三井物産は2008年11月から、PC運用管理業務のてこ入れに取り組んでいる(表1)。ITサービス事業者、ユニアデックスが提供するPC運用の管理代行サービス「PC版LCMサービス」を採用し、PCの運用管理業務を全面的に外部委託する。2010年までにグループ会社の一部を含め、1万3000台のPCをサービスによって管理する。まず自社内にある1万台弱のPCを入れ替える。

表1●三井物産のPC運用管理業務の実態
会社名三井物産
PC台数1万3000台
プラットフォーム化の手法標準化、サービス利用
効果と主な取り組み2004年からPC管理の標準化を進めるも、十分な成果を上げられなかった。同取り組みをベースに、社外サービスを活用して、運用管理コストを2割削減する
利用している主な製品/サービスユニアデックスの「PC版 LCMサービス」

 同社がPCの運用管理を含め、IT関連経費を見直すプロジェクトを立ち上げたのは、2007年のこと。当初の様子について、IT推進部情報通信基盤室の清水隆太郎室長は、「PC1台当たり運用管理コストがなぜこんなにかかっているのか。まだまだ減らせるのではないか、と感じた」と振り返る。

 実は、清水室長はプロジェクトチームの一員として、当時のPC運用管理担当者にコスト削減を進めるよう詰め寄った張本人。その1年後、自らがPC運用管理の最適化を司る情報通信基盤室室長に就いたのだ。

PC管理のコスト要因が説明し切れない

 2007年当時に算出したPC運用管理コストは、情報システム子会社である物産情報システムサービスへの業務委託費を、PCの台数で割って算出したもの。同コストを、コンシューマ向けPCの有償サポート費に、セキュリティ対策ソフトやハードディスク暗号化ソフトなどを加えたコストと比較した。

 清水室長は、その理由を「PCの運用管理コストとしてどの程度が妥当かを判断するベンチマークがなかったため」と説明する。結果、「コンシューマPCとは一概に比較できないが、それにしても説明しきれないコスト差が2割程度あった」(同)。このコスト差を、ユニアデックスへの業務委託によって解消するのが目的だ(図1)。

図1●三井物産は2004年に実施した標準化を推し進め、レディメイド型サービスの利用によってさらなるコスト削減を目指す
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 ユニアデックスのLCMサービスは、PCライフサイクル全体で運用管理を代行する。ユニアデックスが定める運用管理プロセスに沿い、指定の運用管理ツールを使うことで、運用業務の低コスト化を図っている。PCハードもユニアデックスが選定し、サービスとして提供する。ただ今回は、ハードウエアに関しては三井物産が選定・購入したものを使うことを条件に契約を結んでいる。

 サービス選定に当たっては、十数社から提案を募った。中には、三井物産専用の運用管理体制を提案する事業者もあった。しかし、「当社専用の過剰なサービスは不要だ。サービス標準に合わせることで、とにかくコストを下げることを優先した」(清水室長)という。「スケールメリットを重視した。1社だけでの合理化には限界がある」との判断だ。