イラストにおけるキャラクターの撮り方、考え方、tips
皆さん、こんにちは、ベルマーレが三連敗してしまい、ふんだりけったりの管理人でございます。こんにちは。腹立たしいので、今日はサッカーの話でなく、久々にイラストの話でもしようかと思います。
そもそも、この時期は、J2サポにとっては、精神的にきっつい季節で、カリカリしてるです。まあ、次は真面目に香川の話でもしますが、今日は、サッカーの話をする気分じゃないので、久々にイラストの話でもします。
イラストにおけるキャラクターとカメラの話
さて、昨今、デジカメが安くなってきたせいか、イラストの描き方に色々と変化が起きているように思います。絵を描くときは、参考資料に写真を撮るのが普通ですけど、そこで問題になるのが、写真の撮り方です。
えーと、最近はデジカメの安いのでも、ズーム機能とか手ぶれ補正とかついているので、素人でも簡単に広角と望遠を使い分けて写真撮れるようになりました。
ちょいと前に話題になった話ですけど、「中国嫁日記」で有名な井上純弌さんが「萌え絵は望遠」って話をしてます。面白い話なので、これ、ちょっと紹介しておきますが、萌え絵だけでなく、基本、カメラで人物撮る場合、「望遠レンズで撮る」のが基本になります。
で、カメラに詳しくない人の為に、広角レンズと望遠レンズの違いを、ちょっと説明しますけど、広角レンズのほうの代表的な効果は、「パースペクティブ効果」と「デフォルメ効果」になります。
「パースペクティブ効果」ってのは、ようするに遠近感の事です。広角レンズだと、遠近感が強調されます。
ちょっとwikipediaの「広角レンズ」の項目から引っ張って来ますが、
標準レンズ
50mm(35mm判)
対角線画角46°中望遠レンズ
100mm(35mm判)
対角線画角24°
橋の欄干やその影に注目すると、24mmではかなり奥まで合焦しているように感じられる。50mmでは橋の中ほどより先ではボケている。100mmでは欄干はボケている。なお作例では、被写体(人物)の大きさを一定にしようと撮影しているため、カメラから被写体までの距離(ピント位置)は異なる。
より
違いはこうなります。広角レンズの写真の場合、パースペクティブ効果によって、遠くのものがより遠く見えます。遠近感(パースペクティブ)が強調される訳です。もひとつ、英語版wikipediaから画像ひっぱてきますが、
これなら、よくわかるかと。広角レンズだと、遠くのモノが非常に小さく見えるようになるんです。これがパースペクティブ効果です。55mmくらいの標準レンズだと、そこまでパースペクティブ効果は出ません。望遠レンズ(70mm以上)だと、今度は遠くのモノが大きく見えるようになります。
それから、もう一つ、重要なのが、「デフォルメ効果」になります。また、wikipediaから引用しますけど、
デフォルメ効果
被写体との距離が近いとパースペクティブ効果の影響で、肉眼で見たときに比べて、近くにある被写体はより大きく、遠くにある被写体はより小さく写る。このデフォルメ効果により、被写体との距離が近いと人物撮影の場合は、肉眼に比べて、鼻が大きく目が離れて写る。
これですね。広角レンズで被写体に近寄って写真を撮ると、デフォルメ効果が発揮される為、肉眼に比べて、鼻が大きく目が離れて写ります。
で、一方で、望遠レンズなんですけど、これの特性で抑えておかないといけないのが二つ。これまた、wikipediaから引用しますけど、
切り取り効果
画角が狭いため、狭い範囲を切り取るように写すことができる。
圧縮効果
近くの被写体も遠くの被写体も大きさの変化が少なくなり、遠近感が少ない写真になる。
圧縮効果により、カメラに対して傾斜した面の傾斜角が、極端に急角度に見える。
