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昆虫にとってコンビニとは何か? (朝日選書 812) 単行本 – 2006/12/1

4.5 5つ星のうち4.5 3個の評価

 深夜のコンビニは、明かりに引きつけられた昆虫にとって繁殖の場でもある。昆虫にとって船や飛行機は分布を広げる手段だ。人家はある種の昆虫にとって格好の住処。戦争で荒れ果て、放置された土地を好む昆虫もいる。人間が便利で心地よい生活のためにつくってきた装置は、環境をつくりかえ、多くの昆虫を絶滅させてきた。でも、それだけではない。時に対立し、時に共存する「文明と昆虫」の思いがけない関係。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 朝日新聞出版 (2006/12/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2006/12/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 232ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 402259912X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4022599124
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 3個の評価

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高橋 敬一
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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2007年8月18日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
     おもしろい。非常にいい選書。もっとも、昆虫に興味がない人にはなんぼのものだろう。
     昆虫を主役に、昆虫の視点で、人間環境をうきぼりにする。ヒトによる環境破壊が、日常生活が、いかに昆虫を痛めつけているかを思い知る。
     ほぼ同年代にとっては、第16章、「排水にとって昆虫とは」などは、自分の思い、体験と重ね合わせ、クラッときた。押し付けがましくない論調は、おおいに好感が持てる。著者はユーモアたっぷりのなかなかの名文家とみた。
     中学生以上、昆虫好きは、必ず読むべきだ。
    7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2007年1月10日に日本でレビュー済み
    「昆虫にとってコンビニとは何か?」「昆虫にとって車とは何か?」「昆虫にとって昆虫マニアとは何か?」「昆虫にとって戦争とは何か?」・・・と28のテーマに関して、著者の昆虫研究に没頭した人生の体験談を交えつつ考えていく。本書を通して考えさせられるのは、「昆虫にとって人間とは何か?」という問いである。

    しかしながら、「人間が生物の世界を大きな匙で掻き回している」ことへの批判がなされると同時に、全体的に自然保護論者や昆虫採集禁止論者などに対するシニカルな認識が多々見られる。その点が、本書の問いかけるメッセージを不明確にしてしまっている気がする。確かに、日々の日常生活がどれだけ多数の昆虫を犠牲にすることで成り立っているかを認識せずに「保護!保護!」と叫ぶ自然保護論者に対する著者の批判はある程度は的を得ているのも事実である。しかし、生物界は所詮「生存競争」であり、また、人間が近代文明を享受するためには、生き残るすべのない昆虫は淘汰されるのも仕方がないという認識はどうかとも思う。これまでの近代のあり方そのものを客観視し、再検討する必要性があるのは確かなのだから。

    ともあれ、ところどころで、写真つきで詳細される「マイナー」な昆虫を紹介するコラムは面白かった。「へえ、日本にもこんな虫がいるのか」と新鮮味を感じさせてくれる。著者自身が、昆虫マニアであり(甲虫マニアという自己規定をしている)、文中のところどころに昆虫への愛が感じられる箇所が見られ、思わず笑ってしまう。(中には苦笑せざるをえないところもあるが。)特に昆虫に愛着のない者でも、楽しく読め、また少し考えさせられる本であった。
    9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート