GPIFの「株式50%」新運用計画は素人でも許されない無責任な代物である
10月31日GPIFがリリースした「中期計画の変更について」。目標リターンありきのもの
10月31日(金)、日銀の追加緩和とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の新しい基本ポートフォリオとが発表されて、市場が湧いた。日経平均は1日で7百円以上上昇し、大幅に円安が進んだ。
発表当日は、意外性を伴った追加緩和の影響が大きかったように思われるが、今後、国内株式だけで10兆円以上を買い増しすると予想されるGPIFの運用方針変更の影響は大きい。
目標リターンありきの無責任な運用計画
GPIFは約130兆円を運用する世界最大級の機関投資家だ。そして、彼らが運用しているのは、日本の厚生年金、国民年金の積立金だ。彼らの運用方針が、それ自体として十分なものなのかどうかは、国民としては知っておきたい問題ではないか。
結論からいうなら、新しい運用計画は、厳密には「素人レベルの運用でもダメ」と評価するべき、残念な代物だ。
10月31日(金)にリリースされている説明資料「年金積立金管理運用独立行政法人 中期計画の変更について」を見てみよう。
この運用計画が根本的にダメな点は、厚生労働大臣の運用目標の与え方にある。「財政現況及び見通し(いわゆる「財政検証」)を踏まえ、保険金給付に必要な流動性を確保しつつ、必要となる実質的な運用利回り(運用利回りから名目賃金上昇率を引いたもの。以下「実質的な運用リターン」といいます。)1.7%を最低限のリスクで確保すること」と資料にはある。
名目賃金上昇率を比較対象にしている点で少し複雑だが、要は「リターン○・○%を確保する、最小のリスクのポートフォリオを作れ」ということだ。