2017年10月30日(月)
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第64回でお祝いするのは、1997年10月30日にセガサターン用ソフトとして大宮ソフトが開発し、セガ(現セガゲームス)から発売された『カルドセプト』です。
昨年3DSで『カルドセプト リボルト』が発売されるなど、今なおシリーズが続いている『カルドセプト』の魅力を、シリーズの変遷を振り返りながら梅津爆発(セプター名・マスター)が語っていきます。
『桃太郎電鉄』や『いただきストリート』などのボードゲーム系が好きだった自分は、ゲーム雑誌で“ボードゲームとトレーディングカードゲームが融合した斬新なゲーム性”という情報を見て「これはおもしろそうだ!」とすぐに予約して発売日に購入。
基本的なルールは、毎ターンカードを1枚引いてからダイスを振ってマップを周回し、止まったマスが空いていたらクリーチャーを召喚すれば自分の領地に。既に別の人の領地だったら、クリーチャーを召喚するとバトル開始。侵略側が勝つと相手の領地を奪い、防御側が勝つと通行料の支払いが発生。これを繰り返して総資産を目標金額まで増やし、スタート地点の城に戻れば優勝となります。
特筆すべきは行動の選択肢が非常に多い点。1ターンで行うことだけでも“スペルカードを使うか否か”“ダイスを振ってどこに進むか”“クリーチャーを召喚してバトルするか通行料を払うか”“バトルではどのアイテムを使うか”など、考えることがたくさんあり、その戦略性の高さにどハマりました!
また1戦終わるたびに順位に応じた枚数のカードがもらえるのですが、新たに入手したカードの効果や、 中井覚さんと斉藤智晴さんが手掛けたカードイラストを眺めているだけでも楽しかったですね。「デコイにグレムリンアムルを使わせたら無敵か!」「ミミックの見た目がセガサターンだ!」みたいな。
『カルドセプト』を持っている友だちがいなかったので、主に遊ぶのは1人プレイで、たまに友だちと初期ブック対戦するというものでしたが、ゼネスやオライリーなど対戦キャラクターに応じて違うブックで戦ったり、カードコンプリートを目指したりと遊び倒しましたね。古代祐三さんが手掛けた素晴らしいBGMが、普段の生活中でも自然と鼻歌で出るくらいに。
セガサターンで発売された『カルドセプト』のプレイステーション移植版。発売元はメディアファクトリーに変更されました。移植なのですが、変更点が結構ありました。例えば、他の人と領地や護符を交換できる“交渉”がなくなったり、メテオストームやレジェンドなど14枚のカードが消えて代わりにコラプションやバンディクートといった新カード14枚が追加されたり……。
画廊モードが追加され、対戦結果画面などで背景に表示される世界観イラストを見返すこともできるようになりました。特に、セガサターン版ではカードイラストを手掛けていなかった、メインビジュアル担当の加藤直之さんによる世界観イラストをじっくり眺められるようになったのはうれしかったです。なお、好きな絵は捕獲作戦。
自分のブックをメモリーカードに入れて持ち運べるようになり、対戦しやすくなったのも大きかったですね。まあサターン版もパワーメモリーを使えば持ち運びはできましたが……。その影響か、大規模な公式全国大会“第1回『カルドセプト エキスパンション』公式全国大会 ALL JAPAN CEPTER’S CUP 1999”も初めて開催されました。
他にも追加シナリオやオリジナルマップを収録したCD-ROM付きマガジン『セプターズギルド』が出版されたり、1年半後の2000年11月30日には対戦用の20マップを追加した決定版『カルドセプト エキスパンション・プラス』が発売されたりと、『カルドセプト』シリーズが飛躍するきっかけになったタイトルな気がします。なお、『カルドセプト エキスパンション・プラス』はPS Storeでゲームアーカイブス版が配信中です。
ちなみに自分は、まだ学生だったので移植版をすぐに買うほどお金に余裕がなく、発売されてかなり時間が経ってから購入しました。前述したのはその時の思い出です。
【主な新カード】
・ボージェス(無属性を応援してくれる先生)
・ベヒーモス(強いけど遅くてコストも高いクジラさん)
・ライフフォース(城到達までスペル使用不可の代わりにクリーチャーコスト半減)
・リバイバル(対象セプターのブックを初期状態に戻す)
ドリームキャストでついに登場した完全新作の『カルドセプト セカンド』。発売元は引き続きメディアファクトリー。大学生になっていた自分は発売日に即購入し、450種類以上のカードをコンプリートすべくライバーンやレオを毎日倒してました。シリーズ初の通信機能にも対応していたので、23時以降のテレホタイムにはオンライン対戦やロビーでのチャットを楽しんでましたね。
同盟戦の追加や種族の廃止、領地能力を持つなど、さまざまなルール変更や新能力がありました。個人的に最も印象に残っているのは、配置するだけでゲーム全体に影響を与えるアイドル系クリーチャー(歌って踊ったりはしない)の登場。レア度が高いカードほど使用魔力が増えるアイボリーアイドルを入れて自分はレア度Nメインで戦ったり、既に配置されているクリーチャーが召喚できなくなるマーブルアイドルを入れてほかの人が使わないようなクリーチャーを多めに入れたり。
