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鬼龍院翔が明かす、いま新人アーティストが売れるために必要なもの

「CDが売れない」時代を考える
新アルバム『キラーチューンしかねえよ』が発売中のゴールデンボンバー・鬼龍院翔さんへのインタビュー。そもそもヒットとは何か、ストリーミング時代をどう捉えるか、新アルバムのコンセプトをどう立てたのか、鬼龍院さんならこの時代に新人アーティストをどう売り出すのか……『ヒットの崩壊』著者・柴那典さんがさまざまな話を訊いた。

<前編>「CDが売れない時代」に、金爆・鬼龍院翔が問いかけること http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54251

(取材/文・柴那典、写真・三浦咲恵)

ストリーミング時代をどう見るか

――2017年からゴールデンボンバーはSpotifyなどのストリーミングにも音源を提供しますよね。これはどういう考えでしょうか。

鬼龍院 前までは「せっかくの曲をほぼ無料で垂れ流すなんてとんでもない」って思ってたんですけど、音楽の聴き方が変わったんですよね。

今は体験の方が価値があって、だからフェスが流行っている。で、聴く方は、一昔前はステレオの前でじっくり聴くのが主流だったけれど、今は垂れ流すように音楽を消費する時代になっている。

だから定額制のストリーミングは時代にあってるんだと思います。だからウチも提供してますね。もちろんじっくり聴きたい人もいるので、CDも出すという。

――アルバム『キラーチューンしかねえよ』はCDでリリースされますね。

鬼龍院 ファンの方に言われたんですけど、『ローラの傷だらけ』以降ずっと音楽業界とバトってる感じがあるから、そろそろ普通に出してほしいって(笑)。

だからアルバムはとにかく普通に出すんですけど、『#CDが売れないこんな世の中じゃ』までの一連で、やるだけのことはやったなと思います。

鬼龍院翔さん

――ストリーミングとCDと両方の形で音楽を発表したことでわかったこと、意識したことはありますか?

鬼龍院 Spotifyとかダウンロード配信とか、いろいろ自分でやってみて、浮き彫りになったのが、CDの良い点と悪い点だったんです。CDは時代遅れだから売り上げ枚数が減ってるんですけど、でもメリットもハッキリしたんですよね。

たとえば、僕自身が本当に欲しい情報は曲のクレジットだったりするんですよ。たとえばいい編曲家がいたら知りたいですし。でもiTunesやSpotifyだと、そういうクレジットの情報は書かれてないじゃないですか1

 

CDにはそういう情報が多く含まれるべきだと思っていて。だから、今回のアルバムではクレジットとかジャケットの撮影場所とか、詰められる情報を全部詰めることにしたんですね。

曲に対するコメントも以前は雑誌のインタビューとかブログとかで書いてたんですけど、CDのブックレットにこそ書くべきだと思ったんですよ。

――たしかに、CDを買った人こそ、そういう情報を欲しがっているわけですね。

鬼龍院 ブログに書いていたような全曲解説って、CDを買ってくれた人への特典として一番ピッタリだと思うんですね。CDに僕ら本人のコメントをつけることで「配信でいいや」って思っていた人たちもCDを買うかもしれない。

やっぱり、CDを買うということは、すでに聴く体勢に入っている人だと思うんですよね。そういう人を逃さないためにCDの内容が充実してるのは大事だと思うんです。

1 2018年2月からSpotifyのデスクトップ版では、作詞・作曲、編曲のクレジットが表示される機能が実装された。
https://twitter.com/spotifyartists/status/959464059522506753

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