の二つになります。特に、望遠レンズの圧縮効果は重要でして、超望遠レンズ(200mm以上)を使うと、後方にあるはずの物体が、馬鹿げたほどでかく写ります。なので、無意味に迫力がある写真が撮れたりします。たとえば、超望遠レンズで、山とか太陽を映すと、もの凄くでっかい太陽が取れたりします。
さて、ここまで、広角と望遠の二つのレンズの違いについて書いてきたわけですが、なんで、この話をするかってーと、これ、イラストの描き方に関わってくる問題だからです。
広角と望遠で、キャライラストを描くと、どういう変化がおきるのかという話
さて、こっからが本番なんですがね。
最初に、基本、カメラで人物撮る場合、「望遠レンズで撮る」のが基本って話をしました。なんで、人物撮るのに望遠のが良いの?というと、これ、実際に、広角で撮った写真みてもらうのがてっとりばやいんですがね。
これです。
えーと、これは、ハルヒのねんどろいどを、デジカメで、広角と望遠で撮った奴なんですが、違いがすぐわかりますよね。広角で撮った方は、「デフォルメ効果」が出てしまってます。
つまり、広角レンズのほうは、鼻が大きく、目が離れてしまい、また、髪飾りと髪、耳が顔の横に隠れてしまってます。これ、全部、広角レンズのデフォルメ効果によるもので、広角レンズで人物を撮ると、多かれ少なかれ、この効果が写真に出てしまうんです。
ポートレートを作る時には、望遠気味で撮ろうと言われ理由が、こんなところにある訳です。広角でポートレートを作ろうとすると、デフォルメ効果によって、顔がゆがんでしまうので、あまり好ましくないわけです。
一方で、望遠で撮ったほうは、この手の歪みがでない訳で、肉眼に近い写りになってるわけです。
で、もういっちょ。これはイラストでやりますが、手元にある「すーぱーそに子」のフィギュアを、広角レンズと望遠レンズで写真とって、それぞれの特徴をイラストにしておこすと、こんな絵になります。
まあ、こんな感じです。イラストにしたのは、広角、望遠での描き方に、ちょっと手を加えたかったからです。この話は、ライティングの話も含むんですが、この話はあと回しにして、ちょっと、それぞれの絵に出てしまっている広角レンズの効果と、望遠レンズの効果の話をしましょう。(あらかじめ言っときますが、人物をカメラで撮る場合、綺麗に取れるかどうかは、はっきりいってライティングが命です。ライティングが一番大事。)
まず、広角そに子の絵ですけど、広角で撮った写真を元にしているので、広角レンズ特有の効果が出てます。つまり、デフォルメ効果です。顔に関しては、目がちょっと離れて顔がゆがんでます。デフォルメ効果がちょっとでちゃうわけです。でもって、ヘッドフォンが顔の後ろにまわりこみます。アップにしないでも、ほんのちょっとですけど、こうした効果が出てしまう訳です。
また、パースペクティブ効果によって、前方に突き出た胸と手が大きくなります。そに子のフィギュア使ったのは、胸の大きさの違いが読者にもすぐわかると思ったからでしてね。
広角レンズで、人物やフィギュアのアップを撮って、それを元にイラストにおこすと、こうした効果が出てしまう訳です。
一方で、望遠レンズのほうは、より萌えイラストらしい絵になります。パースペクティブ効果がないので、遠近感はほぼゼロです。だから、胸や手が大きく写る事はありませんし、体や顔に歪みは生じないわけです。
カメラマンが「人物撮るなら望遠レンズがオススメ」というのは、こーいう理由があるわけです。広角レンズによるデフォルメ効果を避けて、望遠レンズで撮った方が顔に歪みが生じないからです。
これ、イラストの世界でもそうでして、基本的に、顔や体は大概全部、望遠レンズで撮った写真のような描き方をします。なんでかっつーと、体に歪みをいれたくないからです。広角にしてデフォルメ効果が入ると、体の歪みが入るのを嫌う人は結構います。
