宗教学者・人類学者。思想家。1950年、山梨県生まれ。中央大学総合政策学部教授を経て、現在、多摩美術大学美術学部教授・芸術人類学研究所所長。
大学院修士卒業後、チベットでチベット仏教の修行をした。 チベット密教とフランス構造主義を関連づけて論じ、80年代ニューアカブームの寵児となる。 「聖なるもの」といった宗教の理解に関しては定評がある。
だいぶ前に買った本なのだけれど、ふと思い出して読み返す。 あれからだいぶ落ち着いて、気持ちの方の整理も着いてきたと思っている。 思っているだけで、こういう本に手が伸びてしまうのは、まだ整理が着いていない証拠かもしれない。 この本は「チベット死者の書」として知られる「バルド・トゥドゥル」についての解説本と言える。 チベット仏教の中でも、早くから西欧社会に紹介されて、60'sなどにも流行したらしく、当時生まれてなかった自分でもその名を知っている。 第1部は、NHKスペシャルのための台本がベースになっており、当時(たぶん1993年辺り)TVで観た記憶がある。 人の死の瞬間から、輪廻の中へ戻っていくま…
2024/12/11 縄文聖地巡礼 中沢新一 坂本龍一 木楽舎 (2010年5月24日発売) 縄文聖地巡礼 作者:坂本 龍一,中沢 新一 木楽舎 Amazon f.2024/12/11 (2024-103)p.2010/5/26 (from amazon site) ぼくたちは、未来に向かって縄文の古層へ旅をする以前から縄文文化に深い関心を寄せてきた音楽家の坂本龍一氏と、人類学者の中沢新一氏が、縄文の古層に眠る、わたしたちの精神の源泉に触れるため、聖地を巡り、語り合います。 諏訪、若狭、敦賀、奈良、紀伊田辺、鹿児島、そして青森へ――― 社会的な状況が大きく変化している現在、これからのヴィジョン…
人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ1[新装版] (講談社選書メチエ) 作者:中沢 新一 講談社 Amazon 個人的評価★★★☆☆ 21世紀の「第三次形而上学革命」を迎えるにあたり、旧石器人類の思考、国家の誕生、貨幣の発生、神の創造と一神教の成立まで、「超越的なもの」について、人類が考え得た全領域を踏破することをめざした伝説の講義録 Amazon紹介文より らしい。第三次形而上学革命がなんなのか良く分からない(本文中でも示唆されるだけで、あとは想像つくよね?みたいな書き方)けれど、人類の神話の思考を縦横無尽に紐解いていく本。カイエ・ソバージュシリーズとして全5巻あるんだけれど(最後は対称性人類…
構造の奥 レヴィ=ストロース論 (講談社選書メチエ 800) 作者:中沢 新一 講談社 Amazon 『構造の奥 -レヴィ=ストロース論-』中沢 新一著を読む。 大昔、哲学科の学生だったとき、サルトルらの実存哲学に代わって新しい哲学・思想界のチャンプになっていたのが、レヴィ=ストロースらの構造主義だった。『悲しき熱帯』あたりを読んだはずだが。で、文化人類学に興味を抱いた。 この本では、温故知新ではないが、「レヴィ=ストロースの構造主義」の再考・再評価を試みている。 「「生まれながらの仏教徒」としてのレヴィ=ストロースは、まずは青年前期における熱烈な「ルソー主義者」の姿をとってあらわれた。彼はル…
昔目を通していた、「現代思想×社会課題」をいくつかのトピック立てした好シリーズ「思想地図」別巻(NHKブックス)を再読することにした。 もっとも、当時は、4本(1日本、2ジェネレーション、3アーキテクチャ、4想像力)あるうち、前者2本のみを読んでいただけだが。 本格再読はこれからなのだが、今回は、自分が「ゼロ年代思想」に対して取っていた、極めて特殊な距離感について整理してみたい。 「ゼロ年代思想」と言っても、本格的な思想家・哲学者と言えるのは、東浩紀唯一人と言って差し支えないだろう。他の論客には少々失礼かもしれないが… 無論、東周辺にいた多くの学者や論客たちの面々や、彼らの取り組んでいた課題群…
