さんざんアイデアを考えて出しつくして、もう出ない。そんな状況から、ノートとペン1本だけで、普通の人が更に100個のアイデアを創り出す具体的な方法を紹介しよう。
どうやってアイデアを発想すればいいか、新連載「アイデア創発の素振り」のテーマです。ブレインストーミング支援カードゲーム「ブレスター」を作った、仙台のベンチャー企業デュナミスの石井力重さんが、発想を豊かにするゲームや思考法などを紹介します。
さんざんアイデアを考えて出しつくして、もう出ない。そんな状況から、普通の人が、ノートとペン1本だけで、更に100個のアイデア創る具体的方法がある。
発想法の名称 | 人数 | 道具 | 長所 |
---|---|---|---|
エクスカーション(excursion:旅行、遊覧、脱線、暴走) | 個人 | 紙、ペン | 大量発想(100個以上) |
まず「とにかく長靴の新製品アイデアを出そう」ということで出した場合。「え〜っと、じゃあ、ストライプ模様の長靴、それから、キャラクターのついた長靴、う〜ん、そもそも長靴にそんなにバリエーションあったかなあ……」と悩みながら何とか10個出せればいいほう。20個出せる人はかなり創造性が高いだろう。そのうちもう何も出ない、という状態が来る。しかし、「エクスカーション」という手法を使うと、ここから更に100以上のアイデアがでるのだ。手順は次の通り。
手順 | 実践 | |
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1 | 動物を1つ思い浮かべる | 例えば「カエル」。カエルと言えば○○、という調子でカエルから連想できるものを紙に書き出す。 ・カエルと言えば「緑色」 ・カエルと言えば「ゲコゲコなく」 ・カエルと言えば「ジャンプする」 ・カエルと言えば「水から陸に上がる」 ・カエルと言えば「ぬるぬるする」 などなど。カエルから連想するものを10〜20個ほど出す。どうしても出なければ5個でも可。 |
2 | 次にそのリストの「言葉×長靴」を考える | ・「緑×長靴」→普通すぎるけれども「緑の長靴」。 ・「ゲコゲコなく×長靴」→う〜ん鳴く長靴? あ、じゃあ、「歩くとグワグワと愉快な音が出る長靴」。あ、そうだ、足首の曲げ方で音程が変わると面白いな。長靴ミュージックって新しい遊びが生まれるかも。 ・「ジャンプする×長靴」→長靴でジャンプはしにくいな。着地で水たまりの泥がはねるし。あ、そうだ、地面からのはね返りを少なくする「“ねずみがえし”のようなものがついた長靴」ってどうだろう。えりまえきトカゲみたいでニッチに受けそうだ。 |
3 | 掛け算でアイデアが出しつくしたら、別の動物で | ウサギ、ヘビ、ミノムシ……。 |
動物1つにつきアイデアが10〜15くらい出せるので、10の動物で行えば、アイデアに重複があったとしても合計100個以上になる。なるべく特徴的な動物を使うのがコツだ。似た動物は出るアイデアが似てしまう。
なお、コツはパスをしてもいいように、ネタとなる「1」の部分を、たくさん出すこと。思いつくのが難しい組み合わせはきっとある。そこはどんどんパスして「快適に進める」こと。スピードが出てくると楽しいし、出ないと疲れてしまう。
出しつくして沈滞しきった会議中、ノートに向かって、ひっそりとエクスカーションをしてアイデアを20〜30個出してみてほしい。それぐらい出すと、良いアイデアを必ず3つは見つけられるだろう。
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