ただね、広角レンズで接写するのが駄目ってわけじゃないんですよ。広角レンズの効果の一つであるデフォルメ効果は、使いようによっては、対象を可愛く、美しく見せてくれます。(やりすぎはNGですけどね)子犬の写真とかでよくありますが、広角レンズでアップをとり、デフォルメ効果を利用して可愛さを強調するというのは、よくあるやり方の一つです。
望遠レンズの効果と映像作品
さて、望遠レンズなんですが、イラストの世界だけでなく、映画の世界でも多用されてます。特に有名なのは黒澤明作品でしょう。「7人の侍」以降、黒澤作品は、チャンバラシーンで望遠レンズを多用してます。なんでチャンバラで望遠?というと、これ、望遠カメラ使うと、実際は離れて斬り合ってる二人の剣士が、接近して見えるという効果を上手に利用してるからです。この効果をうまーく使って、迫力のあるチャンバラシーンを演出してるわけですね。(現状では、これデフォルトのやり方に近いです)
望遠レンズで撮ると、もう一つの副二効果として、「動きがよりスピーディーに見える」ってのがありまして、非常にチャンバラとか、どつきあいに迫力がでるわけです。(ただし遠近感が損なわれるというトレードオフが働きます)
ちと、暴れん坊将軍の殺陣シーンの動画張って置くので、みといてください。
暴れん坊将軍の殺陣シーンは、僕大好きなんですがね。もの凄くわかりやすいし、スピード感があって迫力がある。これだけの殺陣シーン、そうそう出来るもんじゃないですよ。
これ、アニメの世界や漫画の世界でも、よく使われる手です。広角レンズで撮った映像で銃打ち合ったり、チャンバラすると、距離感が出すぎてしまい、臨場感が出しにくい。
なんで、迫力や臨場感を出したい時には、望遠レンズ的表現を多く使う作家が多い訳です。
スポーツの世界でも望遠レンズは、現状、必要不可欠でして、モータースポーツから球技に至るまで、大概、雑誌の表紙を飾ったりするのは望遠レンズで撮影した写真です。
スポーツ漫画の金字塔である「スラムダンク」なんかもそうなんですけど、あれ、望遠ばっかです。試合では、望遠ばっかで、試合の描写が行われます。なんで、望遠ばっかなの?というと、これ、迫力と臨場感なんかが違うんですよ。
それとね、ちょっとした井上雄彦の、漫画テクニックですけどね。
解説が入る場合、引きの絵を使い、バスケが始まると、寄せの絵を多用するってのがあります。これ、ちょっとした演出テクですが、効果的なんですね。引きの絵は、第三者視点としての効果を強くもつので、迫力や臨場感がないですけど、解説に向いているんです。一方、寄せの絵は、臨場感があるので、バスケの描写は主に望遠での表現でやると。もっとも、スラムダンクの場合、望遠のまま引きの絵をやるのが多くて、広角で引きの絵を使う事はあんまないんですけどもね。(ぶっちゃけ漫画で広角レンズの表現を使う人、あんまいません。必要ないから。)
で、サッカー漫画だと、キャプテン翼の「望遠の密輸」が印象深いんですけどね。
こーいう奴です。引きの絵は、広い範囲を移せるので、場面の解説には向いてるんですけど、臨場感を殺いでしまうという欠点があります。なので、引きの絵の中に、人物のアップを描き入れてるんですね、ココ。こうすることで、読者の臨場感を殺がないようにするって手法です。まあ、この場面のアレはサッカーのルール的にはありえないんですけど、場面の描写として、非常に上手いやり方だなーと感心してしまう部分もあるわけです、漫画の演出的にはね。
