(ファミリー劇場『ザ★ウルトラマン』放映「全話評」連動連載!)
『ザ☆ウルトラマン』#19「これがウルトラの星だ!! 第1部」 ~怒涛の新展開! 精神生命体が寄生の3大怪獣! 敗死した超人の同族出現!
『ザ☆ウルトラマン』#20「これがウルトラの星だ!! 第2部」 ~古代ギリシャ風のウルトラ人が住むU40! その10億年史! 7大ウルトラ戦士も活躍!
『ザ・ウルトラマン』総論 ~総括・ザ☆ウルトラマンの時代
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『ザ・ウルトラマン』第21話「これがウルトラの星だ!! 第3部」 ~宇宙戦艦数千隻! 機械惑星の重力波攻撃! 超巨大怪獣! ウルトラ人を進化させた超物質ウルトラマインド争奪
暗黒怪獣バゴン登場
(サブタイトル表記の他、凶悪星人バデル族・は虫怪獣ジャニュール三世登場。バデル族は前回は立体映像の中にしか姿は出てこないので、実質的な登場は今回が初めてといえる)
(作・吉川惣司 絵コンテ・小田経堂 演出・辻勝之 怪獣原案・鯨井実)
(視聴率:関東12.3% 中部8.7% 関西10.4%。
以上、ビデオリサーチ。以下、ニールセン 関東13.2%)
『ザ・ウルトラマン』第21話「これがウルトラの星だ!! 第3部」 ~合評1
(文・内山和正)
(1997年執筆)
エレクやロトら巨大化できる七人のウルトラ戦士とウルトラの星・U40(ユーフォーティ)の宇宙艦隊は、バデル族の宇宙艦隊や機械惑星バデルスターに挑むが危機におちいる。自分も宇宙戦艦に乗って戦いたい主人公のヒカリ隊員だが、地球にとっては大切な身だからと許されない。
バデル族はバデルスターと同じ規模の重力波をぶつけてU40を破壊しようとし、操ることは不可能なはずの暗黒星雲の彼方に住んでいる伝説の超巨大な暗黒怪獣バゴンに、ウルトラマインドの力でバデル族の多数が乗り移ってU40の地表で大暴れを始めた。
我らがウルトラマンジョーニアスの妹・アミアはこっそりヒカリ隊員を自分の双胴型の専用機に乗せて、二人で敵戦艦を打ち落としに行く。しかし、専用機は被弾して二つに割れアミアの乗った部分はバデルスターに不時着! 彼女は捕われてしまった! そのとき、ようやく意識を取り戻したジョーニアスがヒカリの心に語りかけてきた……
(以上、ストーリー)
どちらかといえば、魅惑的な設定の羅列という感のあった前回に較べて、今回は「動」の物語となっている。
総力戦に始まり、アミア専用機での宇宙空間戦、後半では掌(てのひら)で握り潰されかねないほどに超巨大な身長938メートルもの怪獣バゴンに挑むウルトラマンジョーニアスの戦いと(「本来操れないものを」……との発言が凄味を与えている)、バデル族が奪ったウルトラマインドを取り戻そうとするエレクら七人のウルトラ戦士の奮闘が並行して描かれる。特にアミア専用機の活躍は彼女のヒカリへの思いと戦いがミックスされ、アミアの危機でサスペンスもプラスされている。
ともかく、アミアがらみの部分が多く、前回よりも魅力的に描かれているといえる。
U40の秘密を守るため、ドラマのラストで地球へ帰ったヒカリからはU40の記憶は消されている。しかし、アミアとともにU40の草原を走った記憶は何となく残される。そしてヒカリを帰しに来た超巨大円盤の出入口ではアミアの泣き顔が……
この回でアミアがジョーニアスの妹であることが明らかにされる。しかし、兄が同化している男に恋する妹の気持ちというものはどのようなものであろうか? ともかく、シリーズにとって新しい魅力的な題材だと思う。
地球では科学警備隊と爬虫怪獣ジャニュールⅢ世(三世)との戦闘中だった。しかし、ジャニュールIII世が急に弱り始めた。U40人が取り戻したウルトラマインドを封じたためなのだが、隊員たちは自分たちの頑張りのためだと思い込む。
