米Googleの書籍全文検索サービス「Google Books」を巡る著作権侵害訴訟の審理が、米ニューヨーク南地区連邦地方裁判所で現地時間2013年9月23日に開かれ、Googleはフェアユースの適用を主張したと、米英メディアが報じた。
Google Booksは、公共図書館や大学図書館の蔵書をデジタル化し、インターネットで検索・閲覧可能にしたサービス。米国作家協会Authors Guildや出版業界は2005年に、Google Books(当時の名称は「Google Book Search」)が著作権侵害に当たるとして、Googleを提訴した。2008年10月にGoogleが一定の金額を払うことなどを条件に和解したが、2011年に地裁が和解案を認めない判断を下し(関連記事:Google Booksめぐる集団訴訟、連邦地裁が修正和解案を認めず)、現在も係争が続いている。
Googleの主張は、著作権物が評論、ニュースレポート、授業、研究などに引用される場合フェアユースが認められているのと同様に、Google Booksがスキャンした書籍の一部のみを閲覧可能にしていることも、フェアユースの範囲にあるというもの。また、書籍を検索した人々が書籍を購入することもあり、Google Booksは売り上げに貢献していると述べている。
英Reutersによると、Denny Chin判事は「フェアユースであるかどうかは、当該サービスが社会の利益になっているかどうかによる」と発言。自身のもとで働いている事務員も利用していることなどを含めて、Google Booksが人々の情報検索に役立っている事例をいくつか挙げたという。
これに対し原告側の弁護士は、「社会に恩恵をもたらしているかもしれないが、作品が表示されるかされないかは、著作権保持者の意思に委ねられるべきだ」と述べ、「書籍のコピー自体が法律違反であり、著作権保持者には少なくとも損害賠償が支払われなければならない」と主張した。
Chin判事は2010年に第2巡回控訴裁判所の判事になったが、Google Booksを巡る本件については地裁で担当を続けている。同判事が正式な判断を下す時期についてはまだ決まっていない。
Chin判事は、今回の審理で一部Googleの主張に理解を示したと見られるが、同判事がGoogleにフェアユースを適用することはないだろうとする法律専門家の意見を米Businessweekは伝えている。この専門家は、「この裁判では、フェアユースという言葉が、間違って使われている。なぜなら、Googleは純粋に商業的動機でGoogle Booksを行っているのだから」と、Googleが同サービスから広告収入を得ていることを指摘している。
なお、Googleが著作権法違反と判断された場合、同社には30億ドル以上の損害賠償が命じられる可能性があり、Googleは年間最大4000万ドルを投じてきた同サービスを中止することになる。