勿論、逆のやり方もあります。「広角の密輸」って僕が呼んでる手法です。つまり、ですけど、望遠の絵に遠近感をもたせるために、わざと一部にだけ広角レンズ的な表現を持ち込むやり方です。最近、これ多いですね。ワンピースのせいかもしれませんけど。望遠の映像かどうかは、顔を見れば、大体わかるわけですよ。アップの時、デフォルメ効果がでてたら、そりゃ広角ですから。(簡単な見分け方としてはアップの時に耳が小さく写ってるかどうかがポイントになります。アップの時、小さくなってたら広角です。)
ところが、明らかに望遠レンズで動きの描写やってるのに、突如、一部に強烈なパースのある絵が出てきたりする。これ、映像的にはアレなんですけど、演出的にはオッケーなんです。だって、そのほうが奥行きがでて、逆に迫力でたりするじゃないですか。
広角レンズと映像作品
で、次に広角レンズと映像作品になります。広角が活躍するのはデフォルメ効果とパースペクティブ効果を意図的に利用したい時で、たとえば、胸の大きさを強調したい時とか、足の長さを強調したい時などに、意図的に広角レンズでアップの絵を撮ることがあります。広角レンズで胸を撮ると、胸が大きくなる効果が得られます。足もそう。広角レンズで煽り気味の構図で撮ると、足が長く見える効果が望めます。(といっても、これ結構難しい撮影テクニックなんですけどね。。。。)
さて、広角レンズでカメラ撮影を行う場合に、カメラマンが気をつけないといけないのが、カメラのポジションです。広角でのポートレートの場合、お勧めは、ウェストレベルです。なぜ、ウェストレベルかというと、アイレベルだとスタイルが悪く見える傾向があり、ローレベルだと足が太く写ってしまう傾向があるからです。もう一つのオススメがハイポジションです。
さて、これも、ちょっとフィギュアでやりましょうか。手元にある「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のヒロイン、きりりん氏のフィギュアつかってイラスト起こしますが、
これ、広角レンズでローアングルで撮ったフィギュアの写真を元にして描いた奴です。広角レンズでリアル女性をローアングルから撮ると痴漢で訴えられるので注意してください。
で、なんですけど、これねー、カメラマンとかイラストレーターがあんまり、この構図使わない理由なんですが、「足が太く見える」ってのがでかいです。これね、広角レンズでローアングルで撮る場合の問題で、この絵でも足が太くなってます。パースペクティブ効果のせいなんですけど、手前にあるモノが、より大きくなってしまうから、女性の足が太く長く見えてしまう。
このイラストですけど、出来るだけ自然に見えるように描いてるので、この程度で済んでますけど、超広角レンズを使ってローアングルから女性を撮ると、滅茶苦茶に遠近感が出て、足が凄い事になってる写真が撮れる事があります。足が長く見えるようになるのは良いことなんですが、長くなりすぎて不気味すぎる!!って写真が撮れちゃうんですわ。
そんな訳なので、広角ローアングルで、萌えイラスト描く人は、ほっとんどいません。ひとつ間違えば、不気味な絵になるからです。
さて、次にウェストレベルの奴に行きましょう。
広角レンズを使う場合、ウェストレベルがオススメと書いた理由はコレです。割と自然に見えることが多いんです。足が長く見えるという効果を残したまま、割と自然な写真が撮れるんですね。なので、広角でイラストを描く場合には、ウェストレベルにカメラを合わせると、良い結果が望めます。特に、萌え系のイラストの場合は、そうです。
で、次がアイレベル。
こうなります。足描くの忘れてました。すいません。アイレベルはあまりオススメできない・・・という話をしたかったのに、足を描かなきゃ、そこそこ自然には見えます。最近、イラストで、こういうの多いですよね。アイレベルで広角で描いてるような奴。萌えイラストでも、そういう描き方してる人が、ちょこちょこいたりします。まあ、みんな望遠で描いてばっかりいるので、たまには違う表現をしたくなるのが人情というものです。
