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サイゴン・タンゴ・カフェ (角川文庫) Kindle版

4.0 5つ星のうち4.0 49個の評価

インドシナ半島の片隅の吹きだまりのような廃墟のような一画にそのカフェはあった。主人はタンゴに取り憑かれた国籍も年齢も不詳の老嬢。しかし彼女の正体は、もう20年も前に失踪して行方知れずとなった伝説の作家・津田穂波だった。南国のスコールの下、彼女の重い口から、長い長い恋の話が語られる……。東京、ブエノスアイレス、サイゴン。ラテンの光と哀愁に満ちた、神秘と狂熱の恋愛小説集。

商品の説明

著者について

●中山 可穂:1960年生まれ。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞を、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞.

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B00CFJJ49M
  • 出版社 ‏ : ‎ KADOKAWA (2013/4/25)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2013/4/25
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 702 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効にされていません
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 本の長さ ‏ : ‎ 13ページ
  • ページ番号ソース ISBN ‏ : ‎ 4043661029
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 49個の評価

著者について

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中山 可穂
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2015年4月24日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    5編のタンゴにまつわるお話ですが、表題作の「サイゴン・タンゴ・カフェ」が一番好きです。心の底からああ良かったと思える作品です。
    可穂さんはなぜこんなにもタンゴに惹かれるのだろうとおっしゃっていますが、わたしも幼いころから父と母の影響でタンゴを聴いて育ちました。あの切ない旋律と心揺らすリズム。タンゴは人生の中のBGMです。今回もとってもいい作品をありがとうございました。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2014年2月9日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    『現実との三分間』のプレビューを見て思わず買った作品。
    それくらい、表裏のある専任上司との関係にひどく惹かれてしまった。
    もうちょっと多く読みたかったから短かったのが残念。
    もっとエピソードを深掘りて、中編くらいで出てたらスゴく良かったのに。

    その意味で、他の作品は他の小説で出てきた要素がそのまま使われていて、あまり楽しめなかった。
    とくに同性恋愛を描いた傑作の『白い薔薇の淵まで』を読んだあとだと、タイトル作の味も薄くなる。

    異性愛や同性愛関係なしに、『現実との三分間』みたいな登場人物らを突き放して描いた世界をもっと読みたいです。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2010年7月27日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    2ヶ月ばかり前、タイトルが気になり、文庫本を購入しましたが、しばらくはそのまま。改めて手にしたのはかなりたってから。どうしてこんなにタンゴに惹かれるのだろう というあとがきを読まなかったら、中山可穂を読むことはなく、そのままになっていたかもしれない。タンゴといってもピアゾラではねえといった感じ(3篇はA.Piazzollaのタンゴの曲名、小生が偏愛するのは1920年代後半からのほぼ10年のタンゴなので)5編を読み終えて、驚嘆!モーツアルトはまあ十分に聞いているので、あわてて「ケッヘル」を求め数日で読破。(正直これはケッヘル・ナンバーのつど説明がつくのがちょっと)次が「白いバラの淵まで」なんと切ない、と読み終えて、そのあとの「花だけはくれるな」のエッセイは衝撃。バラをそこそこ作って人にあげるのは趣味みたいな、私にとっては。
     昨夜「聖家族」読了。
      白滝と春雨で笑っているうちは、よかったのに
     透子が五体満足で、息をして、動き回ってくれさえすれば、二度と会えなくてもかまわない のくだりでうろたえ、透子にもう一度電話をかけたいと思う...桐人をどうしてほしいのか、それを一番きいてみたい。いや本当は、聴かなくてもわかっている。わかりすぎて胸がちぎれる。わたしにそれができるかどうか、教えてほしい。でもわたしは天国の番号を知らない。にいたって、初老をはるかに越えた爺さんは 号泣。参りました。
     類まれなという言葉も陳腐なこの作家を教えてくれたタンゴに感謝しなければならない。
     ところで、古い読者は、まちわびた新刊を手にするとき、どんな気持ちだったのだろう、私は次の本を選ぶのが怖い。
     
    5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2008年2月24日に日本でレビュー済み
    とりあえずたった今読了したところで、これだけは先に
    言いたい!以下少しネタバレです。

    読んでよかった!

    そして、

    幸せな最後でよかった…!

    念の為、今回は「短編集」で、前5編の著作が収められて
    います。
    交差する生と死のさなかには、涙する場面もありますが、
    共通してるのは、「読後感がよかった…」ということ。

    「現実との三分間」で、姦計に嵌められてしまう主人公にハラハラし、でも
    鮮やかにエンド。しかも希望がある!

