ネットの使い方で大きな差がでるこれからの時代
「Life is beautiful: 自分で考える前にググっていませんか?」を読んで。
何か問題を与えられたときに、その答えをネットの向こう側に期待しググってこようとすることへの危機感の話。
ほんの十数年前には一般の人が何かを知ろうとしたら、誰か人に聞くか、図書館などで本を調べるか、実際に自分で体験したり調査したりするかしかなかったのが、今ではネットでちょっと検索するだけで世の中のたいていのことを知ることができるようになった。
人が自分の頭の中に蓄えられる知識には限界があるが、ネットに蓄えられた知識を検索によって引き出すと言う手段は、さまざまな知識に人が到達できるようにしてくれる魔法の辞典のようなものなのかもしれない。
自分がかしこくなったと勘違いしてしまう危険
でも、勘違いしてはいけないのは、ネットの登場によってあなたの頭の中の知識が増えたり、一昔前よりぐんとかしこくなったという訳ではないってこと。何かを知りたいと思ったときに「ネット+検索」という調査方法を使うと探している情報にたどり着きやすくなっただけで、言い換えればめくると答えらしきものがすぐに見つかる魔法の辞典を手にしたにすぎない。
しかし、見方を変えれば、自分がかしこくなるために多くのことを学ぶときには、この「ネット+検索」という調査方法はとても役に立つ。立派な英語の辞書を持ってるからといって、その人が英語がばりばりできる、ということにはならないが、英語ができるようになりたいと思って勉強しようとするときには、その英語の辞書が役に立つ、と言うと分かりやすいだろうか。
ネット上の情報を全て正しいと信じてしまう危険
ネットで検索してたどり着ける情報は多くの場合、正しいことが公開されていると期待するが、中には間違った情報にたどり着いてしまう場合も少なくない。
それを実感として知っているネット歴の長い人達は、ある情報を調べようとするときには、検索でたどりついた一つの結果だけを鵜呑みにせず、いくつか他の検索結果も確認しようとするし、何かを調べなくてはならないときには、ネットから直接答えを引き出そうとするのではなく、調査のための道しるべや思考のための材料を探すためにネットを使う。
「美味しい肉じゃがを作りたくなって、ネットでレシピを調べる」というのをどうやって調べるか? 「肉じゃが レシピ」などのキーワードで検索すれば、たくさんの肉じゃがレシピが出てくるが、いくら「美味しくて手早く作れる肉じゃがレシピ♪」などと書かれたページにたどり着けても、そのレシピの通りに作って本当に美味しい肉じゃがが作れるかは分からない。
レシピを調べて実際に料理をする人なら分かると思うが、ネット上に出てるレシピは本当に玉石混合で、そりゃないよ!とため息つきたくなるほどの手抜きレシピから、書かれてる通りにやればばっちり美味しい料理にありつける素晴らしいレシピまでありとあらゆるものが揃っている。
だから、一つの結果(レシピ)だけで満足せず、いろんなレシピを見比べてみたり、そのレシピの評判を見てみたり、あちこちのレシピの良さそうなところを採用してオリジナルでレシピを作ってしまったりする。ネット上のたくさんのレシピ情報は、自分オリジナルの美味しいレシピを考案するための材料みたいものなのだ。
ネット上の情報で満足するか、ネットを使いこなして自分を高めるか
ネット上からありとあらゆる情報を簡単に得られるようになって、「ネット上を調べればなんでも見つかるから、今更自分で何かを考えたりすることはないよ」って思ってる人もいるだろう。確かに、現状でもかなり多くの情報はネットから得られるし、今後もますますネット上の情報が増えて便利になっていくのは間違いなさそうだ。
でも、本当にネットを活用できるのは、何かを学んで自分の物にするときや、何かを考えるときだったりする。
勉強するときには、どういう風に勉強すればいいのかの手段や経験談、さまざまな問題解決手段、ネットだけではなく書籍から学ぶときに、どういう書籍が参考になるのかという情報、分野によっては、それを実際に作り上げた人や最先端の考えに直接アプローチすることも可能だったりする。
また、何かを考えるときには、一方向から物を見るのではなく、多面的にいろんな方向から見たり、さまざまな人の考えに触れたりするのが重要なのだが、ネットという手段を通じて広い視野を持つことが可能になった。
いままでは、テレビや新聞、雑誌などメディアが流している情報しか見えていなかったのが、ネットが登場し、そういうメディアで取り上げられない、いままで隠されていた情報が存在しているのが分かって来た。また、いままで正しいと信じていたことが、実は間違っていたなんてのも、ネットを通して気づかされることもある。
ネットからただ情報を引き出すだけか、それともネットを使いこなして自分を高めるか。ネット上に溢れる情報量が莫大だからこそ、ただそれを受け身で使うだけの人と、それを使いこなして自分の能力を高めた人の間の差はかつての時代よりずっと大きなものになっていくと思われる。