で、最後がハイポジションの奴になります。
これですね。こういう奴も、最近、ちょこちょこ描く人いますよね。これ、問題となるのが、ハイポジションで撮っちゃたので、右足消えちゃいました。あと、ハイポジなので、足が短く細く見える効果が出てます。そういう効果をいやがる場合は、これ、使わない方が懸命です。あと、ハイポジで描くと、顔が大きくなる効果が絶対出ます。これ、広角レンズのデフォルメ効果によって、より可愛い絵に見える事があるので、そことの兼ね合いになります。
個人的にはハイポジで広角で撮った写真を元にキャラ絵を描くのはアリだと考えているクチです。結構、可愛い絵が描けるんですよ、コレ。
さて、ここまで広角と望遠、それからカメラポジションの話をしてきた訳ですが、「ワンピース」って漫画の特徴について
さて、ここまで、広角と望遠、それからカメラポジションのお話をしてきましたが、ここからは漫画「ワンピース」の演出のちょっとした特徴の話に写りましょう。
こっちに、2ちゃんのまとめの奴があるので、そこからちょいと画像拝借してやりますがね。
これね、ドラゴンボールとワンピースの比較になるんですけどね。
DBとワンピースで、どっちが絵が上手いかって話をしたいんじゃないんですよ。鳥山明が戦闘シーンの描写をする時と、尾田栄一郎が戦闘シーンを描写する際に、明らかに演出方法が違うんです。
上記のスレで「ワンピの絵はわかりにくいけどDBの絵はわかりやすい」って話がでてます。でもね、これ、二人の演出方法の違いのせいなんで、画力の違いって訳でもないんですよ。
ワンピースと尾田作品の特徴に、カメラポジションとカメラアングルがあります。まず尾田作品は、カメラのポジションが低いんです。ウェストレベルか、ローポジションに設定されている事が多く、ローアングル(被写体を見上げるように撮影する技法)を多用する所に特徴があります。
ハイ・アングルってのは被写体の上から、ロー・アングルとは被写体の下から撮られた奴です。
ローアングル(英語:low-angle shot)は、低い視点から仰角気味に撮影するカメラの撮影技法。高所からの視点に比べ撮影対象の人物が良く浮き上がる手法でもある。煽り構図ともいわれる。
ローアングルの映画と言えば小津安二郎の監督作品が有名だが、小津ほどの徹底性はないにせよ、加藤泰もまたローアングルを作風の特徴としている。
特に、小津らの手法は地面すれすれにカメラを設置して撮影を行い、日本国内にとどまらず世界の映画監督に影響を与えたとも言われている。
ローアングルを使った洋画としては、小市民ケーン、スターウォーズ、サイコなんかが有名ですけど、ローアングルを使うと、被写体の高さが強調され、もの凄い迫力のある絵や動画が撮れます。一方で、デメリットとなるのが、周囲の状況を写しにくいため、水平アングルやハイアングルより、場面の状況がわかりにくいってのがあります。
それで、なんですけど、尾田作品って、戦闘シーンでは、迫力を重視した作画をするため、カメラポジションが低く、ローアングルからのコマが非常に多いんです。だから、迫力はあるけど、状況がわかりにくいってコマが多いです。でも、それがあの作品の良さでもあるんですよ。ローアングルで描かれた世界観というのは、漫画の世界じゃ、結構独特ですからね。あれはあれでアリなんです。
一方で、DBや幽白なんかは、カメラの位置は、アイレベルか、ハイポジションが多めです。戦闘シーンでもです。だから、状況が非常にわかりやすい。
