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研究というものは、何を研究するにせよ、読み/書き/情報の整理、という三要素は、まあだいたいにおいて欠かせない。そうした三要素のいずれについても、iPad はえらく重宝する。この稿ではそれら三要素のうち、「読み」という点に話をしぼって、「iPad がいかに重宝するか」について「伝道活動」を繰り広げようと思う。
目は疲れない?
まず、「具体的にどういうアプリを使ってどのように本や論文を読んでいるか」にふれるまえに、けっこうな人が気になっているであろう「iPad でものを読みつづけていて目は疲れないか」ということについて一言しておこう。
結論から言えば、(あくまで「おれの場合は」という限定辞付きではあるが)まったく疲れない。いや、げんみつに言えば、そりゃあ疲れますよ。でもそれは、紙の本を読んでいたって、同じこと。そのうえで、紙や電子ペーパーでものを読むのと比較して iPad でものを読む場合の眼精疲労度のようなものを考えても、そこにはあまり有意なちがいはない、と思う1。
何で読むか?
昨今、たいていの学術論文は PDF ファイルで公開されているのが常であるし、学校の図書館の契約状況によっては、Springer やケンブリッジ大学出版局といったところから刊行されている書籍も相当程度 PDF で読めたりする。ゆえにここでは、PDF リーダーをそのもっぱらの話題とする。
さて、iPad において「書きこみのできる PDF リーダー」といえば、GoodReader か iAnnotate の名前がまずは挙げられるだろう。前者が2.99ドル、後者が9.99ドルなので、値段という点からだけ言えば圧倒的に GoodReader のほうが優位なのだろうが、以下に述べるもろもろの理由から、個人的には iAnnotate を推す。
注釈機能
iAnnoate の注釈機能には、おおまかに言って、つぎの三つがある。
- コメント
- マーキング/下線
- フリーハンド
「コメント」では、容易に察しがつくであろう通り、文書の任意の場所に文字コメントを挿入することができる。
「マーキング/下線」のうち「マーキング」は蛍光ペンで文字列を塗ることに相当する。マーキングも下線も(ほぼ)任意の色が選べるので、たとえば「青のマーキングは重要なところ、ピンクのマーキングは納得できないところ、紫のマーキングは理解できないところ」など、塗り分けができる2。
「フリーハンド」では、指あるいは導電性ペン3を利用して、文書のあらゆるところに描線/描画できる。ある程度こまかい書きこみも、文書を拡大すればそれほどの困難なく行える4。もちろん、描線/描画には任意の色が選択可能。
上記の方法でなされた注釈は、Annotations メニューより一括して閲覧することができる。このメニューでは、注釈種別(コメント/マーキング/下線/フリーハンド)、それらの注釈をするさいに用いられた色、そしてマーキング/下線にかんしては、マーキング/下線が引かれた文字列が(デフォルトでは)表示されるので、たとえば「分からない単語には黄色のマーキングをする」というふうにしておけば、そうした単語をこのメニューから一気に見ることができる。
複数の PDF を閲覧
さて、この機能こそが2.99ドルの GoodReader ではなく9.99ドルの iAnnotate を推すおもな理由なのであるが、複数の PDF が同時に開けてうれしい理由は、おおざっぱに言って二つある。まず、複数の、たがいに関連のある文献を行ったり来たりできる、ということ。これは、複数の PDF が開けてうれしいことの、ほぼ言うまでもない理由であろう。
二つ目に、これは個人的にひじょうに気に入っている使い方なのだけど、1冊の本を本文とそれ以外、つまりは目次・参考文献・索引に分けて、それらを同時にタブで開いておく、というもの。この際、本文がきちんと1ページ目からはじまるように切り分けておく。すると、1) 本文を読んでいてぶちあたった参考文献情報にすぐアクセスできる、2) 索引で指示されているページをそのまま指定すればすぐ目的の用語/人名にたどりつける、というご利益がある5。
ファイル管理
さいごに、ファイル管理についてかるく一言。
ファイル管理にかんしても、GoodReader より iAnnotate のほうが、より直感的に操作でき、すぐれているように思う6。ただ、外部のファイルストレージサービスとのやりとりについては、GoodReader に軍配が上がる7。
以上、くだくだしく書いてきたが、まとめると、
- ファイルへのコメント/マーキング/下線にかんしては、GoodReader でも iAnnotate でも、満足できるレベルでできる。
- iAnnotate では、複数のファイルを同時に開くことができ、それにより、いろいろのご利益がある。
- いっぽう、外部のファイルストレージサービスとのやりとりについては、だんぜん GoodReader のほうがよい。
といったところなので、あとは各自、操作感等を加味して、自分にあったものをお選びください。
それでは、次回(がもしれあれば)「書く」編でまたお会いしましょう。
1 ただこれは、個人差のひじょうに出るところだと思うので、「もっぱら研究目的のために iPad を買おう」と考えている人は、まず実機にふれてみることをおすすめする。
2 が、おれはそこまでしていない
3 おれは Pogo Sketch を愛用。「スマートペン」というのも、評判がよいようである
4 が、そうした「こまかい書きこみ」が必要な場合、おれは上のコメント機能をおもに使ってしまっている
5 とうぜんこのようにすると、単純計算してファイル数が倍になってしまいはするのだけど、容量的にはほぼかわらないので、おれはよしとしている。
6 iAnnotate では、たとえば「フォルダ内のファイルを一括選択して、それらを別のフォルダに移動」などの操作も、かなりかんたんにできる。ただ、じつは、GoodReader は iPhone 版しか持っていないので、iPad 版ではいま言ったような操作も、手軽にできるのかもしれない。
7 ファイルストレージサービスとのやりとりについて、iAnnotate は Dropbox しか対応していないが、GoodReader では Dropbox はもちろん、SugarSync や Google Docs、さらには任意の WebDAV サーバへの接続もサポートしている。
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