フロムソフト、PS3「3Dドットゲームヒーローズ」
メディア先行体験会を新宿エイトビットカフェで開催


8月31日 開催

会場:新宿エイトビットカフェ


 株式会社フロム・ソフトウェアは、11月5日に7,140円で発売するプレイステーション 3用冒険RPG「3Dドットゲームヒーローズ」のメディア限定先行体験会を、新宿エイトビットカフェで開催した。会場にはプロデューサーの竹内将典氏と、開発元であるシリコンスタジオ株式会社の坪井光士氏が出席し、本作に関する説明や質疑応答などが行なわれた。

 「3Dドットゲームヒーローズ」は、“昔ながらの2D RPG”をPS3の最新技術でブロック(立体)化したアクションRPG。ノスタルジックなテイストと新しい技術の融合により、独特のグラフィックスや世界観が形作られている。今回は開発途中のバージョンでゲーム序盤をプレイすることができたので、まずはその簡単なインプレッションをお届けしたい。

 新規ゲームは、キャラクター作成からスタート。勇者の子孫、王子、王家の人間、学者など全部で6パターンが存在。基本的には、男性キャラは体力があり剣による攻撃が強く、女性キャラは体力は低いが素早く魔法が得意という。担当氏いわく「最初にプレイするなら、まずは体力が大きい男性キャラが1番無難でしょう」ということで、筆者は勇者の子孫を選択。8bit時代のRPGを思わせる名前入力(全部で7文字まで入力可能)が終わると、プロローグが簡単に説明されていく。

 

【物語 ~プロローグ~】
遠い昔。
世界の片隅に、神の力を秘めた6つのオーブと、
それを護る6人の賢者に見守られた「ドットニア王国」という小さな国がありました。

しかしある時、オーブの力に目をつけた闇の魔王が、賢者たちを捕えオーブを奪ってしまいました。

町の外には魔物たちが溢れ出し、王国の滅亡が近いと思われたそのとき、
どこからともなくひとりの若者が現われ、魔を封じる剣で6人の賢者を救い出し、6つのオーブを取り戻しました。

そして激しい戦いの末、その若者と賢者たちは6つのオーブをひとつにし、
光のオーブとして闇の魔王を封印しました。

それ以来、王国は勇者の冒険に魅せられた人々で賑わい、かつてない繁栄の時を迎えました。


しかし時は流れ……

勇者の物語はいつしか昔話となり、王国を訪れるものはいなくなってしまいました。
活気を失った王国の現状を嘆き、王様はある決断をしました。

「これからは、3Dの時代じゃ!」

王様の号令の下、王国は2Dから3Dへと変貌を遂げ、町はかつての活気を取り戻そうとしていました。
そして人々が新しい生活に慣れたころ、事件は起こりました。



【主人公】【アイリス王女】
かつて魔王を倒した勇者の子孫。伝説の剣「グローソード」を扱うことがきるただひとりの人物ドットニア王国の王女。プライドが高いが根はやさしい。王国の危機と知って単身飛び出し行方不明に
【ドットニア王】【闇の神官】
ドットニア王国を納める王様。温厚で周囲に対してもよく気が利くが、他人を信用しすぎる面もある。3D化を仕掛けた本人元は王国に使える神官だったが、魔王に心を奪われ、魔王を封印しているオーブをどこかに隠してしまった
【ドラゴン】【ゴーレム】


 恐らくはチュートリアルを兼ねているであろう導入部は、回想シーン形式。最終的に魔王を倒すことができなかった勇者が、後世で魔王が復活したときのためにと、自らの剣を封印しにいくまでをプレイする。操作方法は極めてシンプルで、左アナログスティックでキャラクタの移動、○ボタンで剣による攻撃、R1ボタンで盾ガード。装備しているアイテムや魔法を使いたいときは×ボタン。マップは、フィールドでは画面右上に常時、ダンジョンではマップ入手後にL1ボタンでサクッと全体図が表示される。