このシーンだと、カメラの位置はアイレベルか、ハイポジです。アイレベルだと画面に落ち着きが生まれますし、ハイアングルだと、全体の雰囲気や奥行きを読者に伝えやすいという効果が生まれます。
なので、DBの戦闘シーンのほうが、読者としては、状況や雰囲気を掴みやすいのは当然なんです。カメラの位置がそもそも違うからです。
もう一つ、幽白のほうですが、
これですけど、これ、カメラポジションは、ほぼアイレベルオンリーの望遠レンズの表現です。一番、人間がなれてるレベルの視線の高さなので、画面には安定感があります。この頃の富樫作品は、望遠の表現が多いです。最近はワンピの影響か、広角の表現を使ってるのみかけますけど、望遠での戦闘描写がこれだけ上手いなら、別に広角使わなくてもいいじゃんとか、僕は思うんですけどもね。
鳥山作品や、富樫作品(初期)は、望遠中心の表現が多く、カメラの位置もアイレベルか、ハイポジなんで、読者にとって分かりやすい作画になってます。
一方で、尾田作品の場合、広角の表現をかなり使い、カメラの位置も、ウェストレベル以下のが多くて、ローアングルでの作画が多い。ココが明確に違うんです。尾田作品も望遠はよく使いますが、カメラポジションが、低いのは変わってません。ココに、ワンピのカメラポジの特徴があるわけです。ハイポジは、ほんと滅多に使いません、ワンピースでは。
最後に、アニメ「アクセルワールド」のOP張っときます。上記のような事を踏まえた上で、動画を見ると、色々と発見ができるのではないかと。
最後にライティングの話、何でプリクラは可愛く取れるのか
さて、もう、疲れてきたので、そろそろ最後の話をします。
最近、「プリクラの写真って何でデジカメで撮ったのより可愛いの?」という話を振られたことがあります。糞真面目に答えた結果、ドン引きされました。
ただ、悔しいので、興味のある人向けに、何で、プリクラは可愛いのか、それからライティングの話を最後に行います。
ちと、アニメ「けいおん!」の壁紙を貼ります。
ちょっとハルヒの奴も混じってしまいましたが、この作画で、すぐ気がつく事があります。何かっていうと、影を全然つけてないんです。特に、けいおんの水着写真なんて、おかしいんですよ。太陽がさんさんと照りつける南国のビーチで、影がでないとかありえない。
でもね、これ、最近のポートレートのライティングや、プリクラのライティングの傾向を知っていれば、そんな馬鹿げた演出じゃなくて、当然の演出でしょって話になるんです。これね、手抜きじゃないです。意図的に影つけてないんです。
なんで、影つけなくなってるのかっていうとね。これ、最近のポートレートのライティングの話になるですよ。ちと、webで有名な「玉ちゃんのライティング話」を紹介しておきますが、以下の記事です。
第12回 レンブラントライティングで撮るポートレイト
第13回 ループ、スプリットそしてバタフライ
第14回 ポートレイトライティングの組み立て
ちと、第14回のコラムから引用させて頂きますが、
玉 最近はこうした回し気味の光が主流ですからね。やはり、ループやレンブラントのライティングパターンはモノクロ写真時代に考えられた手法、つまり光と影の表現です。しかしフィルムがカラーになると、ライトコントラストよりも色の美しさ、滑らかな繋がりが重視されるようになった。カラーではどうしてもシャドー部は色が濁りますから、中間調からハイライトを重視した回し気味の光の中で、階調を美しく出していく表現になるのですね。
編 そう言えばモノクロのポートレイトでは、今でも明暗のコントラストをつけた表現が多い。
玉 さて、作例4はさらにフィルインの出力を上げて、メインとの差をなくした完成カットです。こうなるともう、顔左側の影もなくなり、レンブラントでもループでも関係なくなりますね。
編 へ…? 関係ない?