一条真也です。『中途半端もありがたい 玄侑宗久対談集』(東京書籍)をご紹介します。ブログ「玄侑宗久先生との対談」で紹介したように、わたしは5月29日に玄侑氏と対談させていただきましたが、その予習として2012年に刊行された本書を読みました。面白く、かつ学びの多い一冊でした。 本書の帯 カバー表紙には玄侑氏の顔写真が使われ、帯には「語るとは、聞くこと。だから心に響く」「震災前5篇、震災後5篇を厳選」と書かれています。また帯の裏には、「いずれも斯界の第一人者。私としては講義を受ける気分だが、それでは対談にならないので半端な言葉を差し挟む。(中略)大震災の前後で自分がどう変わったのかは、読み返しても…
新潮文庫1998 対談本で面白いと思うものはほぼほぼないのに、古本屋で見つけたらついつい買ってしまって後悔する。今回も後悔する方の一冊だった。 3人はわかり合っているのかもしれないけれども、読者は置いてけぼり。もしかしたら当の3人だって相手の言っていることが分かっていないのかもしれないと思うくらい。 1998年の本。読んで感じたのは、東日本大震災で日本人の価値観や考え方が大きく変化を迫られたということ。原発や自然について話している部分があるが、分からないなりに違和感を感じた。 印象に残ったのは四季についての話。和歌の世界において早い段階で日本に四季があると規定してしまい、それが今のいままで続い…
音楽家の坂本龍一さんが亡くなった。 去年知ったことだけど、坂本さんも縄文ファンだった。 隣町の床屋のオヤジ(高校からの友)に、 坂本さんのような髪型にしてくれと言う。 オヤジは「そがんこと、でけん」と答える。 仕方ないので後頭部を大分刈り上げてもらった。 去年の秋、天草の図書館で潜伏キリシタンの本を漁っていた時に、書架の中から運よく「縄文聖地巡礼」を発見(発掘)した。2010年5月発刊。パラパラページをめくり「これは買わんといかん!」と思い、帰宅するやいなやアマゾンで買い求めた。 宗教学者中沢新一氏との共著で、二人で北海道から沖縄まで日本中、縄文の聖地を巡礼しながら現代の文明を自問し、批判する…
雨の中、娘氏は都内へ。知り合いづでて某メディアから出演依頼を受けている。 最終的に引き受けるかどうかは未定だけれど、社会科見学と思ってとりあえず行ってみれば〜、と勧めておいた。 「あなたにぜひお願いしたい」と誰かに言われたことは、自分が思うよりも適性のあることなんだと思うので、嫌じゃなければ思い切ってトライしてみるといい。とりわけ若いうちは。 このところ、何かと彼女に行ってみれば、やってみれば、とすすめている気がする。 自分からがつがつ何かに手を伸ばしてる感じは特にないのに、向こうからいろんなものが降ってくる感じ。 あんなに一日中引きこもって病んでいたのが嘘みたいに、娘氏の日常がアクティブにな…
おはようございます。 読書がライフワークになっている 医療業界のコンサルタント ジーネット株式会社の小野勝広です。 先日ある歴史番組を観ていた時に 娘に仏教は勉強しなきゃダメだぞ…と話したら 父さんは仏教の何を知ってるの?と聞かれ 絶句しました。 そうです。 何も知らないに近いわけです。 何となく日本人だから仏教みたいな感じはあるし、 おそらく知らず知らずのうちに 何らかの仏教的な価値観が身についているというのは 少なからずあるとは思うんです。 しかしそれが何?と問われると う~む…と唸るばかり…。 娘とそんな会話をしていた時に あ!と思い出しました。 以前に面白そうな本を買っていたんです。 …
ウォーキングのお供 halfboileddoc.hatenablog.com 前回あげたKindle paperwhiteによって本を読む量はうっすら増えた。公共交通機関に乗ったりする間や待ち時間とかに、このpaperwhiteがとても有用だった。 また、以前は歩いてる時音楽を聴いていたのだが*1後半はpodcastを聴くことが増えた*2。 コテンラジオが面白くて、コテンラジオにはまった。*3最初から聴き直して70%くらいのところまで進んだ*4 coten.co.jp 未来を読む 混迷の時代、この先どうなるのか。 いまいちよくわからない。 コロナの時点で自分の理解を超えてしまったからだ。 なの…
