
カレンダーを共有するには「設定」の「カレンダー」から、任意のカレンダー名を選択する。カレンダーの共有方法は2種類で、1つはすべてのGoogle カレンダーユーザーを対象とする共有。カレンダーの内容すべてを公開する、スケジュールの空き時間のみを公開する、もしくは非公開から選択できる。
もう1つは、特定のユーザーのみに限定したスケジュール共有。この場合はスケジュール単位での招待と異なり、スケジュール共有は相手もGoogle カレンダーのユーザーである必要がある。なお、相手がGoogle カレンダーを利用していない場合は、カレンダー共有時にGoogle カレンダーへの招待メールを送信できる。
ユーザーごとにカレンダーを共有する場合は、空き時間もしくは予定の詳細を閲覧させるだけでなく、カレンダーの編集権や、さらに他のユーザーと共有する権利を与えることも可能。1つのカレンダーに対して、複数のユーザーが同等に編集し、その結果をそれぞれのカレンダーに反映することが可能だ。
こちらから共有を設定するだけでなく、相手に対して共有を依頼することも可能。設定画面の「カレンダー」から「カレンダーの追加」ボタンをクリックし、「友達のカレンダー」から共有依頼先のメールアドレスを入力しよう。カレンダーが共有設定されていれば、相手のカレンダーが自分のカレンダーに登録される。もし相手が共有設定していない場合は、共有を依頼するメッセージを送信できる。
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他のユーザーとカレンダーを共有した場合、閲覧のみのカレンダーは「他のカレンダー」に、編集権を持つカレンダーは「マイカレンダー」に表示される
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カレンダーの共有依頼も可能
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■ カレンダーのインターネットやブログ公開も対応
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設定画面からインターネット公開用のHTMLを取得。「設定ツール」からはブログ表示用のコードも取得できる
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Google カレンダーのユーザー以外へも広くカレンダーを公開したい、という場合は、各カレンダーの設定画面から「カレンダーのアドレス」を選ぼう。「HTML」と書かれたアイコンをクリックすると、カレンダーをインターネットで公開するためのURLが取得できる。また、URLと合わせて表示される「設定ツール」を使えば、カレンダーをブログで表示することも可能で、訪問者がワンクリックで自分のGoogle カレンダーに登録できるボタンも作成できる。
「カレンダーのアドレス」で公開される内容はカレンダーごとの共有設定と共通。すべての予定を表示する、空き時間のみを表示するなど表示内容を選択できるので、用途に応じて好みの設定を選ぼう。なお、公開したスケジュールは、他のGoogle カレンダーのユーザーが検索して追加できるようになる。
自分のカレンダーを公開する以外にも、任意の時刻や件名などを入力したスケジュールをGoogle カレンダーに登録できるボタンを作成する機能も用意されている。ボタンはブログなどに設置可能で、ブログを訪問したユーザーがボタンをクリックするだけでスケジュールを登録可能だ。
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任意のカレンダーをブログに表示できる
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特定のイベントを登録できるボタンを作成できるサービスも
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■ RSSリーダーでカレンダーの更新情報を確認
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RSSリーダーでGoogle カレンダーの新着情報を取得
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「カレンダーのアドレス」で表示されている他のアイコンについても説明しておこう。一番左の「XML」アイコンは、リンク先をコピーしてRSSリーダーなどに登録することで、カレンダーの更新をRSSリーダーで確認できる。
「ICAL」アイコンは、iCalという形式でカレンダーのデータをダウンロードでき、iCal形式に対応したソフトでスケジュールを登録することが可能だ。
なお、「カレンダーのアドレス」の下にある「個人用 URL」にも同じアイコンが3つ並んでいる。この2つの違いは、カレンダーのアドレスはカレンダーごとの共有設定に従って表示されるのに対して、個人用URLではすべての内容が表示される点にある。一旦公開してしまった個人用URLを非公開にしたい場合、アイコン横の「非公開 URL をリセット」で個人用URLをリセットできる。
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画面下のアイコンからRSSやiCal形式のデータを取得できる