ゲーム発売から2週間後に開催された、『セカンド』初の公式大会“世界のゲーム万博記念大会”にもアイドルメインのブックで参加したような気がします(結果は1回戦敗退でしたが)。その後も何度か店舗予選に参加し、何とか第3回公式全国大会の本選に出場できました! ……結果は残念ながら1回戦敗退。
オンライン対戦や店舗予選に参加したことでセプター仲間が増え、オフラインでの対戦会にもちょくちょく参加することになりました。当時知り合った何人かとは、いまだに交流があります。
【主な新カード】
・ゴールドトーテム(領地能力で自壊と引き換えに魔力をくれる像)
・チョンチョン(防御側の地形効果を消す呪いをかけるが、そんなことより大きな耳と顔がインパクト大)
・デス(確率で相手を即死させる巻物。さらに自分が破壊される可能性もある大博打アイテム)
・デモニックトレード(自分の領地のクリーチャーを全てゴブリンに変えて、ゴブリンの総数×100Gを得る、ゴブリン好きにはたまらないスペル)
『セカンド』のプレイステーション2移植版で発売元はセガ。しかし、ただの移植ではなく、新カード追加や既存カードのバランス調整、メダルを集める新要素の実装など、さまざまな変更がありました。
個人的に印象に残ってるのはリンカネーションの効果変更。『セカンド』までは“手札をすべて捨て、6枚のカードを引く”だった効果が本作で“手札をすべて捨て、捨てた枚数と同じだけカードを引く”に。上級者のほとんどがリンカネーションを採用していた状況が打破されました。これにより、ゲームバランスが大きく変わった印象です。
新カードではコロッサスが印象的でしたね。アイテムが一切使えなくてコストも高い代わりに、ST70、HP70という脳筋クリーチャーで、よく場が荒らされていました。ほかにも戦闘中のすべての効果や能力が発揮されなくなるシーボンズや、全セプターのダイス目が1になるグラビティも印象に残ってます。やはり、自分が妨害されたときや、失敗した時のことはよく覚えてますね(笑)。
オンライン対戦は残念ながら未対応でしたが、2003年3月末までは『セカンド』のオンラインサービスが続いていたので、そちらと並行して遊んでいました。
【主な新カード】
・ダンシングドール(領地能力ですべての護符価値を下げる人形。護符嫌いな人のおともだち)
・ホーリーラマ(領地能力で対象セプターの次のダイスを6に。中途半端に見えてかなりできるラマさん)
・ティアリングハロー(破壊・奪取されない巻物。これ1枚で頑固なグレムリンやデコイがみるみる落ちる)
・テレグノーシス(使用ターンはすべての領地に対して領地コマンドを使用できる。地味ながらいい仕事をする1枚)
Xbox 360で発売された完全新作で、発売元はバンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテインメント)。本作に限り、大宮ソフトが担当したのはゲームデザインのみのためか、マップ上のドット絵が3Dモデルになるなど他のシリーズとは異なる雰囲気になっています。自分は『サーガ』が出ることを知って、Xbox 360を買いました!
モーフィング土地(最初に配置したクリーチャーと同じ属性になる土地)や即時能力(クリーチャーを土地に配置した直後に領地コマンドが使用可能)、復唱(復唱スペルを使った直後に別のスペルが使用可能)など、テンポアップが意識された新要素が多かったように思います。
ボリュームたっぷりなストーリーモードを進めながらカードを集めつつ、“クリーチャーカードが入っていないブックで勝利する”や“マップをパウダーイーターで埋め尽くして勝利する”などの条件を満たして自分のアバターをカスタマイズできるパーツを集めたりしました。
【主な新カード】
・ソードプリンセス(かわいい)
・テング(敵セプターが持つ離れた風地形へ移動侵略可能。しかも先制&巻物強打の暴れん坊天狗)
・トレード(使用者の領地と、敵セプターの同レベル領地の所有者を交換。拒否はできない地上げスペル)
・トレスパス(2ラウンドの間、他のセプターが周回ボーナスを得たら同額をもらえる。タイミング次第でラクして稼げる最強クラスのスペル)
『カルドセプト エキスパンション』をベースに、新しく生まれ変わった10周年記念作品で、発売元はセガ。初の携帯機作品ということで、社会人になって忙しくなった自分も電車移動の合間によく遊んでいました。プレイして一番最初に驚いたのは、ストーリーモードに登場するキャラクターたちが全員、かわいらしいデザインに変更されていたことですね(笑)。
約6年ぶりに公式全国大会が開催されたのもうれしかったです。自分は予選すら突破できませんでしたが、セプター仲間と一緒に本選大会を見に行って、そこで真剣勝負の楽しさを再確認しました。
【主な新カード】
・パイロマンサー(火球で戦い、ダメージを受けると体が縮むという、どこかで聞いた設定のクリーチャー)
・トライバルメイル(同じ種族のクリーチャーが多く配置されているほど強化されるアイテム。DS版にしか存在しないレアな一品)
・ターンオーバー(ST30以下のクリーチャーはSTが上がり、ST50以上のクリーチャーはSTが下がるスペル。使われると、マップ全体が概ね修羅の国に)
・ディスコード(もっとも多く配置されているクリーチャー1種類全てがゴブリンに変わる凶悪スペル。同じクリーチャーばかり使ったらアカン!)
