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そりゃ下がるだろ......

13Hzさま経由)
朝日新聞が珍妙なニュースを上げている
http://www.asahi.com/business/update/0606/155.html

村上ファンド、神通力も減退 企業業績向上せず

要は村上ファンドが大量取得した企業の業績が向上していない、という事なのだが、所詮人のやる事なので神通力なんてあるわけじゃないのに、村上氏を神格化しちゃってたって事なんだろうか。
 中身は、

  1. 村上氏の大量取得した会社の株価は3年間上昇を続けるけれど、ROAは下がるという大学教授の指摘。
  2. 今年に入ってからの村上保有銘柄は下落率が高い事を示す証券会社系の分析。
  3. 朝日新聞お薦めのファンドの紹介。

となっている。

 村上ファンドのやり方というのは、「含み資産を多く持って会社資産を過小に評価して社員にも株主にも還元していない会社」を探して株式を入手し、株主として「余剰資産を圧縮して株主に還元するか新規事業に投資せよ」と圧力を加えるわけだ。
で、隠し資産が表に出たらROEROAも下がるよね。だって隠してた資産を計上したら総資産が増えるもの(というより、以前のROE/ROAを粉飾してる感じ)。さらに対村上で防衛策実施したり、株主への還元をしたら、隠していた利益を計上して節税してた税金を払って配当したりしなくちゃだもの。ROAは少なくとも一時的にどぉんと下がるよ。新規事業もしないけど妙に資産があって防衛目的で高額配当続けたりすれば、長期的に落ち込む。
 というわけで、大学教授の説は村上ファンドのよく知られた投資パターンの説明でしかないが、株をやるのなら知っておいた方がいい事。

 次の証券会社のも結構大事。村上ファンドの信頼がないのか、基本的に経営陣は防衛的だ。含み益を解消して新規事業やろうなんて会社、まずない。会社が株主に「過去の利益」の還元をやったら、株価は落ちるって事。村上ファンド自身が全株を売り抜ける理由もそこにある。株主に渡すのは「本来は過去の株主に支払うべき過去の利益」で、資産相当にまで株価が上がってたら、放出した資産分だけ株価が下がっても不思議じゃない。こっちは配当についての初歩の初歩。

 ここで問題は、村上ファンドから自社を防衛したい経営者にも、村上ファンドにも言えるのだけど、結局単なる「清算」になりがちで新規事業投資にはお金がまわっていない気がするって事。
 経営者は新規事業投資をしないと判断してるし、村上ファンドは次の目標を清算すべく資金を使っただろうし、還元を受けた他の株主は再投資するかしないか判断して、投資に回さなかった部分も大きいだろう。
 そうすると、村上ファンドの活動によって日本の生産力は縮小してしまうのかって事なんだが......正直あまり心配していない。村上ファンドは「過去の利益を貯め込みすぎた会社」がないと同じやり方では活動を継続できない。熱帯雨林で倒木を餌にしてるシロアリのような活動なのだ。そういう奴が増えるとしたら、無駄に資産を貯め込む経営者が多いって事だ。有害な殺虫剤撒いて他の多くのプレイヤーもろとも殺してしまえって話じゃない。神通力なんかないが、そういう活動をするプレイヤーも必要。いろんなプレイヤーがいないと社会も市場も成り立たない。
 ここまでない頭で考えたら、シロアリに殺虫剤撒いてからこんな当たり前の事を持ち出してくる新聞記事って、ぼろ儲けしそこねて悔しいのか、なんかに突っ込んで大損したのかどっちだろうか.....とか、なんでそこでろくに説明もせずにお薦めファンド?....とか疑問に思うね。