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私的録音録画小委員会、違法サイトからの私的複製禁止に異論も


私的録音録画小委員会(第12回)会合
 私的録音録画補償金制度の抜本的な見直しを図るために、文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の2007年第12回会合が、13日に行なわれた。今回の会合では、これまでの議論をまとめた「中間整理(案)」が提出された。同委員会では、次回の会合で中間整理案をさらに整理し、10月12日に文化審議会著作権分科会に報告。その後、パブリックコメントを募集する。

 中間整理案は、「私的録音録画問題の検討にあたっての基本的視点」「著作権法第30条の適用範囲の見直し」「補償の必要性」「補償措置の方法」「私的録音録画補償金制度のあり方」の5つの問題について、これまでに寄せられた意見をもとにしてまとめたもの。過去2回の会合でも、これまでの議論をまとめた「議論の整理メモ」が提出されたが、大幅な内容の変更は見られなかった。同案は、これまでの議論で合意に至らなかった点についても両論併記となっているが、一部の内容については疑問や反論が寄せられた。

 まず、私的録音録画問題の検討にあたっての基本的視点の記述について、「中立的でない」と語ったのは主婦連合会の河村真紀子氏。現行制度が、1991年の著作権審議会第10小委員会における「粘り強い話し合い」により合意に至り、「まさにこの合意に基づいて立法化されたものである」という記述に対して、「ものすごく大変だったことを言いたいだけ」と指摘。この記述をもとにパブリックコメントを募集しても、補償金制度に肯定的な立場からは賛同を得られても、消費者の立場から見ると中立的とは言えず、パブリックコメントを見た人に偏った印象を与えるのではないかと懸念を示した。

 また、著作権法第30条「私的使用のための複製」で規定する適用範囲の見直しについては、IT・音楽ジャーナリストの津田大介氏が、違法録音録画物や違法サイトからの私的複製を第30条の適用外とすることに異論を唱えた。中間整理案では、これらのソースからの私的複製について「著作権法第30条の適用を除外することがおおむね了承された」と記述されているが、津田氏は、個々のユーザーを取り締まることは事実上難しく、実効性に乏しいと指摘。「国民の情報収集や表現の自由にも関わる問題」として、違法著作物をダウンロードしていない人でも反対意見は多いと主張した。

 さらに津田氏は、「おおむね了承された」という記述について「最後まで了承できない」として、主査を務める東京大学教授の中山信弘氏に対して、21人の委員による多数決を要請。これに対して中山氏は、「かつての審議会では、強引に1つの意見にまとめたりしたが、最近では少数意見もあわせて記載することが多い」と回答。「多数決で少数意見を1本化するのか、それとも少数意見として併記するか、報告書を提出する際に検討させて欲しい」と答える一幕もあった。


関連情報

URL
  私的録音録画小委員会(第12回)の開催について
  http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2007/chosaku_rokuon_070905.html

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( 増田 覚 )
2007/09/13 20:30

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