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取材

70%オフで足の痛みを劇的に改善する自分用「インソール」を注文する方法


歩いたり立ったりしているとすぐになぜか足が痛くなりやすいが、我慢できない程度ではないため耐えていたら、年々痛みがひどくなってきて、段々と痛みが足の裏から膝、そして骨盤、腰へと上がっていき、最終的にはちょっと歩くだけでも痛むようになって歩くのがつらくなり、ひざをさするようになって、最終的には足の筋肉が弱くなってきて歩くことがそもそもできなくなり、寝たきりになって……という悪夢のようなシナリオを回避するため、靴の底に入れる「インソール」を作ることにしました。

というのも、取材のためにあっちこっちに出張に行くわけですが、年々足の裏がすぐに痛くなるようになってきており、最初は体重が増えたせいだと思って、体重を減らしたのですがそれでもあまり改善せず、「そもそも足の裏が痛いと言うよりは、かかとが痛くなってきてそれから足の裏の真ん中が痛くなってきて、それからふくらはぎ全体の筋肉も疲労していく感じ」だということに気がつき、これは何か異常なのではないか?というか、そもそも立ちっぱなしでいても、歩いていても、ある一定の時間が経過すると自動的に痛くなり始めるというのはヤバいのでは?ということで、いろいろと調べてみたというわけです。

◆1.整形外科の受付でインソールを作ってもらえる「義肢装具士」がいるかどうかを確かめる

インソールにはいくつか種類がありますが、自分の足の裏の形にぴったりとフィットするインソール、それも今回のような明らかに足に異常があるのではないか?というぐらいのレベルでインソールを作る場合、整形外科の受付で最初に聞くべきは「そちらの整形外科では、靴の底に入れるインソールを扱う義肢装具士はいますか?」という点。この義肢装具士というのは何かというと、Wikipediaがわかりやすいです。

義肢装具士 - Wikipedia

義肢装具士(ぎしそうぐし、英: Prosthetist and Orthotist, PO)は、厚生労働大臣の免許を受けて、義肢装具士の名称を用いて、医師の処方の下に、義肢及び装具の装着部位の採寸・採型、製作及び身体への適合を行うことを業とする者をいう。

採寸・採型、製作、身体への適合はもちろんのこと、適合に際して、義肢の場合の不安定さをなくしたり、患者に対するつけたときの恐怖心を取り除くなどの心のケアも含まれる。(医師の指示の下、診療の補助行為として認められている。)また他の医療関連職(医師をはじめとして、看護師、PT、OTなどコ・メディカルスタッフ)と連携を取りチーム医療に貢献する専門職である。


要するに本来は義肢を扱う職業な訳で、靴の底に入れるインソールも義肢の一種であり、このインソールを作ってくれる整形外科かどうかというのが最初に確認すべき点です。

義肢装具士の出入りのない整形外科に行っていくら検査してもらってもはっきり言ってムダで、私の母の場合は近所の整形外科に同じように足の痛みが原因で10年近く通っていたのですが一向に改善せず、別の整形外科に行って義肢装具士にインソールを作ってもらった途端に足の痛みも何もかも激減していったため、私も同じようにしてインソールを作ろう!と思い立ったという流れです。

◆2.義肢装具士のいる整形外科でレントゲンを撮影、足のトラブルの状態を説明

ネットで近くの整形外科を調べてリストアップし、電話やメールで義肢装具士のいる整形外科を見つけたら予約し、指定された日時に行き、まずは自分の足の自覚症状を書いて医者に出します。次にレントゲンを撮影します。レントゲンは上からと、片足ずつ内側側面から撮影することになっており、主に足のアーチの形状や、足の指の広がりを見るためだそうです。平面図と側面図を撮影し、症状と合わせてどういう状態にあるかを詳しく推測していく、というわけです。

◆3.義肢装具士に足の裏の型を取ってもらう

指定された次の日時に行くと義肢装具士がインソールを実際に作るということで、見本を見せてくれます。さらにいろいろと原因を説明してくれます。この骨がこのように変形しているから痛いであるとか、軟骨が出ているから痛いであるとか、あるいは年齢とともに足のアーチが変形してきて、足の裏に手を置くとわかるが底が広がってきているとか、もともと少し外反足になっているのも痛みの原因の一つで「足が痛いぐらいでは死なないと思って後回しにするが、ちょっとぐらい痛いというのを我慢していると重症化する」とか、いろいろ教えてくれます。