 フィールドやダンジョンは画面切り替えスクロール形式で、シンプルな操作系と相まって、任天堂の大傑作「ゼルダの伝説」をほうふつとさせる。担当氏にうかがってみたところ、本作はそうした過去の2D RPGに対し多大なリスペクト(敬意)をもって作られているという。有名2D RPGに登場した名場面や印象的なカットなどをモチーフにしたパロディ要素も随所に散りばめられており、ディープなゲームファンはあちこちチェックしてみるといいかもしれない。


懐かしさあふれる画面切り替えスクロールを採用。体験会のバージョンでは固定視点だったが、このあたりは現在色々な調整が行なわれているようだ


 開発途中のバージョンながら、キーレスポンスは極めて良好。回想シーンで攻撃ボタンを押すと、操作しているキャラクタの何倍もある巨大な剣が瞬時にニョッキリ出現して、いきなり驚かされる。巨大なのにサクサク繰り出せるあたりは気分爽快の一言なのだが、ブロックを組み合わせたレトロ調のグラフィクスタッチと相まって、そこはかとなくシュールさも感じられて、これがまたいい感じ。ちなみに、剣が大きい理由については、後日の続報にて改めてご紹介する予定だ。

 剣で攻撃する際、左アナログスティックをクルッと回すようにすると、一定の範囲をまとめて攻撃できる(体験会のバージョンでは90度まで)。フィールド上に存在する敵キャラクタのなかには、主人公を見つけると物凄いスピードで一目散に突っ込んでくる厄介な敵もいるため、無難に対処するのであればR1ボタンでガード。ただし、相手側にきちんと向いていないとダメージを受けてしまうので要注意。敵キャラを倒すと、そのキャラクタを構成していたブロックが最小単位で一気にブワッと四散し、次第に消滅していく。飛び散るブロックはきちんと物理演算処理されており、ド派手なエフェクトと相まって“やっつけた感”がしっかり伝わってきて、実に気持ちいい。


戦闘は小気味いいアクションが楽しめる。シンプルなシステムだが、ただ剣を振り回して暴れるだけでは通用しないのがいいところ。敵をやっつけると小ブロックが四散して爽快感バツグン


 澄んだ美しい音色なのに、どこか懐かしさを感じさせるBGM。ブロックを組み合わせて作られたキャラクタやモンスターは、見ているだけで温かい気持ちにさせてくれる(もちろんボーッと眺めていたら攻撃されてしまうので要注意)。PS3の表現力を駆使した最新技術と、レトロなブロックの組み合わせによる本作独特のコントラストも見逃せない。たとえば、王宮では床が鏡のようになっており、上に置かれたブロックのすべてが正確に映り込む。遠くがぼやけて見える被写界深度表現と水面処理が生み出す湖面のきらめきは、ただひたすらに幻想的でまばゆいばかり。

  2D RPG世代もそうだが、本作はレゴやダイヤブロックが好きな人も要注目といえる。ブロックを駆使した立体感あふれるジオラマのような世界観とグラフィックスは、市販の各種ブロックで実際に再現したくなるほど。こういった欲求がふつふつと湧き上がるのは、本作のグラフィックスクオリティがそれだけ優れている証ともいえる。皆がそうではないかもしれないが、少なくとも筆者の琴線にはビンビンくるものがあった。この“クセになりそうな立体感”、なるべく多くの人にチェックしていただきたいと思う。


レゴやダイヤブロックで再現したくなるほどステキなグラフィック。独特の質感にくわえ、PS3の表現力を駆使した最新技術との相乗効果が本作独特のタッチをかもし出している




■ 同じような見た目のゲームが多い中「ちょっと変わったことをやりたい」と思っているユーザーに

 体験会の終了後、フロム・ソフトウェアの竹内氏とシリコンスタジオの坪井氏から、本作の魅力やエピソードなどが語られた。竹内氏は「今プレイしていただいたと思うんですけど、ドット……8bitゲームのテイストを持ちながら、PS3の性能を最大限に使ったゲーム。こう見えても最新の技術がふんだんに投入されています(笑)」と説明。坪井氏は「見た目のリフレクションであるとか、敵を倒したとき、うちのシェーダー担当が職人技で作った水面の表現であるとか、そのあたりをぜひ見ていただきたいと思います」とコメント。

