記事の企画を立てるとき,取材を始めるとき,取材した内容の意味が分からないとき,その内容の妥当性を確認したいとき,取材メモや取材先から頂戴した資料と併せて,公開情報が欠かせない。その公開情報の集め方が,ここ数年でガラリと変わった。
以前は,特に大型の企画を進めるときはまず社内のライブラリにこもって雑誌や書籍,レポート類をあさり,参考にしたいページをコピーしていた。必要に応じて,書店で関連しそうな書籍をまとめ買いした。
今は,それらに加えてネットがある。社内イントラネットには記事検索DBが整備されているし,Googleで検索すれば机上でかなりの情報を集められる。私のような紙媒体の編集記者にとって,ネット情報は商売上の競合相手であると同時に,重要な情報源でもある。
例えば,話題の「SOX法対策ツール」に関する記事を「日経SYSTEMS」7月号(6月26日発売)で掲載するが,製品ベンダーのサイトのほか,メディアによるニュース・サイト,監査法人による解説などのURLをブックマークした。SOX法対策はそれ自体が新しい概念である。おまけに対策ツールは多種多様で,それぞれの製品の位置付けが分かりにくかった。SOX法対策プロジェクトの仕事の内容をイメージし,記事のスコープを設定するのにこうしたブックマークが役に立った。
私のブラウザには,このようにテーマ別に整理したブックマークがいくつもある。同じ編集部の先輩や同僚に「お勧めのブックマークを一つずつ紹介してくれないか」と頼んでみたら,こんな感じになった。
法令データ 提供システム |
日本のすべての法律のすべての条文が読める。用語からの検索もできる。一部の法律の条文が読めるサイトはあるが,すべての法律を網羅しているのはここだけだと思う (平田) |
Security NEXT | IT保険ドットコムから独立してパワーアップ。情報セキュリティに関する事件/製品ニュースが一覧できる。「情報漏えい」「システム障害」などのアーカイブスとしても利用価値が高い (森山) |
arclamp (アークランプ) |
技術の本質を理解する際,その技術をほかの方がどのように解釈しているか知りたい。自分の理解の助けになるからだ。そういう点で,このブログは参考になる (松山) |
ACTIVE WIN | Windowsに関するニュースが集まる投稿サイト。サイト利用者がネット上にあるWindowsのニュースを投稿して,一覧できるようにしている。英語 (干場) |
ザ・プロジェクト マネージャーズ |
第一線で活躍する現役プロマネがたくさん登場しており,彼らの生の声を読める。特に「プロマネへの道」というコーナーでは成長の軌跡や転機が当人の言葉で語られており,読み物としても面白い (尾崎) |
CNET Japan 「ブログ」 |
IT業界の各分野で第一線の著者が,主張や感じたことを思うままストレートに書いており,面白く読める。トラックバックを使って読者からの意見に答えている点も,ブログの新しいメディアとしての可能性が感じられ,興味を引かれる (中山) |
JavaNews.jp | 完全ではないが,Java関連の最新のニュースや記事を一望できる。リンク集として便利 (実森) |
ナビパラ.コム | 中堅中小企業向けのお得な情報が満載。メーカーのヒモ付きであるが,メーカーに関係ない情報が多い点が○ (菅井) |
セルフチェック テスト |
タイム・マネジメント,コミュニケーション・スキル,マネジメント力といったテーマごとに,さまざまなビジネス・スキルのテストが用意されている。自分の強み/弱みがテストから分かる (西村) |
スラッシュドット ジャパン |
日々起こる様々なニュースを独特の視点で描いた記事が面白い。単にニュースを伝えるだけでなく,それをどう読み取るかという分析の視点に好感が持てる。取り上げる記事は,技術者として特に興味があるものだけに絞っているため,情報洪水に陥ることもない。各ニュースには読者がコメントできるため,記事に対する世間一般の認識も把握できる (池上) |
IT用語辞典 e-Words |
名前は聞いたことがあるが,詳しく知らないIT用語を簡単に調べることができる。アクセス・ランキングで流行も分かる (松浦) |
メルクマニュアル医学百科最新家庭版 | 家庭向け医学書のオンライン版。器官・症状などから病名や治療法を検索できる。精神的な病気も網羅している。体調に不安を感じたらどうぞ (力竹) |
こうして並べてみると,各人の興味の対象の一端が見られて興味深い。もし「日経SYSTEMS」の読者であれば,お手元にある署名記事と見比べてみるといいかもしれない。
ITエンジニアの皆さんは,どんなサイトをブックマークしているだろうか。IT業界はネットの情報と仕事が直結しているケースが多いので,我々以上にネット情報を駆使しておられるのではないだろうか。
そこでお願いなのだが,これはと思うURLを下記のフォームからお送りいただけないだろうか。その結果は,ITproや「日経SYSTEMS」8月号で紹介したい。必ずしも検索サイトの上位にくるサイトだけに価値があるとは限らない。一線のITエンジニアがどんなサイトを参考にしているかをお互いに知るのは,価値があると思う(ご回答いただける場合,*は必須入力項目となります)。