弘理子監督『鹿の国』を観る。予告からは「秘められた神事にカメラが潜入する」的なテイストを予想していたのだが、実際には「中世に途絶えた神事(の一部として行われていたはずの芸能)を再現する」という試みについての映画で、期待していた方向性とは違ったがかなりおもしろかった。いわゆるパンフレットは「公式ガイドブック」と題され、2,000円もするのだがこれは買っておくべきだろうということで買った。巻頭に中沢新一のコメントがあってああそういう感じかあ、と一瞬思ったけど、たぶん真面目な内容なのであとで読む。 連想したのは、木ノ下歌舞伎を見たときに主宰のブログとかで読んで知った補綴という概念。ここになぜロマンが…
小松和彦『異人論―民俗社会の心性』(ちくま学芸文庫 1995年) あの世や他界の話から少しずれますが、『異界と日本人』を読んだ流れで、同じ著者の作品を読んでみました。昨年12月の古本市で購入したもの。まず、中沢新一による「解説」に眼を通して、大学院生だった小松と学生だった中沢の二人が、民俗学を志し、当時流行だった構造人類学を援用しながら、一緒に研鑽する姿が活写されていて、ほぼ同世代で、何をしてよいやらウロウロしていた私としては、羨ましさを覚えました。 小松和彦は、自分の問題意識を明らかにし、探求の手順を分かりやすく見せながら、丁寧に書き進んでいく書き方をしており、好感がもてました。最初は、純然…
2025年1月1日(夜) 本日の夕食は、大晦日に買っておいたスーパーのサンドイッチとコールスローです。おせちは少し食べたけど、ま、こんなもんでしょ、という感じです。さっさと部屋に戻り、1人これを食べました。 無性にサンドイッチが食べたかったのですが卵サンドや野菜サンドが無くて、選択肢がハムサンドかハムカツサンドしかなかったのでこれにしました。総菜コーナーは殆どおせち用品に占拠されていましたからねえ。ちなみに昨日で消費期限が切れていますが、大量の添加物が使われているので1日2日過ぎたところで腐る訳がありません。ハム卵サンドというより毒サンドってことです🙂 想像の数倍、上を行く不味さだなこれ。業務…
日本人の3分の1は日本語が読めないらしい(©橘玲『もっと言ってはいけない』). ラ・ラ・ラー♪. これは言われてみるとそのような露悪的なスペキュラティブデザイン,アナロジー,想像力によって見えてくる一面もあるはずだ(村上春樹的/早稲田大学文学部/東京左翼批評). ただこれは言っちゃあいけない真実だけども日本人の殆どが老害もZ世代も含めてTV=YouTuberを愛しているのだ(ジョジョリオンこと8部にはネタバレになるがアケフサトルという老害の医学委員長といかにも若者な下北沢にいそうなトールという医学部研修生が共犯関係で出てくる). お笑いという現実逃避や漫画という現実逃避,ソーシャルゲームという…
というわけで、いよいよ大晦日。 今年読んだものは、 2024読書 1月 1.異能機関(上)/ スティーブン・キング 2.異能機関(下) 3.同志社大学神学部/ 佐藤優 4.経験を盗め 心と体の不思議編/ 糸井重里 5. サンデル教授の対話術/ マイケル・サンデル、小林正弥 6. 極限状態を刻む俳句/ 大関博美 7.新版・俳句歳時記ー秋/ 桂信子、金子兜太ほか監修 8.ヒトラーの馬を奪還せよ/ アルテュール・ブラント 9.ランチェスター戦略超入門/ 福永雅文 10.生きて帰ってきた男/ 小熊英二 2月 11.禅学への道/ 鈴木大拙 12.すばらしい医学/ 山本健人 13.大常識/ 百田尚樹 14…
【サファイアで抜けていく感覚!?(再掲載1542)】 plaza.rakuten.co.jp 信仰してしまう人は盲目的。何かで凝り固まると、何か以外が全くみえなくなる。そこで、自己愛完結体が一丁あがりとなる。それにしても、我ながらまとめの1万記事ブログ3種比較していると、おやっ、はたっとする記事に遭遇することが多々ある。中沢新一の『野うさぎの走り』ではないけど軽快に動き回れるところがこちらにはどうもある、と。一つ教訓になったのは2004-2006当時、塾業界にて自称スーパースターの徹底振りで、ビデオ制作に2000万突っ込んだ、とか。また、主要人物検討するとき、ほぼ、全著作をかき集め、一気に眼を…