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iCal形式のダウンロードに対応
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■ Yahoo!カレンダーやOutlookからの移行もサポート
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CSVやiCal形式でデータをインポートできる
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Google カレンダーでは、すでに他のカレンダーやスケジュール管理ソフトを利用しているユーザー向けの移行措置も用意されている。マイクロソフトの「Outlook」であれば、OutlookのカレンダーをCSV形式で保存し、「設定」の「カレンダーのインポート」でそのCSVファイルを選択すればいい。Yahoo!カレンダーでも、「Outlook にエクスポート」設定でファイルをCSV保存すれば移行が可能だ。なお、長期に渡るスケジュールの場合、インポート中にエラーが発生する可能性があるため、1年単位でのCSV保存が推奨されている。
CSV形式以外に、iCal形式でのデータインポートにも対応しているため、アップルコンピュータが配布しているiCalカレンダーなどもデータを取得できる。また、iCal形式でイベントやスケジュールのデータを配信しているサービスもネット経由で登録が可能だ。現在のところiCalでデータを配信しているサービスは少ないが、ライブドアの天気情報などはicalでのデータ配信が行なわれており、最新の天気情報をカレンダーに表示できる。
Google カレンダーではGmailと同様、キーボードショートカットにも対応している。機能は英単語の頭文字を取ったものが多く、新しいカレンダー作成なら「Create」の「C」、表示期間移動は「Next」の「N」と「Previous」の「P」、日表示は「Day」の「D」、月表示は「Month」の「M」といった具合だ。なお、「N」は「K」、「P」は「J」で代用することもできる。ホームポジションから指を動かさずに済むため、覚えてしまえばJやKのほうが操作は楽だろう。
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livedoorではiCal形式で天気情報を配信
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livedoorの天気情報を登録したところ
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■ アイディア次第で使い方が広がるカレンダー共有
前編、後編に渡ってGoogle カレンダーの機能を見てきた。同じGoogleのWebサービスであるGmailと比ると、他ユーザーとの共有が特徴であるGoogle カレンダーでは、明確な利用シーンが想定しにくいかもしれない。今回は最後に、Google カレンダーの共有機能の利用シーンを参考までにいくつか考えて見たい。
最もが想定しやすいのはビジネス利用だろう。他の社員のスケジュールが自動で反映されるだけでなく、共同でスケジュールを管理することもできるため、会議室のような社内設備の利用時間を共有しても面白い。任意のカレンダーだけを公開できるので、プライベートのスケジュールとも切り分けが可能だ。ただし、1つ画面に複数のカレンダーを表示するため、社員数が多い場合は共有が難しい。また、外部にデータを置くことになるため、社内のデータなどを登録する場合には注意が必要だろう。
業務だけでなく、共通した趣味を持つユーザーで共有しても便利だろう。例えば好きな芸能人がテレビやラジオなどに出演する予定を共有しておき、出演情報を気づいたユーザーがそれぞれ登録していくことで、テレビやラジオなどの出演番組を見逃さずに済む。友達同士で気になる商品の発売日を登録して情報を共有するという、日付をベースとした一種のソーシャルブックマーク的な使い方もいいだろう。
インターネットには公開したくないが、Google カレンダーを使っていない他の友達にもカレンダーを見せたいという場合には、カレンダーごとの個人URLを通知してしまうのも1つの方法だ。URLさえ知ってしまえば誰でもアクセスできるため、URLの取り扱いには注意が必要だが、万が一の場合はURLをリセットして新たなURLを再び通知する、ということもできる。
音楽活動やイベントなどを開催するユーザーであれば、Google カレンダーで活動スケジュールをインターネットに公開し、自身のブログに表示しておくことで、イベントのプロモーションツールとしても使うことができる。アイディア次第でGoogle カレンダーの共有次第はさまざまな使い方が可能になるだろう。
■ URL
Google カレンダー
http://www.google.com/calendar?hl=ja
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(甲斐祐樹)
2006/09/28 12:19
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