本連載は、日本人の英語を知りつくしたベストセラー英語教師、デイビッド・セインさん執筆の書籍『出社してから帰るまで ネイティブに伝わるビジネス英語700』『30秒英語プレゼン術 エレベーター・スピーチでビジネス英語のレベルが一気に上がる!』『打ち合わせから出張まで ネイティブに伝わるビジネス英語 ワンランクアップ編』(アスコム刊)から一部抜粋しています。
――あなたは残念な英語になっていませんか? ビジネス英語では、日常英会話よりもさらに、伝えたいことが正確に、はっきりと伝わることが大切です。
でないと、思わぬ誤解から、仕事が失敗に終わったり大きな損失を出してしまったり、相手を怒らせてしまう可能性があるのです!
しかし、実際のビジネスシーンでは「使ってはいけない表現」を使ったり、「誤解されやすい表現」を使ったり………。残念なビジネス英語が飛び交っています。そして、そのことに気付いていないのは話している本人だけだったりします。
書籍では、使ってはいけない表現と、ネイティブに「ちゃんと伝わる」表現を紹介しています。
日本人の英語を知りつくしたベストセラー英語教師、デイビッド・セインさんによる連載「ネイティブに伝わるビジネス英語」。第7回は、電話を受ける際に使えるフレーズを取り上げます。
→連載「ネイティブに伝わるビジネス英語」バックナンバーはこちら
まずは、意味は似ていますがネイティブには伝わりにくい表現から。
日本のビジネスでは「お世話になっております」はあいさつの中の万能選手といったところですが、これに相当する英語はありません。実際に「お世話になっております」は、具体的な事柄に対して言っているのではなく、日ごろのご愛顧への感謝や、日々の付き合いに対する一般的なお礼であり、ある意味では形式的なあいさつに他なりません。
Thank you for your help.は具体的にお世話になった事柄に対してお礼を述べるときのフレーズです。ですから、何かをしてあげた人は「えっ? 何かしてあげたっけ?」と思ってしまいます。この場合はThank you for calling.「お電話ありがとうございます」が「お世話になっております」に最も近いといえるでしょう。
電話での受け答えで心に留めておかなければならない重要なポイントは、お互いに顔が見えないということです。お互いに顔を見合わせていれば、言葉の足りなかった部分は、言い直しをしたり、表情で補ったりできますが、全く顔の見えない、それも初めての相手であれば、言葉選びの難しさはきちんと心に留めておかなければなりません。
面と向かっているときに、What's your name? と言うのは失礼ではありませんが、顔の見えない電話ではあまりにストレートです。Who are you?「あんた誰?」はさらに失礼です。
外部の人間に対して、身内をどう呼ぶかは日本語文化と英語文化の違いの1つです。例え社長であっても、外部の人間に対しては呼びつけにする日本語の習慣は、英語圏の人にはなじみのないものです。例え内部の人であっても、姓だけで呼ぶのはやめましょう。
Suzuki is busy right now.と言えば、スズキさんとあなたの間に何か個人的なトラブルでもあるのかと思われるかもしれません。ここは臆せず、Mr.やMs.を付けましょう。ファーストネームで呼ぶと、軽やかになるかもしれません。ただ、上司が部下を叱るときは姓に敬称を付けずに呼ぶこともあります。
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