Amazon Web Services(AWS)を利用していると、思わぬ事態に遭遇することがある。AWSを使い始めた初心者のエンジニアが、陥りやすい運用時の“つまずきポイント”をこれから4回で連載する。

 運用編での第1回の今回は料金面でのつまずきポイントだ。AWSは常に構成や利用状況を見直さないと、結果的に割高になることがある。初心者がつい、やってしまうポイントを紹介しよう。

つまずきポイント1:割高なインスタンスを使い続ける

 AWSは2006年からサービスを開始しているので、仮想サーバーのEC2インスタンスを長く利用しているユーザーも多いことだろう。

 EC2インスタンスには“世代”がある。現行世代のEC2インスタンスは、旧世代のものと比較して性能が向上し、価格が引き下げられている。このことに気付かずに、旧世代のインスタンスを使い続け、結果として割高な料金を支払い続けるユーザーがいる。

 具体例として、旧世代と現行世代の似た用途で使われるインスタンスを比較した。参考にしていただきたい。(月額は、OS Linux 1$=102円換算として、月稼働100% 1000円単位までを計算しています。5月18日現在)

表1●旧世代の「m1.medium」と現行世代の「m3.medium」
現行世代に変えると、低料金で性能の高いストレージを利用することができる。
インスタンスタイプvCPUメモリーストレージ月額料金
m1.medium13.75GBSSD対応なし0.9万円
m3.medium13.75GBSSD対応0.8万円

表2●旧世代の「m1.large」と現行世代の「m3.large」「c3.large」
現行世代に変えると、低料金で性能の高いストレージを利用することができる。また、メモリーは少なくてもいい場合(c3.large)、性能の高いストレージで料金が安くなる。
インスタンスタイプvCPUメモリーストレージ月額料金
m1.large27.5GBSSD対応なし1.8万円
m3.large27.5GBSSD対応1.5万円
c3.large23.75GBSSD対応1.0万円

表3●旧世代の「m1.xlarge」と現行世代の「m3.xlarge」「c3.xlarge」
現行世代に変えると、低料金で性能の高いストレージを利用することができる。また、メモリーが少なくてもいい場合、性能の高いストレージで料金が安くなる。
インスタンスタイプvCPUメモリーストレージ月額料金
m1.xlarge415GBSSD対応なし3.6万円
m3.xlarge415GBSSD対応3.0万円
c3.xlarge47.5GBSSD対応1.9万円

表4●旧世代の「c1.medium」と現行世代の「c3.large」「m3.medium」
現行世代に変えると、メモリーが約2倍で料金は旧世代のインスタンスより安価になる。
インスタンスタイプvCPUメモリー月額料金
c1.medium21.75GB1.2万円
c3.large23.75GB1.0万円

 旧世代のEC2インスタンスを利用しているユーザーは現行世代への移行・見直しを実施するほうがよいだろう。