『カルドセプト セカンド エキスパンション』をベースに、大幅なリニューアルが行われた3DS版。発売元は任天堂。オススメの行動を教えてくれたり、カードの特徴を解説してくれたりなど、初心者向けの機能が充実して間口が広くなりました。ストーリーモードクリア後は、COMキャラクターがハンデで大幅に強化されるレベルアップステージに挑戦可能。1人プレイだけでも飽きずに長く遊べました。
他にも、人間2人で協力して手強いCOMキャラクターと戦う“協力戦”や、不要なカード3枚を別のカード2枚と交換できる“マーケット”などの新要素がありました。そうそう、『カルドセプトDS』とは別の意味で、カルドラ様を含めた女性陣が軒並みかわいくなっているのも見逃せないポイントです! ミュリンがお気に入りですね。
ちなみに第6回公式全国大会の決勝戦はニコニコ生放送で配信され、3万人以上が視聴する大盛り上がりな決勝戦となりました。
【主な新カード】
・シェイドフォーク(相手と同じ属性が多いほどST上昇。ダメージを無効化されても新能力の雪辱が発動して魔力を奪えるので、使い勝手がいい)
・ヨーウィ(配置した領地の通行料が、半額から2.5倍の間でランダムに決まるというバクチクリーチャー。スペクターとセットで使いたい)
・マジックブースト(使用ターンは通常の半額で土地レベルアップできる。これを使ったのにダイスが悪くてレベルアップできなかった時の悲しさよ……)
・カウンターシールド(初代からあったカウンターアムルがなくなってシールドに。道具から防具になって、使えるクリーチャーが減りました)
『サーガ』以来10年ぶりとなる完全新作が、前作に引き続き3DSで発売されました。発売元は任天堂。完全新作だけあって新要素は盛りだくさん! 特筆すべきは、よりスピーディーな展開を実現するため大幅に変更された基本ルールでしょう。
“ダイスが2個になって早く周回できるように”や“いつでも全体に領地コマンドが使えるようになり、ムダなターンが減少”、“領地のレベルアップコストが減額されて総魔力が上がりやすくなる”などなど。実際に遊ぶと、想像以上に展開がスピーディーになっていましたね。特に思考時間がないCOM戦では、1戦が非常に早く終わるようになっていました。
個人的に素晴らしいと思ったのは、対戦相手の手札がいつでも確認できるようになったことですね。もう若くないので、自分以外の3人分の手札なんて覚えられないですから!
ブリードパーツを組み合わせて自分だけのカードを作れるブリードカードや、西村キヌさんがデザインしたキャラクターが大勢登場する膨大なクエストモードなど、基本ルールの変更以外にも見どころはたくさんありました。
今なら、製品版にデータを引き継げる『カルドセプト リボルト スタートダッシュVer.』が無料で試せるので、『リボルト』をやったことがない方はぜひ一度試してみてください。
【主な新カード】
・アングリーモブ(Aボタンの連打でSTが上昇するという、今までになかった能力で注目を集める。ただし連打しすぎるとST10になるデメリットも)
・ファイアービーク(新能力はないものの、高めのステータスに“先制、水風貫通、水風強打”を持つ水風殺し)
・マジカルリープ(使用者は1~4マスの好きな土地に飛べる。飛んだあとは進行方向を選べるのでとても便利)
・ナパームアロー(STとHPが上がる武器で、さらに戦闘相手のHPを減らせなかった場合、戦闘相手のMHP-40。無効化能力への対抗手段)
上記以外にも、かねこしんやさんが手掛けるコミック版や、冲方丁さんが手掛けた小説版『カルドセプト創伝 ストーム・ブリング・ワールド』、携帯電話アプリとして配信された『カルドセプト モバイル アナザーチャプター』など、メインのゲーム以外にも20年の間にいろいろな展開がありました。
『リボルト』の英語版が10月に発売されてますます広がっていく『カルドセプト』の世界を、1人のファンとしてこれからも追い続けていきます!
ちなみに『カルドセプト』を手掛けた大宮ソフト初のスマホアプリ『激突!ハニワールド』も配信中です。カードを集めて1対1で戦う戦略カードバトルゲームなので、気になった方はこちらもプレイしてみてはいかがでしょうか?
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カルドセプト、Culdceptは有限会社大宮ソフトの登録商標です。
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