十如是×百界＝千如是 千如是×三界＝三千世界 一念＝自己の心 己の心に世の中が備わっているという意味です。 法華経の方便品に十如是というのがあります。 相、性、体、力、作、因、縁、果、報、本末究竟等 の十です。 相・・見た目 性・・性質 体・・本質 力・・可能性・能力 作・・はたらき・作用 因・・原因、直接原因 縁・・条件、間接原因 果・・結果、直接結果 報・・影響、間接結果 本末究竟等・・本（大事な事）と末（些末なこと）は究竟して（突き詰めて考えれば）等しい この十種類です。 最後の本末究竟等が少し分かりづらいのですが、 雨粒もガンジスの流れも（突き詰めて考えれば）等しい、 社長も従業員も（突き詰めて考えれば）等しい、 釈尊も凡夫も（突き詰めて考えれば）等しい ってことです。 この十の要素がすべてに備わっています。 また十界というのもあります。 仏、菩薩、縁覚、声聞、天、人、修羅、畜生、餓鬼、地獄 の十です。 詳しい説明は割愛しますが、簡単に言うと以下の通りです。 佛界・・御仏まします世界 菩薩界・・思い遣りや優しさにあふれた世界 縁覚界・・達人の世界 声聞界・・向上心、学び訓練する世界 以上を四聖といいます。 四聖に至る方法のことを乗（じょう）といいます。 佛乗、菩薩乗、縁覚乗、声聞乗という具合に。 天界・・天上界とも。諸天が住む世界、喜びの世界 人間界・・通常の世界、平常心の世界 修羅界・・争いの世界、競争心の世界 畜生界・・動物の世界、浅はかなで愚かな世界（愚癡） 餓鬼界・・飢餓に苦しむ世界、自分の事しか考えない世界（慳貪） 地獄界・・様々な苦しみ憎しみにあふれた世界、怒りの世界（瞋恚） 以上を六道といいます。特に地獄・餓鬼・畜生の三つは三悪道と呼ばれています。 三悪道は浄土と穢土を隔てるものとされ川に喩えられています。 そう、三途の川です。。あ、失礼、脱線しました。 十界のことを四聖六道ともいいます。 この十界が十界のそれぞれに備わっていると考えます。 仏界にも地獄～仏界の十界がある、 人間界にも地獄～仏界の十界がある、 そう考えると百の世界があることになります。 これを十界互具（じっかいごぐ）といいます。 十如是と十界互具で百界千如になります。 詳細は避けますが、世の中は欲界・色界・無色界の三界から成り立つとされていますので 百界千如と三界で三千世界になります。 一念とは私達の思考のことです。 一念三千とは一念に三千世界がある、 つまり、乱暴な言い方ですが、世の中は考え次第で変わるということです。 三界を三世間とする場合もあります。 三世間は 国土世間・・自然環境 衆生世間・・生態系 五蘊世間・・人間社会（政治・産業・経済など） 三界と三世間は分ける線引きが違うだけであまり大差ありません。 一念三千は天台智者大師が著した法華経の解説書、摩訶止観、 その摩訶止観の解説書、止観輔行伝弘決（荊渓尊者湛然著）に初出です。 「当地身土 一念三千 故成道時 称此本理 一身一念 遍於法界」 摩訶止観の円頓章に「一念法界」とあります。 書き下し文は「念を法界と一（ひと）しうす」となっています。 一念三千の意味も 「一念は三千世界なり」ではなく 「念を三千世界とひとしうす」かも知れません。 そう解釈すれば世界のどこかで起っている戦争も他人事ではなくなりますね。 世の中は人間次第で仏界にも地獄にも成りうるってことだと思います。 自然破壊、生態系の変化、経済破綻、戦争、 すべて人間の心が産んだものということですなあ。 もちろん、環境保護運動や平和運動、貧困救済活動も、 美談や人情話も、すべて人間の心が産んだものです。 宗教や思想、政治もイデオロギーも、神も仏もニヒリズムも、 そしてカルトも、例外なく人間の心が産んだものってことになります。 うーむ、まさしく世の中は一念三千・・・・ ちなみに理と事があります。 理・・理想、理論、内容 事・・現実、実践、現象、具体的 理にも事にも抽象的という言葉は当てはまりません。 理の一念三千 人間界にも仏界が備わっている、 ということは修行や学問により成仏出来る。 従因至果：因により果に至る。 修行して佛果を得る。 事の一念三千 我々は仏界の人間界に住んでいる、 ということはすでに成仏は約束されている。 従果向因：果により因に向かう。 成仏が決定しているのでそれにふさわしい行動をする。 つまり菩薩行を心がける。 迷路で考えてみるとわかりやすいです。 スタートからゴールに向かう正攻法が理の一念三千、 この場合、ゴールがわからないのでゴールに辿り着けずに挫折することもある。 ゴールからスタートに向かう方法が事の一念三千、 この場合ゴールから辿るのでゴールを見失うことはない。 理の一念三千は難行だが事の一念三千が易行とされる。 理と事の線引きで揉めることがあります。 事の一念三千も説明だけでは理のままです。 行動してはじめて事になります。 知っている、は理です。 している、は事です。 知らなくてもやっていれば事です。