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2010.02.03
# 雑誌

「東大までの人」と「東大からの人」

〔受験生必読〕入ってみるとよくわかる
国立大学二次試験の願書提出期限まであと約一週間。「東大は世界を担う知の拠点」などと現総長は謳(うた)っているが、そこで立ち止まってしまう学生も多いという。入学後に脱落する人と飛躍する人。その違いはどこにあるのか。

東大理系─── テストが出来るだけなら、入らないほうが安全

次元が違う人たち

「研究において最高のパワーは、東大理系の学生たち。世界で最も優秀な集団です。これほど基礎学力を持ち、当たり外れのない集団は世界でも他にはない」

工学部4年生の井川一樹氏(上)と工学部3年生の中原優也氏(下)

 量子コンピュータの研究で世界最先端と言われ、ノーベル賞候補の一人に挙げられている、東京大学工学部・古澤明教授の言葉だ。

 ならば東大理系出身者によって、続々と世界最先端の研究や技術開発がなされているかと思いきや、思い浮かべてみても、意外と浮かんでこない。

 確かに東大OBには、政官財のリーダーたちがずらりと名を連ねる。しかし国を動かす官僚にしても、採用時は文系理系で半々なのに、トップの事務次官の9割以上は東大法学部出身者と、驚くほどの差があるのだ。世界で最も優秀な集団は、いったい何をしているのだろうか。

 東大理系の学生を取材してみると、やはり世界レベルでも伍して戦える“才人”や“天才”がたくさんいた。

 昨年、リクルートが主催したウェブアプリケーションの開発コンテストで特別賞を受賞した工学部システム創成学科4年の井川一樹(いかわかずき)氏(23歳)。ブログなどのウェブ上のテキストデータを数値に変換する「自然言語処理」で賞を受けたが、ほかに受賞したのは最先端のITベンチャー企業ばかりだった。

 井川氏は中高一貫の桐朋(とうほう)学園出身。中学時代からパソコンを始め、高校生のときには数学で、全国のトップクラスの生徒たちが挑戦する数学雑誌『大学への数学』の問題を解き、パソコンで検算していたという。

「東大を受験したのは、高2から成績が上がってきて、『意外に狙えるんじゃないかな』と思ったからです。

 将来僕は研究や開発だけでなく、経営側にも回りたいと思っているので、経営も学べる今の学科を選びました。工学部ではちょっと変わっているところでもありますが、幅広い学科の選択肢があるのは東大のいいところだと思います。

 ゆくゆくは起業するか、コンサルに入り、夜は自分でコンピュータを動かして副業もしたいですね。

 たとえば、世界中のブログに書かれた日経平均株価についての肯定的な形容詞を、チェックしていくプログラムを作ったら面白いと思っています」

 理学部数学科4年の栗林司(くりばやしつかさ)氏(22歳)も、世界レベルの人材だ。'05年の数学オリンピック・メキシコ大会では、日本人史上初の満点を記録した。

「数学オリンピックは2日間で、合計6問に9時間かけます。東大入試の数学も全6問で、時間は2時間半。忙しいテストですが、東大入試はやはり比較にならないくらいやさしかった。

 起きている時間は常に頭の片隅にいくつかの数学の問題をストックしていて、少しずつ考えているという感じです。お風呂に入りながら、『あ、解けた』なんてやっています。

 僕は中高と筑波大附属駒場でしたが、中1の頃から数学者になりたいと思っていました。東大に入って良かったのは、同じような考えで入学してくる同級生が結構いることです」

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