10月某日、オフィス。私の斜め後ろの席に座っているK女史が、いきなりこんなことを言ってきました。「ドイさん、いま『綾鷹』が売れてるそうですよ」――。
「ほほー。でも、なんで『綾鷹』なの? お茶なんて、どれもよく似た味がするのに」と返事をしたところ、「それを調べるのが記者じゃないですかっ! 私も気になるので、取材に行ってきてくださいねっ」と“一喝”されてしまいました……。
資料を見てみると、確かに売れている。発売してから5年が経っていて、2009年以降、39カ月連続で販売数量が2ケタ成長。また緑茶市場でのシェアも、32カ月連続で伸ばしているとか(インテージ調べ)。
というわけで、早速、販売元の日本コカ・コーラへ。なぜ「綾鷹」が売れているのか。その秘密を探るために、マーケティング本部緑茶グループの薄井亜希子マネージャーに話を聞きました。
土肥:「綾鷹」が売れていますねー。この取材におうかがいする前に、とあるコンビニに立ち寄りました。店頭にお茶って何種類並んでいるのかなーと思って。そのお店では9種類売っていましたが、だいたい8〜10種類くらいを扱っているようですね。たくさんある中で、消費者に「綾鷹」を選んでもらうには本当に大変だと思うんですよ。数字をみると、急成長していることがうかがえるのですが、その背景にはどのようなことがあったのでしょうか?
薄井:2007年に「綾鷹」を発売したのですが、商品を見て「これは何だろう?」と思われた消費者が多かったかもしれません。なぜなら「にごり」があったから。当時、ペットボトルの緑茶は商品の安定性を考慮して「にごり」を取り除いた透明な液体が製造されていました。しかし私たちは、あえて「にごり」を強調して、新規ユーザーの囲い込みを始めました。
一定の成果を得たのですが、それで満足はできませんでした。さらに飛躍するためにはどうすればいいのか。消費者調査などを行った結果、2010年からは「急須でいれたような味わい」にコミュニケーションを変更しました。
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