そんなわけで、まずはこのスポンジみたいなものの上に立って、足の裏の型を取ります。

足の裏の形を取るスポンジっぽいものはこういう箱の中に入っています


実際に足の裏の型を取ってみました


こんな感じでずぶずぶと沈んで形がわかるというわけです


右足は割と普通に見えるのですが、小指の方に行くにつれて、踏む力が弱い、というか足の指でつかむ力が弱いことが判明


大問題なのが左足。ちゃんとまっすぐ立ったのですが、これは一体……。


そして異様なほどめり込んでいるかかと。


足の裏の傾斜がかかとに向かっており、おそろしいほど重心が後ろに。


見てわかるように、足の前が浮き上がっていて、かかとが奥に入ってしまっています。これはおそらく小さいときからの歩く習慣で、極端に重心が後ろに寄っていて、なおかつ足の指先に全く力が入っておらず、歩くときに足の指が何もつかまずにいる状態だ、と。

そもそも正しい歩き方の姿勢というのは習っても、正しい歩き方そのものなど習ったこともないので全く知らなかったのですが、歩くときには足の指先は大地をつかむような感じで力を入れて蹴り出す感じで歩いて行くのが正しく、まんべんなく足の裏に体重をかけ、ひざをやわらかく使って足に負担をかけないように歩くというのが普通に正しい歩き方らしい。

これによって、なぜ幼少のみぎりから、小中高にかけて体育の授業で早く走れなかったかが判明、なるほど、足の指でつかむように意識し、重心を後ろから前にかけるとコレはラク……というか、ほかの人の歩いている世界はこんなのだったとは……!「歩く」「走る」ぐらいは普通にできると誰でも思い込んでいて、なおかつ悪いのは姿勢であるとかフォームであるとかそういうのかと思っていたらそうではなく、そもそもの根本の部分からおかしかったとは!いやー、小学校低学年とかで一度、この足の裏の型を取って、各個人の歩き方の癖をちゃんと記録して、正しくあるべきように矯正しないと、それから長い年月をかけて私のようにてっきり歩いたり走ったりといった運動が不得意なタイプだと思い込み、なおかつ段々と重心が後ろに寄っているせいでかかとに負担がかかり、かかとの骨が出っ張ってきて、それで骨に当たって痛みが走るという状態になって、立つのも歩くのも苦痛という訳のわからない状態になってしまうわけで。まさに「なんということでしょう……!」としか言いようがないです。

で、さらに追い打ちをかけるように「左足の方が靴のちびりがおかしいことはないか」とのこと。はっ!言われてみれば、なぜか左足のかかとの部分だけよく削れているような気がするというか、靴を見れば一目瞭然なのにそのことに全く気がつかなかったというか、歩くときの癖のせいで片方だけよくちびると思っていたのですがそもそもそれが当たり前ではなくておかしくて、なおかつ足のかかとの方から削れていくなんて誰が考えてもおかしいだろう、常識的に考えて!

両足を比べると明らか。もう右と左のへこみ方が違っており、へこんでいる部分は本当であればアーチにならなければならないのに、それもなんだかちょっとおかしげなことに。あうあう!


◆4.足全体の型を取る

足の裏だけだと、足のアーチの形状などがわからないので、さらに足全体の石膏を作ることに。

これは石膏包帯で取ることになります。要するにギプスで型を取るわけです。

包帯石膏の箱


中身はこんな感じ


ずらーり


で、そのときに自分の履きやすい靴で「靴底が取れる靴」を次回に持ってきてくれと言われます。自分の履きやすい靴にインソールを入れるから、というわけです。

◆5.自分の履きやすい靴を持っていく

石膏型を2種類作ったわけですが、これが完成したもの。本来は捨ててしまうそうなのですが、無理にお願いをしてもらってきました。むちゃくちゃ重たいのですが、自分の足の形をしたオブジェだと思えば軽いものです。


