米ヴイエムウェアは2013年8月、ストレージ仮想化ソフト「Virtual SAN(VSAN)」を発表した(図)。
サーバーとネットワーク、ストレージを仮想化することで、システムの運用を柔軟にする「SDDC(ソフトウエア・デファインド・データセンター)」。その実現に向けた最後のピースであるストレージ仮想化の新製品が相次いで登場している。米EMCも、ストレージ仮想化ソフト「ViPR」の提供を2013年9月に開始。EMCは2013年7月にストレージ仮想化技術「ScaleIO ECS」を手がける米スケールアイオーを買収しており、同技術も今後EMCのフラッシュ関連製品などに統合する計画だ。
ストレージ仮想化は、サーバー仮想化と同様、あらかじめストレージをリソースプールとして保持しておき、ソフト上の設定によりシステムの稼働中でも迅速にストレージ容量を拡張できるようにする技術である。サーバー内蔵の直接接続ディスク(DAS)や各種のストレージを仮想的に束ね、一つの大規模なリソースプールを実現する。専用の高価なストレージ装置を、安価なPCサーバーなどを複数用いることで代替できる利点がある。
各社のストレージ仮想化ソフトは、ソフト制御による自動化などで運用の負荷を減らすといった点では共通しているが、ストレージの階層などの違いで、いくつかのタイプがある。具体的には(1)ブロック、(2)ファイルシステム、(3)HTTPによるオブジェクトストレージ、(4)ハイパーバイザー統合型の4種類だ。VSANは(4)、ViPRは(1)~(3)、ScaleIO ECSは(1)にそれぞれ対応する。
SANやNASなど様々な種類のストレージを束ねて仮想化するのであればViPRが、複数のPCサーバーを束ねてストレージを安価に構成するにはVSANが向く。
ただし、VSANはヴイエムウェア製のハイパーバイザー「vSphere」環境でしか動作しない。単体のソフトではなく、vSphereのカーネルに統合された新機能だからだ。
VSANではI/O性能を確保するためにSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の利用が必須だ。全ての書き込み処理は一度、SSDにキャッシュされる。読み出し処理でもSSDをキャッシュとして利用する。デフォルトではSSD容量の30%を書き込み用に、70%を読み出し用に設定してある。