mixiからの回答――「足あと機能存続問題と1万7千の実名署名」
1万7千通の『恋文』
私は「足あと機能」に何の思い入れもない。だから、実名と住所を出してまでミクシィ社に要望を伝えようとするユーザーさん達の気持ちは本当のところまったくわかってないと思う。それでも今回ミクシィ社から届いた記者からの質問への回答内容を見た瞬間、背筋が凍った。そして思わずミクシィ社広報部に「この回答のまま公表しても本当に大丈夫ですか」と確認をしてしまった。
以下、こちらからの質問とミクシィ社広報部からの回答です。
■「足あと機能削除問題」1万7千件の実名署名を受け取ったmixiさんへの質問と回答
問:記者
答:ミクシィ社問1:署名を確かに受け取ったかどうかはメディア経由での取材があった時のみ答える、ということだそうですが、署名を8月10日にミクシィ社が受け取ったということで間違いございませんでしょうか。その内容は、mixi足あと機能改悪反対!コミュニティによる、「mixiの足あと改悪の撤回を願う署名」17,478件を印刷し綴じこんだ2冊のバインダーということで間違いないでしょうか。
答1:はい。間違いございません。
問2:署名を受け取った率直な感想をおきかせください。
答2:ユーザー様からのご意見として、今後のサービス改善等に役立たせていただければと思っております。
問3:足あと機能、つまりリアルタイムな訪問者表示機能を廃止する理由を簡潔に教えてください。
答3:既に公式ブログ等でご説明させていただいておりますので、下記URLをご参照いただければと存じます。
(公式ブログ)
http://pr.mixi.co.jp/2011/06/14/post-4.html問4:署名を受けて、何らかのお返事をユーザーさん側に対しておこなうことになると思いますが、その日程や方法などはどのような形となりますでしょうか。
答4:頂いた署名やお寄せいただいたコメントは、ユーザー様からのご意見として今後のサービス改善等に役立たせていただきたいと考えております。
問5:当初直接ユーザーさんから手渡しを受けず、郵送にして欲しいとおっしゃったそうですが、なぜそのような対応だったのでしょうか。
答5:当社では、ユーザー様からのお問い合わせはメールでの対応とさせていただいており、直接対面による窓口を設けていないため、郵送でのご対応をご提案させていただきました。
問6:この問題に関して、ミクシィさんは社内でどのような議論がおこなわれましたでしょうか。
答6:過日に公式ブログでもご説明させていただいておりますが、ユーザーの皆様のログ分析やいただいている声に基づき、サービスのアップデート等については、最適なものにすべく引き続き準備させていただいております。
頂いた署名やお寄せいただいたコメントは、ユーザー様からのご意見として今後のサービス改善等に役立たせていただきたいと考えております。
問7:ミクシィ社さん内で、どのような部署がこの件を担当されているのでしょうか。また、その部署はどのような仕事をおこない、本件に関してどのような権限をお持ちなのでしょうか。
答7:日頃ユーザー様からのお問い合わせを担当させていただいている部署が対応させていただきました。本件に限らず、ユーザーの皆様からいただいた声はサービス企画担当部署へフィードバックさせていただいております。。
問8:ミクシィさんにとって、ユーザーさんとは何なのでしょうか。
答8:ユーザー様は、常にサービスをご利用いただいている大切な存在です。ユーザーの皆様が心地よくコミュニケーションできるサービスの提供に引き続き努めてまいりたいと思います。
典型的な「テンプレ回答」
この回答内容は、繰り返し一般的なユーザーから寄せられる典型的な要望や質問に対して使われる杓子定規な回答、いわゆる「テンプレ回答」だと言っていいだろう。テンプレ回答自体はウェブサービスをやっているところであればどの会社でも使っているだろう、よくある話だ。しかし、それを「1万7千の署名」付きの要望に対して使ってもいいものだろうか。
この回答を見る限り、署名提出したユーザーさん達に対して正式な回答がおこなわれるかどうかすら微妙なところだと私は感じた。実は署名手渡しの代表者に対しても、返答がいつどのような形でおこなわれるのか明言はされなかったそうだ。ユーザーはただただ返事が来ることを期待しつつ、ミクシィ社の言葉を待つのみだ。
考え方が伝わってこない「無機質な回答」
そもそもミクシィ社の広報機能がうまく働いていれば今回のようなことは起きず、これだけの大問題に発展することはなかったはずだ。だから広報に質問を投げかけて、すぐにすっきりした回答が返ってくるとは期待していなかった。しかしそれでもこのような回答が来るとは予想していなかった。もちろん真摯な回答だというわけでもないし、立ち回りが上手なわけでもない。ただただ事務的で無機質な回答だと感じた。そこにあるのは大きな「拒絶」の壁だ。この壁に立ち向かおうとする、mixiの昔ながらの機能を愛するユーザーさん達の熱意には感服する。ここまでこじれてしまったmixiとユーザーの関係。修復は可能なのだろうか。そして、足あと機能が復活することはあるのだろうか。
トンチの効いた新製品が大好き。ITベンチャー「デジタルデザイン」創業参画後、メールマガジン発行システム「まぐまぐ」を個人で開発。利用者と共につくるネットメディアとかわいいキャラに興味がある。
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