どうもShinShaです。久しぶりに早稲田穴八幡宮に行ってきました。今年の1月、故郷にいる母親から身体御守がほしいといわれ、穴八幡に立ち寄った時から話は始まります。 早稲田で時々仕事をしているので、人気がある穴八幡宮にはきっと良い御守があるだろうと思いました。実際に行くまで人気の理由を知らなかった。何も分からぬままに列に並んで手にした御守を見て、穴八幡で販売している御守が、「一陽来復御守」という名の”金銀融通御守”だと知ったのです。 これを手に入れればお金がザクザク入ってくる??そんな訳ないでしょう。しかし知ってしまった以上、買わずにはいられません(笑) そして、今度の冬も早稲田穴八幡宮を訪れ…
今年の年間読了リストです。国内小説・ノンフィクション、外国小説・ノンフィクション、企画本、新書の順に並べました。有吉佐和子「複合汚染」(新潮文庫)有吉佐和子「私は忘れない」(新潮文庫)池澤夏樹「やがてヒトに与えられた時が満ちて…」(角川文庫)五木寛之「青年は荒野をめざす」(文春文庫)遠藤周作「侍」(新潮文庫)大原まり子「タイム・リーパー」(早川書房)小沼丹「黒いハンカチ」(創元推理文庫)小野不由美「ゴーストハント①旧校舎会談」(メディアファクトリー)倉橋由美子「大人のための残酷童話」(新潮文庫)佐藤正午「身の上話」(光文社)佐藤多佳子「第二音楽室」(文藝春秋)佐藤多佳子「聖夜」(文藝春秋)佐藤…
(2016/6/29) 『霊能動物館』 加門七海 集英社 2014/11/5 <憑きものの部屋> 1、 どこかから来て、縁もない人に取り憑くもの。 2、 ひとつの家系が血筋によって受け継ぎ、増やすとされるもの。 3、 祈祷師などが使役する、式神的な働きをするもの。 『狼の部屋』にて、私は憑きものを大きく3種類に分類した。 今回、俎上に載せるのは、主にこの中の2と3だ。 ・何種類もいる憑きもののうち、オーサキについては『狼の部屋』にて少々取り上げた。このオーサキをはじめ、憑きものと呼ばれる動物達のほとんどは地域や家筋に属している。『憑きものの部屋』を記すに当たって、一番厄介な問題は、これらにまつ…
不謹慎系YouTuber坂口章が分からぬ輩は♀に等しい. これが古市憲寿という男の頭の中だよと 古市憲寿=蓮實重彦 vs 古田更一=中沢新一 で本歌取りをしてみたり. だけど,古市憲寿は石丸市長を潰しちゃった. 最高,最高,ディストピア最高. やっぱり古市憲寿はおっかいないんだなぁって笑ってみたり. 最高!最高!加速主義最高!大学で勉強することは哲学か科学ぐらいしかない!とすかさずフォローしてみたり! 酒飲まずに酔っ払ってる. あ〜よいしょ―. 不謹慎系YouTuber坂口章最高最高最高すぎ でもその極端な意見は伝わらず, つーか自殺したゴダールレベルでしかなく 間とって女性でええやんとなって…
ドナルド・トランプが産声を上げていて安倍晋三首相が大人気で宮台真司がウーマンアッシュアワー村本を未だに4なないダースレイダーと褒めちぎって朝生批評をしていたときに僕の青春,Z世代文学の始まりがあった. 集英社の二次面接で話したがヤングジャンプがドナルド・トランプ大統領が大活躍していた頃に異常な人気を誇っていたことを話した. 今は全く読んでいないがガンツや東京喰種,なんとかなんとかとかなんか出ていた. その熱気自体はどうでもいいが,面白いから読んでいるというわけではなく東京喰種は1番何か新しさを言語化している感じがした. 今思うと東京喰種の何が新しかったというと「冷笑」という表現を意外にも初めて…
前に『ある日本共産党地区委員長の日記(一九七七年〜一九八四年)』を書いた鈴木謙次さんに公開書簡のような感想を書きました。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com その鈴木さんから返事が届きました。 ご本人の了解を得てここに紹介させていただきます(改行はぼくがしました)。 ------ ここから ------- ネット「紙屋研究所」の「書評」を、昔からの分を、引っ張り出して読んでいる。 漫画批評はどうも馴染みのない世代であるから苦手だが、他のものは、私とかなり世代が違うのだがとても共通する問題意識だったり、感想だったり、びっくりしたり、感心したり、とても面白く読む。 「紙屋問…