    「フーガと神秘」では、ちょっと「男性ってクズしかいないんじゃないか」
    とまで思わせる筆致。ちょっとこの作品だけは、何とも言えない「男」に対する
    憤りが残った。

    「ドブレAの悲しみ」猫の視点から始まり、最後は…。
    これ以上は読んでください。
    しかし、ドブレAは氏自身なのではないか…。
    おじいさんお遺体にしがみついていたアストルに、涙。

    「バンドネオンを弾く女」で、ちょっと前の「ドブレ〜」
    で涙した気分が上向いて。

    そして表題作「サイゴン・タンゴ・カフェ」。
    サイゴンのタンゴカフェ。その主人の老嬢が、失踪した人気作家
    ではないのか…。そして彼女から語られる20年前の真実とは…。

    もう、「ええ!どうなっちゃうの!?」とはらはらしながら読み…。

    そして、最後は、もう、「よかったー!本当によかったー…!」の一言に
    尽きる。

    氏の作品では珍しく、ヘテロの女性が多く登場するけれど、それでも退屈
    なんてしなかった。むしろ「読んでよかった!買ってよかった」
    そう思いました。

    久しぶりに、「良い作品」に巡りあえました…。
    9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2008年6月12日に日本でレビュー済み
    美しい表紙を見て、溜息が出た。謎めいて、艶かしくて、慎み深い。
    上品な美しい本に、美しくて品のある日本語で語られる、誇り高く、潔く、情の厚い登場人物。
    力強く愛し抜いた女たちの、美しく年輪を重ねた姿に胸を打たれる物語集だった。

    大好きな土地が出てきたことが、より一層、この本への思い入れを強くした。作中の小説家がブエノスアイレスを想像の中で旅するならば、私は本を読みながらハノイを旅する。
    表題作に出てくる小説家によると、命を切り刻んで自分を使い果たしながら紡がれた言葉だから、切れ味が鋭いのだろう。
    私は言葉を紡いで小説にすることはできないから、紡がれた言葉に切り刻まれて、自分を使い果たすような終わった恋という膿を流しているのかもしれぬ。
    胸苦しいばかりではなく、時には軽妙で、全体が温かな愛情に満ち溢れている。女である喜びを取り戻す、大人の女性に勧めたい一冊である。
    7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2009年8月7日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    特異な才能がある人と新刊を必ず手にしていましたが、最近の三冊ほどは読んでのち本を置いて嘆息しております。もはや中山可穂の残りかすでしかありません。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • Amazon Customer
    2009年9月11日に日本でレビュー済み
    全てのストーリーに共通するキーワードがタンゴなだけあって
    心の内奥を曝してぶつけ合うかの如き情念を感じさせる恋愛ものになっています。

    ストーリーラインから登場人物の名前、台詞にいたるまでドラマ性が高く現実から遊離した感じをおぼえました。
    中山可穂さんの著作を読むのはこれで3作品目なのですが詩的な表現力、
    明快な情景描写、そして淡々としつつ不思議な力強さを感じさせる文体は相変わらず見事。
    ただ女性同士の性的な絡みや悲しみを慰撫しあう時の表現には思わず目を背けてしまう様な生々しさがあって
    、文章表現の秀逸さも相まりちょっと堪えました。
    著者の作品を読み終えた後は一時的に拘りや偏見から解放されて少し心が軽くなる。
    文章に情念が篭っているからでしょうか。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2008年8月1日に日本でレビュー済み
    「サイゴン、タンゴ、カフェ」。いかすタイトルである。それだけで、情熱的で官能的な風を感じさせる。そして、収められた5編の作品も、ページをめくる手を止めると、まるで、タンゴのリズムが、薫陶と爛熟を以って静謐と流れてくるような感覚なのである。
    5年半もの時間を不倫関係で過ごし、かつ最悪の形で裏切られながらも、男の急死に葬儀に臨席する女、親子二代に渡って忌まわしい出来事を引きずりながら生きる母娘、特に魅力的でもない旦那に浮気された女と悲しい過去を持つ浮気相手の女、そして、ある理由で日本を離れ、サイゴンで隠遁生活を送る伝説の作家。
    ここに登場するのは、どれも言いようのない精神的なダメージを沈潜させながら、生きてきた女性たち。彼女たちが、"タンゴ"を媒体にして、そのリズム、音色、息遣いに恍惚、覚醒させられ、それが心の源泉となって、呪縛から解き放たれる。
    時に硬質、時に甘美、時に媚態、時に抒情的。その文章力に唸らされるが、男としては、その余りに濃厚な"女くささ"にあてられてしまったのも事実、よって男性読者は心して読むべし。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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