「意識高い」とはどういう状態か?なぜバカにされるのか?という話。
エヴァQ、実は初見だったのですが、評判通り訳が分からなかったです。20代から謎に付き合わされている身としては、そろそろ決着を見せて欲しいところだけれど、そもそも謎に対する答えや落としどころの用意されていない物語なんだろうな、と約20年を掛けて確認しているところです。というか、社会人経験を積めば積むほど、「え!?なんで、そこでちゃんと説明してあげないの?」というツッコミどころの方が気になってしまい・・・・・・。でも、この話、頭から終わりまで「ほうれんそう」が出来ていたら、多分成立しないんだろうな、とも。
そんな感じで、Twitterを眺めていたところ、津田さんが話題のマトリクスにツッコミを入れておられたので、その件について少々。
これに8000RTとか集まってる状況も気持ち悪いな……。勘違いできるのも才能だし、勘違いしてる人をどう本物にしていくか(もしくは無害にしていくか)ってことを仕組みとしてきちんと考えることをした方が百倍くらい有益な気が。
https://t.co/2R7CajbAWV
— 津田大介 (@tsuda) 2014, 9月 5
はい。仰ること、とてもよく分かります。と、同時にいわゆる「意識高い系」に自分も含めて多くの人が「イラッ」としていることも事実。さて、落としどころはどこに?
感銘をうけたので図解した QT @fukazume_taro 「意識の高い人」が小馬鹿にする意味でしか使われないのは、「出る杭は打たれる」というより、「能ない鷹が爪丸出し」だからだと思ってる。 pic.twitter.com/NYGz2341HZ
— こへだ[LINEスタンプ販売中] (@koeda) 2014, 9月 4
図だけ再掲。 pic.twitter.com/GPc6c8dIvf
— こへだ[LINEスタンプ販売中] (@koeda) 2014, 9月 6
このマトリクス(※現在削除されているようです→#2014/09/07 図を再掲されたので、こちらもリンクを追加しました)、基本的な考え方は間違っていないと思うのですが、縦軸に「実力」と置いているのが、改善の余地があると言えそうです。実力ってなんだろう?誰がそれを測るんだろうか?本人は「ある」と信じているからこその意識高い系であり、周囲は「ない」と感じるからこその批判であり、同意も込めたRTがこれだけ積み上がるのでしょう。
ちょうど今、このテーマを正面から扱った(と僕は思う)ドラマが人気です。
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80年代を舞台に描かれるこの作品。主人公ホノオモユルくんは、物語序盤は「俺には実力がある」と信じて疑いません。その根拠が初期のあだち充作品などに価値を見出し、俺が評価している、という目利きの才能にある、というのも、どこか現代の「意識高い系」に通じるものがあります。(だからこそ、いまこの物語が取り上げられたのかも知れませんね)
ところが物語が進むにつれ、後にガイナックスを創業することになる同級生アンノヒデアキさんらの活躍にも刺激され、彼はマンガの持ち込みを決意します。作品の方向性に迷ったり、実際に作品を描く際に思いもよらない困難が立ちふさがったりと、七転八倒の末、作品が完成し・・・・・・。
ざっくりとした紹介となってしまいますが、このような流れで物語は進行します。物語のカタルシスの1つは、主人公が信じて疑わない「実力」が、実際に行動を起こすと、現実には全く通用しないものだと思い知らされること。そして、持ち込み〜プロマンガ家デビューへという「実績」を何とかつかみ取ろうとするその姿にあるのは間違いありません。
ということで、先ほどのマトリクス、縦軸を「実績」としてはどうかなと思いました。客観的な「実績」であれば少なくとも、主観的な「実力」よりも本人も周囲も測りやすい。実績がなければ相手にされないのは現実だし、逆もまた然り。そして、実績がなくても応援してくれる周囲の人々が、かけがえのない存在であることも物語では繰り返し描かれているようにも思えます。
原作のオカダトシオさんのセリフで思わず膝を打ちました。以下引用で締めくくります。
よく、『これは俺が先に考えてたんや!』って言うアホがおるけど・・・
一番みっともない言葉や。
自分が先に考えたのにやらんかったんや。
それをえばっとんねんからホンマのアホやで!
先に考えてんやったら
先にやらな!!
#2014/09/06 追記
起きてホッテントリ入りしてびっくりしました。
加野瀬さんのコメントから読んで頂いた方が多いのかも知れないですね。
まつもとさんの親切な解説。自分しか認識できない「実力」をどう実績に変えていくのか?というのは難しい
「自分しか認識できない「実力」をどう実績に変えていくのか?」というのは、この問題への本質的な問いかけです。
ちょっと宣伝ぽくなってしまうのですが、実は堀正岳さんとの新著でその問いへの答えを「3極モデル」という形で整理していたりします。
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これについても、いずれ詳しく(もしかすると堀さんのブログなどで、となるかも知れませんが)紹介することができればと思っています。