「便座がない」「電球が赤い」と突っ込むことが多いアフリカ安宿事情まとめ
こんにちは。自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。自転車世界一周の旅を進めるにあたって1カ月の予算を決めていています。そこから1日分を割り出すと、1泊にかけられる予算は1000円以内ということになりました。これから紹介するのは、そんな1000円以内の予算でモロッコからジンバブエまで駆け抜けたときのアフリカ安宿事情です。アフリカの安宿は何かしら足りません。でも、それはどうもツッコむことを求められているような気がしました。アフリカの安宿事情を紹介します。
まずはとにかくツッコみましょう。何かが足りないアフリカの安宿クオリティに呆れて下さい。
窓とテレビに鉄格子。外部からの盗難にも、内部からの盗難にも気を抜けないのがアフリカです。
網戸が破けています。
部屋の壁に沿ってアリさんが行列を作っていました。
鍵も試練の一つです。扉を押しながら開けたり、引っ張りながら開けたりと、開け閉めにコツがいる鍵があります。建て付けが悪いのです。うまくできないと苛立ちます。宿の従業員は合鍵をもっているので、キーホールブロッカーという便利アイテムで鍵穴をふさぐと、より安全でしょう。東アフリカの安宿は南京錠ですから、自分の南京錠を持っていると安心します。ケニアでは、一カ所だけですが、カードタイプの鍵があって驚きました。
キーホルダーがダンボール。
内側からのドアの鍵は釘です。
明らかにずれていて使えません。
こちらが鍵穴をふさぐキーホールブロッカー。
電球が切れている、あるいは切れてしまうのも困るところです。予備の電球なんてないでしょう。優しい所だったら新しい電球を買いに行ってくれます。ガーナではすぐに換えてくれました。でも、カメルーンでは理不尽にも逆切れされました。ギニアではいくら待っていても交換してくれないので、自分で外にある電球を外そうとしていたら、ようやく作業をしてくれました。
トイレの電球はよく切れています。
こんな明かりじゃ作業しづらい。
電気がないところはランプかロウソクです。
一番酷いのは水周りです。洋式トイレの便座が見当たりません。だったら、和式にしてくれればいいのですが……。水道がないとバケツでシャワーを浴びないといけません。バケツをくれても水をすくう手桶がなかったりします。そういうことに備えて、自分用の手桶を持って歩いてました。安宿にホットシャワーは付いていませんので、気合を入れて水を被りましょう。慣れればバケツシャワーでも十分に体を洗えます。
排水管が繋がっていません。
昔はシャワー、今はバケツ。
こちらがバケツシャワー。
どれでも好きなバケツを使って下さい。
便座はどこへ行った……?
汚い、臭い、と最低です。
イスラムの強いタンザニアでは和式が普及していて快適でした。
そして、モロッコからジンバブエまで駆け抜けたアフリカの安宿事情を紹介します。
西部アフリカの安宿はセーファー圏では高い傾向にあります。セネガル、ギニアビサウ、マリ辺りは安宿が少なく大変でした。同じセーファー圏でもブルキナファソ、トーゴ、ベナンには安宿に泊まれました。ギニア、シエラレオネはインフレーションでしたから、安宿には困りませんでした。安宿の値段は据え置かれているのですが、外貨の価値が上がっているからやりやすいのです。ただし、電気や水道がなかったりします。ナイジェリアはペアランをしてシェアをしていたから何ともいえません。西部アフリカで一番の落ち着くのはガーナでしょうか。経済発展の著しいガーナの安宿のコストパフォーマンスは群を抜いていました。
ギニアビサウの安宿。汚いのに高いという首都ビサウの宿でした。値段は6000CFA(セーファーフラン)=約1040円。
ギニアの安宿。ただし電気は夜中に自家発電気を回します。値段は5万GNF(ギニアフラン)=約660円。
シエラレオネの安宿。こちらは水道がありませんでした。値段は4万SLL(シリアレオネレオン)=約800円。
ガーナの安宿。設備も値段も快適だったのがガーナでした。15GHC(ガーナセディ)=約840円。
中部アフリカの安宿はきびしかったです。カメルーンは首都のヤウンデをのぞけば安宿がありました。所得水準の高いガボンですが、意外に安宿が多くて進めました。コンゴの田舎には独房みたいな部屋しかありませんでした。
カメルーンには快適な安宿がありました。6000CFA=約1040円です。
ガボンに安宿はあったけれど部屋はイマイチ。ここも6000CFA=約1040円。
コンゴの田舎の独房みたいな部屋。2500CFA=約410円。
東部アフリカは安宿が豊富で東南アジアに近いイメージです。田舎だとトイレシャワー共同で200円、300円の安宿、街だと600円~1000円でトイレシャワー付きの安宿に泊まっていました。田舎の安宿は少し汚いですが、街の安宿は清潔で居心地もいいです。田舎の宿は部屋にベッドがぽつんとあるだけで、寝るだけと割り切ったほうがいいでしょう。ケニアの街の安宿では朝食付きのところもありました。タンザニアの街の安宿は広い室内に大きなベッド、机や椅子もあってコストパフォーマンスが抜群です。ルワンダではどこにでも悪くない安宿がありました。
ケニア田舎の安宿。ケニアのこのタイプの宿でダニにやられました。250KES(ケニアシリング)=約190円。
ケニアの街の安宿。ここは鍵がカードでホットシャワー付きと、全体的にケニアの宿はレベルが高かった印象です。1000KES=約750円。
ウガンダの田舎の安宿。6000UGS(ウガンダシリング)=約180円。
ウガンダの街の安宿。ケニアから入国して初めての宿がここだったので安心しました。1万6000UGS=約480円。
タンザニアの田舎の安宿。5000TZS(タンザニアシリング)=約250円。
タンザニアの街の安宿。自転車を入れるのも躊躇するくらいの綺麗な室内です。値段は1万3000TZS=約650円。
全般的にクオリティが高かったので、安心できたルワンダの安宿。6000RWF(ルワンダフラン)=約780円。
南部アフリカに入ると安宿は少なくなってしまいます。マラウイやモザンビークはまだ安宿に泊まっていたのですが、ジンバブエでは「最低でも20ドルからよ」と言われて、手が出ませんでした。物価の高いと言われるボツワナ、ナミビア、南アフリカも同じような形でしょう。ただ、この南部アフリカはツーリストも多く、ドミトリー形式(一つの部屋のベッドを共有する)バックパッカーや、キャンプ場にテントを張って泊まることもできます。それなら1泊は1000円以下に抑えることができるので、これからも大丈夫なはずです。
東部アフリカと比べると値段の割りに質が落ちて残念だったモザンビークの安宿。300MZN(モザンビーク・メティカス)=約890円。
ジンバブエではこんな気持ちのいい芝生の庭にテントを張りました。5USD(アメリカドル)=約400円。
いろいろと並べたのですが、安宿があるからこそ元気にアフリカを旅できています。一日の走行を終えて汗だくになった体は、バケツシャワーであっても洗い流すと気持ちのよいものです。また安宿だからこそ、宿泊費は抑えて食費に回すことができます。チャリダーさんは食べないといけませんから。
こだわらなければ、この位から安宿はあります。全然、旅できますよ。良くも悪くも満たされるのがアフリカです。自分で体験することが一番ですから、一度アフリカに訪れてみるのはいかがでしょうか?
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com)
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