玉 だってレンブラントもループも、シャドー部の影の形で決まっていたのですから、影がなくなったら、もうレンブラントやループもないでしょう。だから最近はあまりレンブラント、ループが意識されなくなった。
ってがあります。
これね、キャライラスト描きにとっては、ひじょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜に重要な事なんです。
なんでかというと、従来、キャライラストの鼻の描き方なんですけど、基本、ループかバタフライで描かれていたわけですよ。ループってのは、顔の斜め45度の位置から照明当てて、反射板を使った場合に鼻の横にでる影の形です。縄に似てるのでループって呼ばれてます。漫画でよく使われる鼻の描き方ですね。
もう一つがバタフライ。真上から照明あてることで、鼻の下に影つけるやり方です。影の形がチョウチョみたいに見えるからバタフライと呼ばれるようになりました。これもメジャーな鼻の描き方なんです。
ただね、最近、この二つのライティング手法を使ってポートレート撮ったり、グラビア撮影、アイドル撮影するカメラマンなんて、まずいません。
なんでかっていうと、ポートレートを作成する際に、ライトを複数使い、反射板やアンブレラ、ディフューザーを使い、顔や体から全部影を無くしてしまう撮影方法が主流だからなんです。
現状、アイドルの写真とかポートレートとかですね、影がほとんどないんですよ。オクルージョシャドウくらいしか影がないなんて顔写真がそこかしこに出回ってます。(オクルージョシャドウってのは二つのフォームが接触したところに出来る影です。指を接触させると、接触面に黒い影ができますが、これがオクルージョシャドウです)
つまりね、もう影で顔の凹凸を表現するとか、時代遅れなんです。今回のイラストで、かなり影つけましたけど、これ時代遅れな表現なんです・・・・フィギュア撮影する際に、最新のポートレートと同じやり方して、複数の光源、反射板なんかを使って影を消してしまった方が、よっぽど最新の技法に近いんです。
「ライトコントラストよりも色の美しさ、滑らかな繋がりが重視される」って話を上記の記事でしてますが、そういう事なんです。ライティングの技法が変わってきた以上、キャラ絵の塗り方も変化させるべきだったんです。
京アニは、そこを敏感に表現に取り入れていて、キャラに影をほとんど入れてません。手抜きに見えるかもしれませんけど、そうじゃないんです。そういう時代なんです。
それで、最後にプリクラの話になるんですけどね。最近のプリクラってすげーんですよ。まず、光源、つまりライトが複数あって、顔に絶対に影が出ないように設計されてるんです。
とあるカメラマンさんのブログで、
以前に僕はプリクラのライティング設計をさせて頂いた事があります。
現代のプリクラって凄いんです。
プロ用のストロボの芯が8個くらいは入ってる。
カメラはcanonnの最上級機が入ってたりする。
そして、最速のパソコンと美肌修正プログラムのソフト。
凄いですね!
僕が担当したのはライティング設計なので
フェミニンな感じ・・・だったらここのストロボはこのくらいの強さで・・・
グラマラスならここの強さをこのくらい・・・などとイメージを撮り分けられるように設計して行きました。
これ読んだ時には、ぶったまげましたけどね。「げぇーッ!!!」と。多灯ライティング、カメラとレンズにcanonnの最上級機、最新のパソコンと修正プログラムまで入ってたら、そりゃ、ぶったまげるほど綺麗に取れますよ。
なんてtweetが以前、話題になりましたが、
このプリクラbefore/afterは反則でしょう。
最新プリクラは、もうバッチバチに複数のストロボたいて、顔から影を無くし、美肌修正プログラムで、つやつやお肌に変換。プリクラのカメラのレンズは広角レンズなんで、鼻が大きく写るデフォルメ効果がでるはずなんですけど、それもプログラムで修正してるんでしょう。さらに、目が大きく映るプログラムまであるわけで、もう何もかも異次元すぎる。
いやね、時代はここまで来たのかと、ぼかあ、目眩がしましたよ。
よっぽど儲かるんでしょうねプリクラ。はーあ。
まあ、とにかく、プリクラやらポートレート、アイドル写真では、顔や体に影がでないようにする多灯ライティングが主流ですので、これからのキャラ絵も、そういう表現が主流になっていくんだと、僕は見てます。キャラ絵で、今回描いたみたいなライティングは時代遅れだと。
ま、本日は長くなりましたが、このあたりで。ではでは。
プリクラまじこえー。