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日本HP、最大820TBのリッチコンテンツ向け超大容量ストレージ

GB単価200円以下のコストパフォーマンスを実現

エンタープライズ・ストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部長の富岡徹郎氏

新たなビジネスモデル市場へ
 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は12月10日、リッチコンテンツ用ファイルサーバー向けの超大容量ストレージ「HP StorageWorks 9100 Extreme Data Storage System(以下、ExDS9100)」を発表した。同日から出荷開始する。

 ExDS9100は、超大容量データを容易に管理できて、かつ容量あたりの単価を低価格に設定したストレージシステム。「写真共有やビデオストリーミング、音楽配信、デジタルアニメーション、SNS、監視カメラ、遺伝子研究など、Web 2.0を中心に拡大する新市場へ訴求する、コストパフォーマンスに優れたインフラモデル」(エンタープライズ・ストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部長の富岡徹郎氏)で、日本HPの新たな戦略製品となる。

 「これらの市場では、数百MBものリッチコンテンツを大量に生成・保有し、とにかく拡張性を重視する傾向がある。一方で必ずしもミッションクリティカルではなく、データベースに高度なパフォーマンスやデータ保護も求めない。中には動画、SNSなどの無料サービスを展開するところもあり、超大容量のデータを低価格で管理したいという、どちらかというとコスト効率重視。ExDS9100は、こうした要件を支える、まったく新しいストレージ製品だ」(エンタープライズ・ストレージ・サーバ事業統括 ストレージワークスビジネス本部 ビジネスディベロップメント 担当マネージャの高橋宏人氏)という。

 特長は「超大容量」「柔軟な拡張性と信頼性」「コストパフォーマンス」の3点。一見すると相反するようなこれらの特長が、ExDS9100の中で混然一体となっている。

 超大容量としては、最大820TBまで拡張可能。42Uラックを製品単位とし、高スループットを実現するパフォーマンスブロックとストレージブロックを任意に追加できるようになっている。パフォーマンスブロックとしては、クアッドコア対応のブレードサーバー「HP ProLiant BL460c(以下、BL460c)」を利用。ExDS9100に搭載される「HP BladeSystem c-Class c7000エンクロージャ(以下、c7000)」に、最大16基(最大128コア)まで拡張してパフォーマンス向上が図れる。一方ストレージブロックとしては82TB単位での追加が可能で、42Uラックに最大328TBまで搭載することができる。さらに拡張キャビネットが用意されており、メインキャビネットと併せると、最大820TBの超大容量が実現できるという寸法だ。


ExDS9100 246TB~820TBまで簡単に拡張可能 スペック概要

 柔軟な拡張性と信頼性では、サーバー(クラスタファイルシステム)とストレージを独立させた「スケーラブルNAS」という新しいアーキテクチャを採用している。

 「従来のスタンドアロンNASや、それらをクラスタ構成化したアーキテクチャでは、容量が一杯になったら新たにNAS専用機自体を追加しなくてはならず、パフォーマンスをあげたいときにコントローラーのみ増設したり、容量を増やしたいときにストレージのみ増設したり、といったことが不可能だった」(高橋氏)。

 一方、スケーラブルNASでは、サーバーとストレージが独立しているので、「パフォーマンス(サーバー)と容量(ストレージ)を別々に自由にスケールさせられる」(同氏)。また、サーバー層とストレージ層がそれぞれ仮想化されているため、「サーバーの障害時には別サーバーへ切り替えられるし、どのサーバーからもすべてのストレージにあるデータにアクセスできる」のがメリット。

 増設も容易で、サーバーの追加なら、BL460cをc7000に挿入して管理ツールから「Install Server」とコマンドを打つだけ。自動でOSとシステムファイルがインストールされ、それが終わると追加分のブレードは、クラスタのメンバーとして、すべてのデータにアクセスが可能となる。ストレージも、ケーブルを接続して「Discover Storage」とコマンドを打つだけで、新たなファイルシステムとして追加が可能だ。


従来のアーキテクチャとその問題点 スケーラブルNASアーキテクチャの概要 増設も容易

スモールスタートを支援するファイナンシャルプログラム
 コストパフォーマンスとしては、GB単価199.9円の低価格を実現した。製品の最小構成価格は、ExDS9100ベースラック、c7000、BL460c×4基、82TBのキャパシティブロック×3台、Red Hat Enterprise Linux 4、各種管理ツール込みで4917万円(税別)。合計容量は246TBなので、計算すると1GBあたり199.9円となる。ただしこの価格は2009年3月末までのキャンペーン価格で、「その後、市場のニーズを見ながら、上がるかもしれないし、逆に下がるかもしれない」(高橋氏)とのこと。ただ、GB単価が何十円、何百円と上がることはないとしている。

 また初期導入コストを軽減するために、2種類のファイナンシャルプログラムを用意。これは上記価格にサポート費を加えた総額を3年間・ゼロ金利で払うリースプログラム。具体的には、総額を均等に分割して36カ月間で払う「ExDS金利ゼロ36プログラム」と、均等ではなく6カ月ごとに段階式に支払う「ExDS金利ゼロ3・ステップ36プログラム」を用意。後者では、246TBの大容量を、最初の6カ月間は68万5088円/月で利用できる。この間のGB単価は2.8円。コスト効率重視の新市場に向けたユニーク施策である。

 高橋氏は「新市場の盛り上がりは急速。今後は、お客さまのニーズを見ながらRPOやRTOなどのサービスレベルを検討していく余地はあるが、市場の機会はかなりあると見ている。ユニークな市場・製品なので、この製品だけで目標がいくらというものではないが、ポートフォリオ全体でNASマーケットを拡大させるきっかけになるだろう。新しいカテゴリへの挑戦となるが、直販を中心にチャネル拡大も努めながら、新旧のNAS市場含めてリーディングカンパニーになれるよう挑みたい」と意気込みを見せた。


82TBのストレージブロックを引き出したところ c7000を搭載。BL460cを最大16基格納すれば、高パフォーマンスが実現する


URL
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  ニュースリリース
  http://h50146.www5.hp.com/info/newsroom/pr/fy2009/fy09-022.html


( 川島 弘之 )
2008/12/10 15:59

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