足の裏


こんな感じ


ぺたん


足のアーチ


この側面の部分や、足の甲の部分の曲がり方を見るわけです


確かにわかりやすい


そんなわけで1回目はレントゲン、2回目は足の型どり、そして3回目でインソールが完成したので、それを自分の靴に入れて試します。

今回、私のは間に合わなかったので、代わりに私の母の靴を撮影。同じような手順でインソールを作ったものです。


こんな感じでもともと入っていた靴の中身が取れるようになっているのを選ぶのがポイント


左が最初から入っていたもの、右が作ってもらった自分用インソール


形とか厚みとかが露骨に違っています


足の裏の形に合わせて作られているのがよくわかります


つま先の形もまったく違う感じ


ぽこっと飛び出ている部分によって足の衝撃を軽くする、というわけ。へこませてカバーする場合と、逆に膨らませてクッションにする場合とがあるそうで、足の状態によって変えるそうです。


正面から見ると普通のものと全く違うことが理解できるはず


裏も違います、かなり上等


こうやって作られたインソールを靴の中に入れます


できあがり


靴自体にも完全にフィットしています、すごい


インソールは同じような形の靴同士であれば使い回すことが可能で、こんなものにも流用可能


するする


大体約1週間でインソールができあがってくるという感じです。1ヶ月ほどインソールを付けた靴で生活し、不具合がないかどうかを確かめ、もし不具合がある場合は義肢装具士に言って直してもらうことになります。

私個人のはまだなのですが、実際に作って完成した私の母にどんな感じなのか話を聞いてみると「履くと足の裏にフィットする。アーチのところがもっと下から上がってきているような感覚で、まさに足のアーチを補正している感覚。足で歩くのを裏から助けてくれている感じがする。足の裏で補正するところがちょっとふくれているけれども、かえってその方が心地よい」とのことで、劇的にラクになるようです。

担当の義肢装具士によると、「O脚であればインソールの外側を高めにしたり、かかとに重心がかかっている場合は少し重心を前にするように加減したりする。ちょっと痛いぐらいの時に行けば、これをすることで足の骨の形を矯正することができるが、年を取ってからだと進行を食い止める程度にしかできない、少しラクになる程度。そのため、ほんのちょっと痛いときに行くのがベスト。そうすることで年を取ってから膝をさするなどのトラブルは少なくなる。無理をしていると段々と痛みが体の上に向かって上がってくる」とのことです。

◆6.保険で70%オフ、そしてちょっとした裏技

この整形外科で作るインソール、今回は3万円かかりましたが、このうち70%は保険で戻ってきます。つまり、実際に払うのは9000円。自分用のインソールが9000円で作成でき、それによって痛みもなくラクに歩けるようになるということなので、それを考えるとこの価格は激安な方ではないかと。

また、これで作ることができるインソールは一足の靴に入れる分だけで、次に保険を効かせた状態でインソールを作ることができるのは1年半後。というのも、1年半が経過するとまた足の裏や足の形が変わるため。基本的には足の形を矯正して本来あるべき形にするためのインソールなので、足の形が変わって当たり前、というわけです。

しかし、このインソール、靴によって使い回しができるとは言え、できれば室内用と屋外用の2つが欲しいところ。そういう場合には名目上、「矯正靴を作る」ということで約1ヶ月ぐらい期間をおくことでもう1つ、保険が有効な状態で作ることができるそうです。これで1年半待たずに2つ作れる、というわけ。

なお、足の裏だけでなく、足の甲の部分もセットで矯正する場合や、より一層フィットした靴を作る場合には、ドイツの「フィンコンフォート」というブランドの靴が最適で、こういう足の裏のトラブルであるとか、痛みであるとか、そういうものを矯正するために作られた靴だそうです。

これがその実物


こんな感じ。


見かけはなんだかそこらにありそうな感じ


ですが、インソールの靴自体へのフィット率が尋常ではなく、がっちりとはまっています


こういうように分離可能


このサンダルタイプの場合は上部がすべてマジックテープ


足の甲に合わせて、きつくもなく、ゆるくもない、という最適な状態に合わせることが可能です


裏も普通の上履きに比べたらすごい丈夫にできており、フィンコンフォートのこの系統の靴は、直しながら履き続けることで10年は持つ、とのことです。

そんなわけで、日々の通勤や通学で立ちっぱなし歩きっぱなし、なんだか足が痛い、という場合には早めに自分の足に合ったインソールを作るとよさげで、かなりおすすめです。

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in 取材,   サイエンス, Posted by darkhorse

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