ヤフーとCCCがポイント/ID統一、今後は「Tポイント」と「Yahoo! JAPAN ID」に
ポイント事業の新会社を10月に設立
ヤフー株式会社(Yahoo! JAPAN)とカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)は19日、ポイント事業で戦略的資本・業務提携することで基本合意したと発表した。これまで両社がそれぞれ発行してきたポイントは「Tポイント」プログラムに、インターネット上のIDは「Yahoo! JAPAN ID」に統一する。
CCCはTポイントの運営事業を10月1日新設予定の新会社に分割し、代表取締役社長にCCC代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏が就任。来春よりポイントの切り替えと、IDの統一を行う予定。資本金は未定だが、Yahoo! JAPANも15%出資し、ヤフー最高経営責任者(CEO)の宮坂学氏も新会社の取締役に就く。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社代表取締役社長兼CEOの増田宗昭氏(左)と、ヤフー株式会社最高経営責任者(CEO)の宮坂学氏(右) |
Yahoo! JAPANは、Yahoo!ショッピングなどのサービスで付与しているポイントプログラム「Yahoo!ポイント」を、CCCが提供するTポイントに切り替える。一方、CCCは、インターネット上でTポイントサービスを受けられる共通ログインIDである「T-ID」を、Yahoo! JAPAN IDに統一する。
これにより、Yahoo!ショッピングやYahoo!オークションなどYahoo! JAPANの各種サービスでTポイントが使えるようになるほか、Yahoo! JAPANのサービスで貯めたポイントを利用できるサービスが拡大する。
例えば、「Tカード」が必要となるが、Tポイント加盟の一部リアル店舗において支払いに充当することなどができるようになる(リアル店舗で使用する場合は、Tカードを持っていない場合は入会が必要)。一方、インターネットの「T-SITE」であれば、Tカードを作成しなくとも、Yahoo! JAPAN IDでログインしてTポイントで買い物などができるという。
すでにTカードを持っているYahoo! JAPAN ID会員のポイント口座を統合するのか、その際の手続きはどうするのかなど具体的な部分は今後詰めることになる。また、ポイント切り替え後も、Tカードへの入会を希望しないYahoo! JAPAN ID会員は、従来のYahoo!ポイントと同様にYahoo! JAPAN内のサービスで利用したり、対応する他のポイントプログラムへの交換など、既存のYahoo!ポイントのサービスを受けられるとしている。
このように、従来のYahoo!ポイントがTポイントに切り替わるわけだが、あくまでも現時点ではYahoo!で貯めたポイントを利用できる場所が拡大されるという意味合いであり、会員情報なども含めて統合するわけではないようだ。「リアルとネットを横断した最大の共通ポイント」を掲げる今回の提携だが、ヤフーCEOの宮坂氏は、連携はまずはポイント事業にとどめるとコメントし、例えばYahoo! JAPANにおける検索内容やYahoo!ショッピングで買った商品などの行動履歴と、Tカードのリアル店舗の行動履歴を連携するものではないことを示した。
一方、既存のT-IDは、Yahoo! JAPAN IDへの統一後は、Yahoo! JAPANの各種サービスにログインして利用できるようになる。ただしこちらも、具体的な手続きなどについては今後検討される見込みだ。
このほかの提携内容としては、Yahoo! JAPANが展開する地図・地域情報サービス「Yahoo!ロコ」での連携がある。例えば、地図上にTポイント加盟店のアイコンを表示したり、スマートフォンアプリ上にARで加盟店を表示することで、Tポイント加盟店への送客拡大を図る。
Yahoo!ロコにおけるTポイント加盟店の露出例 |
CCCの増田社長によると、Tポイントのアクティブユニーク会員は5月時点で約4000万人、加盟店は約4万6000店、年間取扱高は2011年度実績で約2兆円に上る。一方、Yahoo! JAPANはアクティブユーザーID数が約2641万人、店舗数はEコマースが約3万7000店、Yahoo!ロコ加盟店が約18万店、年間取扱高が約1兆円だという。これが合わさることで、会員数が6600万人、年間取扱高が約3兆円の規模になると説明。リアルとネットの共通ポイントとして、ナンバーワンの地域情報サービスインフラになるとした。
Yahoo! JAPANおよびTポイントの会員や取扱高などの規模 |
なお、会員数の合計6600万人というのは重複ユーザーを含んだ数字だ。増田社長は、提携によるTポイント会員数の目標値として、日本の人口の約50%にあたる6000万人を掲げた。現在は全国平均で31.7%だが、都道府県別では沖縄で48.8%と半数近くに達している地域があるほか、高知県で44.2%、鹿児島県で43.7%、神奈川県で43.2%、東京都で42.3%に上る。また、年齢層別では、20代人口に占める割合は66.6%だとしている。これらを全体的に引き上げたい考えだ。
増田社長は、特にYahoo! JAPANのインターネット上の媒体力が組み合わさることの効果に期待しており、さらに今後、スマートフォンが普及する影響を強調する。Yahoo! JAPANでのニュース閲覧やオンラインショッピングはじめ、これまでPCで行っていた行動がスマートフォンに変わることによって「顧客接点が爆発的に増える」と指摘。「その接点とCCCのリアルな接点、そこにおけるお客様のナビゲートや情報提供、ポイントを介したいろいろな結び付きという可能性が無限にあると考えていたが、CCCだけではできなかった。ヤフーと組んで初めてできると気付き、今回の提携に至った」とした。
東京都内で19日に開催された記者会見では、提携の調印式も行われた |
【追記 20:40】
記事内容を更新し、詳しい提携内容についての説明を追加したのにともない、記事見出しの表現を、当初「統合」としていたのを「統一」に変更しました。
関連情報
(永沢 茂)
2012/6/19 16:13
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