 ゲーム全体のボリュームは、だいたい25時間から30時間ほど。アイテムコレクション、隠しキャラクタ、高難易度など、さまざまなやりこみ要素が用意されているため、コンプリートには60時間以上が必要になるという。ダウンロードコンテンツについては「……どうですかね? 欲しいですか?(笑)」という竹内氏。ユーザーがダウンロードコンテンツの存在を気にしていることは自覚しているが「最終的に、ダウンロードコンテンツがあって、それを欲しいと思うかどうかっていうのは、またちょっと違うところがあるのかなと思っている」といい、現状で「こういうもの」といった明確な形では考えていないという。ただし、ユーザーから要望があれば検討するとしており、もし「こんなダウンロードコンテンツが欲しい!」という人がいたら、公式サイトの「質問意見箱」に投稿してみてはいかがだろうか。

 どんなユーザー層にプレイして欲しいかについては「ドット絵なので、やはりファミコン世代じゃないかなと思っています。私はちなみに36歳になったんですけど、この辺はファミコン直撃世代。たぶん、20代後半から40代前後じゃないですか。さらに『プレイステーション 3を持っていらっしゃる方』っていう話になってくると、20代後半から30代前半くらいの人たちが、1番興味を持ってもらえるのではないかと期待している」という竹内氏。

 注目して欲しい点は「昔、みなさんこういったゲームをファミコンでやられたと思うんですよ。そのときに『こういうの、やったことあるよね』、『こんなシーンあったよね』といったネタを色々と仕込んであるんですよ。そういったところを楽しんでもらいつつ、ゲームとしても真剣に作ってますので。昔のゲームって、結構手強かったじゃないですか。昔のゲームほど難しくしてはいませんが、それに準じた『やりごたえがあったよね』とか、そういった印象を持ってもらえるようにゲームの中身を色々調整していってます。ノスタルジーというのは、このゲームをやってもらえると大きく感じてもらえる部分だと思うんですけど、それだけではない新しい表現とか、ゲームとしての楽しみも入っています。懐かしいと思いながらプレイしていると『ゲームは1日1時間』といいつつも、ふと気づくと3時間やっちゃいましたとか。そういった楽しみ方をしてもらえるといいんじゃないかと思っています」という。なお、RPGというゲームジャンルゆえ、PlayStation Storeなどで体験版を配布する予定は今のところないという。

 発売を心待ちにしているユーザーにメッセージを求められると、坪井氏は「昔プレイしていた方が懐かしく思っていただけるようなところを、かなり盛り込んでいます。さらに、BGMなども開発チームはこだわって作成しています。8bit感があるけれども、やっぱり今風だよね、というところを端々に盛り込んでいますので、そのあたりにぜひご期待ください」とコメント。

 竹内氏は「PS3でゲームを作っているというところもあって、色々言いたいことはあるんですけど。私も、PS3やXbox 360とか、色々なゲームをいくつか作ったんですけど。やっぱり……同じような見た目のものが、ちょっと多すぎるなと思ってまして。そういったなかで『ちょっと変わったことをやりたい』と思っているユーザーさんもいると思うんです。その答えとして、これがぼくらのひとつの提示なんです。少なくとも、ユーザーさんが今のゲームのラインナップで満足していらっしゃるというふうには、私は思っていなくて。そのなかでユーザーさんに満足してもらう、このゲームをプレイして感じてもらえたらな、と思っています」とコメントしてくれた。オールドファンだけでなく、新規層にも十分アピールしそうな本作。続報が入り次第、弊誌でも順次最新情報をお届けしたいと思う。


竹内将典氏坪井光士氏

【新宿エイトビットカフェ】
体験会の会場となったカフェ。「放課後の溜まり場」を再現しよう、がコンセプト。ファミコン世代にはたまらない憩いの場。落ち着いた雰囲気がとてもいい。都営新宿線3丁目、C5出口の真正面にある新宿Qビル5F。詳細はお店のホームページをチェック


(C)2009 FromSoftware, Inc.
※画面は開発中のものです。

(2009年 9月 1日)

[Reported by 豊臣和孝]