アキヤマ隊長は真実を察しながらも、部下たちの努力に報いるために彼らの心を尊重して、真相ともいえる憶測は告げずに、遂にジャニュール三世を倒した隊員たちの努力を称(たた)えてみせる。
このシーンはアキヤマの有能ぶりと優しさを示すとともに、隊員たちがこの3部作の間も地球で戦い続けてきたことを示し、怪獣が19話「これがウルトラの星だ!! 第1部」の終盤に登場していた爬虫怪獣ベドランではなかったことで、「寄生体」が別の爬虫類に乗り移り続けてきたであろうことも物語っている。
ジャニュール三世の名称は作品内では語られていないが、事前にその名称を知っている者にとってはさらにその思いが強まるだろう。ビジュアル的にも19話の前半に登場した爬虫怪獣ジャニュールの同族であることは一目瞭然だ(もっとも、小さな子は19話後半の爬虫怪獣ベドランはどうなったのか? と戸惑うのかもしれないが)。
◎1話から19話までは気合いの掛け声すらなく、無言で変身していた我らが主人公・ヒカリ超一郎隊員だった。しかし、前話である20話のウルトラ七大戦士の変身時の掛け声「ウルトラ・チェンジ!」を踏襲するかたちか、本話よりヒカリも「ウルトラ・チェンジ!」の掛け声で変身するようになる。
それもまた大人になってから観ると真の意味でのリアルさなのか? といった意地悪なツッコミもありうるかもしれない。しかし、変身ヒーローものとしての華(はな)は出てくるのだし、変身もの的な「虚構性」と「リアル性」との折衷としてはなかあかに上手いブレンドではないだろうか?
※:製作No.21『これがウルトラの星だ・U40だ!!』第三部
『ザ・ウルトラマン』第21話「これがウルトラの星だ!! 第3部」 ~合評2
(文・久保達也)
(2019年10月20日脱稿)
「総員、ウルトラチェンジ!!」って、宇宙戦艦同士で戦うのに等身大のウルトラマンへと変身しなくてもいいだろ? というツッコミを入れるのは容易だ(笑)。しかし、きっとウルトラマンへと変身することで、反射神経や脳内処理能力も高まるのだろうし、大量にウルトラマンが出てくることでのヒロイズムや万能感こそに意義があるのだ。
バデル族が自身の星そのものの重力波をウルトラの星・U40(ユーフォーティー)にぶつけてきたり、デタラメにデカすぎる暗黒怪獣バゴンなど、3部作を通して圧倒的なスケール感と神秘性を貫き通したことは賞賛に値する。
ヒカリのU40での記憶がすべて消されるのもリアルというか切ないというか…… けっこう勇ましい姿が多く描かれてきた美少女・アミアが、ラストで見せた涙にはおもわずもらい泣きをしてしまった。
ちなみに、第1話・第12~14話・第17~18話・第20~本話までの各話評の「合評2」は、2019年5月23日からYouTube(ユーチューブ)での配信当時に筆者が寄せたコメントに加筆したものである。これらは各回の配信終了とともに消えてしまうため、もったいないと思って(笑)、中年オヤジの視点で久々に観た感想を採録させていただいた次第である。
編集者付記:
バデル族やU40の各種宇宙戦艦のメカニックデザインはテロップにもある通りで、のちに『超時空要塞マクロス』(82年・http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19990901/p1)シリーズのメカデザインや監督などでも知られる河森正治氏の手によるものだろう。
前2話と比較すると本話の作画は若干劣るのが残念だが、当時の幼児誌などにも事前にその色付きセル画の設定画は公表され(もちろん後年のマニア向け書籍でも公表されつづけている)、その当時としても一級のハイセンスなデザインを見たときの衝撃&感動といったら!
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http://d.hatena.ne.jp/katoku99/19971117/p1
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