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レビュー

ハードディスクの物理障害、果たして本当に復旧できるのか?~前編~


これまでいろいろとハードディスクドライブに関する記事を書いてきたわけですが、今回は論理エラーではない正真正銘の「物理障害」について、実際にぶっ壊れたハードディスクを使った衝撃のレポートです。わずか20GBの復旧で信じられないほど高額な見積もりを出されました。

ネット上で「ハードディスク 復旧」などと検索すると多くの業者サイトが出てきますが、まずその実態を簡単に列挙します。以下はいくつもの実績ある復旧業者およびその関係者から、悪質業者についての証言をまとめたものです。

・論理障害はFINALDATA(ファイナルデータ)などの市販ソフトで復旧しているだけ
・物理障害は復旧技術がない業者の場合はただ開けるだけしかしていない
・物理障害で復旧できなくても検査料や着手金などの名目で数万円を請求
・別の復旧業者が復旧させると信頼が落ちるため、復旧できないように破壊してから依頼主に返却


にわかには信じられませんが、これが現時点で過半数を占める悪質復旧業者の実態です。今回は3月の初旬から今に至るまでかなり長い時間をかけてリサーチした結果と、実際のGIGAZINEにおける復旧依頼とその結果レポート、悪質な業者の実態や復旧の実際を中心にお送りします。
■ハードディスクがぶっ壊れた!


2007年3月3日(土)午前11時、今朝電源を落としたはずの仕事で使っているノートパソコン「レッツノート CF-W2」から異音が聞こえることに気づく。あわてて開いてみると画面は真っ暗、そして聞いたこともない、明らかに異常な音。電源を強制的に切り、しばらくしてから電源を再投入するも、BIOS画面から先に進まず、再び聞いたこともないような異常な音が。

今までも数回、ハードディスクがクラッシュする音を聞いているので「これは物理障害だ、どうしようもない」と思い、あきらめることにしたが、バックアップしていないファイルがいくつかある。ふとハードディスクの物理障害復旧というのはどのようなものなのだろう?と思い立ち、以前から聞いていた「技術力は確かだがめちゃくちゃ高い」という評判の以下の復旧業者に電話してみることにした。

データ復旧・データ復活・データ復元 : データリカバリならオントラック
http://www.ontrack-japan.com/

どうやらデータ復旧ホットラインという番号に電話をすればいいらしいが、特に急いではいないので、どれぐらいで連絡が来るのかと思い、メールフォームを使うことに。

見積り依頼 : データ復旧のオントラック

というわけで、以下のように記入して送信してみた。大体、12時9分頃に送信。全体の容量を覚えていなかったので適当に記入。実際には40GBでした。


本文は大体こんな感じ。

午前7時に作業を終了してシャットダウンさせ、そのまますぐに就寝したところ、午前11時に異音で目が覚め、ノートパソコンを見るとシャットダウン途中でハードディスクが物理的に壊れたらしく、異音(ヴィーというモーターが回転するような音が止まらない状態、普段は聞いたことのない音です)が起きていたのでそのまま電源を切りました。1分ほど経過してから再度電源を入れてみましたが、BIOSまではいくもののそのまま再度、同じ異音を出して起動不能になったのでそのまま電源を切ってあります。
以前にオントラックのソフトウェアをレビューしたことがあり、その際に非常に読者からも好評だったため、今回のデータ復旧見積もりも御社に依頼しようということになりました。よろしくお願いします。


それから10分後、速攻で電話が!早い!しかし電話をかけてきたのはオントラックではなく、アイティフォーという違う名前の業者。どうなっているのだろう?と思い、話を聞いてみると、土日祝や営業時間外はアイティフォーというこの代理店が受け付け事務を行っており、実際の作業はオントラックが行うとのこと。

電話での応対によると、物理的な故障なのでとりあえず復旧できるかどうかを検査して、可能なら容量によって見積もりの価格が違ってくるとのこと。その場合、フォルダ名などが認識可能であればその名前指定で見積もりできるそうで。また、オントラックの送付先は埼玉の工場になっており、折り返しFAXで見積もり依頼書がくるので、その依頼書に記入してから返送し、ハードディスクを送ればいいとのこと。その際にできればノートパソコンからハードディスクを外して送ってほしいが、無理なようであればノートパソコンごと送ってもらってもかまわないそうで。

また、復旧できるかどうか検査するだけでも一応料金は取られるとのこと。聞いてみると1万数千円ほどだそうなので、復旧依頼をしてみることに。

なかなか親切な対応だったのは好感が持てたものの、ハードディスクを外すとは……できるのだろうか……?

■復旧依頼までの遠い道のり
まずは以下のページを参考にして分解を試みる。

CF-W2の分解(図解) - The Green Hills of Earth

なかなか大変そうですが、悪戦苦闘しながら分解に成功。




念のため認識できるかどうか、ハードディスクを外付けにする「IDE→USB2.0」ケーブルにつないでみるがもちろん認識できないし、相変わらず妙な音がする。以下が実際のムービー。だめだめです。これ、別に起動しているわけではなく、ただつないだだけ。なのに妙な音が聞こえ続けます。



分解中にFAXが届いており、これらすべてに記入してFAXで送り返すらしい……。以下がそのFAXをスキャンしたもの。







記入してFAXで返信後、以下のように梱包し、17時に近所のセブンイレブンからヤマト運輸で発送。



レジで確認してもらったところ、オントラックのラボがある埼玉県入間市には週明けの月曜日、3月5日に到着するとのこと。あとは天に祈るだけ。

■ついに運命の時、だが……
2007年3月6日16時、夕方。なぜかオントラックではなく、アイティフォーから電話。データは100%復旧可能とのこと。おお、すごい!また、同時にメールで復旧可能なファイルのリストが添付ファイルで届く。CドライブとDドライブに入っている全ファイルなので単なるテキストファイルながら、実に11MB。以下がその届いたファイル。どうやら前日の夕方には既に解析は終わっていたらしい。素早い。


中身はこんな感じで救出可能なファイルが列挙してある。


ところが、ファイル数が非常に多く、容量も大きいため、かなり値段がかかるという……。そして届いた見積書がこれです。注目すべきは2枚目、気になる値段が書いてあります。




たった23GBのDドライブだけで100万円突破!見積もり時に指定したフォルダだけだと16GBだけだが、それでも約90万円!むちゃくちゃ高い!ギャー!こんなの、払えるわけ無いだろ!!見積もりが高くて復旧をあきらめるケースが多いとは聞いていたが、ここまで高いとは……。一体どうすれば?

・次回予告
あまりにも高額の見積もりにブチ切れ、ほかの物理障害を復旧できる業者を探すことに。そして探し当てた自前で復旧できるラボを持つ数少ない業者たち。だがそのいずれもが異口同音に同じことを言う……。
「確実に復旧させたいのであれば、そのままオントラックさんに依頼した方がいい」
その言葉の真の意味とは?そしてハードディスク復旧業界の闇とは?こんな高い値段でないと本当に復旧できないのか、あるいは別の安い方法があるのか?次回、衝撃の事実が次々と判明する「ハードディスクの物理障害、果たして本当に復旧できるのか?~後編~」にご期待ください。

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in レビュー,   ハードウェア, Posted by darkhorse

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