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犬鷲型ミサイル艇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
犬鷲型ミサイル艇
基本情報
艦種 ミサイル艇(PKG)
命名基準 戦死者、朝鮮戦争時の将軍や戦功者
建造所 韓進重工業
STX造船海洋
運用者  大韓民国海軍
建造期間 2005年 - 2018年
就役期間 2008年 - 現役
建造数 22隻
前級 大鷲型 (哨戒艇)
要目
基準排水量 440 t
満載排水量 570 t
全長 63 m
最大幅 9 m
吃水 3 m
機関方式 CODAG方式
主機
推進器 ウォータージェット推進器×3軸
最大速力 44 kt
乗員 40人前後
兵装
C4ISTAR
  • CEROS 200 FCS
  • サムスン・タレス FLIR/EOTS
  • レーダー
  • LIG Nex1 SPS-540K 3次元式×1基
  • STX RadarSys SPS-100K 水上捜索用×1基
  • 電子戦
    対抗手段
  • LIG Nex1 SLQ-200(V)K Sonata ECM装置
  • KDAGAIE MK2 チャフ/フレア発射機
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    犬鷲型ミサイル艇(コムドクスリかたミサイルてい、: Gumdoksuri class patrol vessel: 검독수리급 고속정)は、大韓民国海軍ミサイル艇の艦級。1番艇をネームシップとして尹永夏級(ユン・ヨンハ、: 윤영하급)と称されることもある。

    概要

    [編集]

    犬鷲型は、大鷲型の後継となる沿海哨戒用のミサイル艇である。計画では、高度な戦闘システムと対艦ミサイルと砲熕兵器が連接されたことにより、浦項級コルベットの任務の一部を代替することも可能になり、北朝鮮と武力衝突が繰り返されている北方限界線近くの西海五島付近の海域に仁川級フリゲートと共に投入される予定である。当初は24隻を建造する計画であり、これに10隻追加建造する構想もあったが[1]、最終的に当初の計画から6隻減じた18隻を建造する計画となった[2]。1隻あたりの建造費は850億ウォンである[2]

    1番艇は第2延坪海戦で戦死したチャムスリ級357番艇の尹永夏艇長から名付けられ、初代艇長には第1延坪海戦で活躍したアン・ジヨン少領が任命された[3]

    本級の初期型に関しては様々な欠陥が報道されていた。1番艇は就役前に、ウォータージェットエンジンから潤滑油が漏れる、ディーゼルエンジンのエアタンクから空気が漏れる、航海レーダーが消える等の理由で61件の改修を行い、さらに就役後2カ月間だけでも、ウォータージェットエンジンのタービン翼と冷却装置が腐食する、ディーゼルエンジンから潤滑油と燃料油が漏れる、磁気羅針盤に20度以上の誤差が出る、艦内通信システムの交信が不可能などの理由で95件の改修を余儀なくされた。その後もレーダーとエンジンに再び欠陥が発見されたことから改修の必要が生じ、大青海戦中も改修中で参戦できなかった[4]。これらの問題が完全に解決されていないため、1番艇は就役後も極めて運用が低調である。2番艇以降は外国製のウォータージェット推進装置に変えて新たに韓国の斗山が独自開発した推進装置を装備するが、これが原因で、高速走行時に直進できなかったり、推進軸のベアリングの問題により速度が急に落ちる等の新たな欠陥が発生し、戦力化が当初の2010年9月末から2012年8月以降に遅延していた[5]

    2014年現在、以上の問題は解決され[6]、同年4月1日には15番艇が就役しているが[7]、2015年には新たに現代WIA製76mm速射砲の欠陥が提起されている(#事件・事故)。

    尚、置き換え前の大鷲型の倍以上の排水量になってしまった為、より小型のPKX-Bを建造し、役割を分担している。[8]

    同型艇

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    末尾が4と0のPKG-714、PKG-720、PKG-724、PKG-730及びPKG-731は欠番。PKG-711~PKG-717は第2延坪海戦の戦死者、PKG-718~PKG-728とPKG-732は朝鮮戦争時の将軍や戦功者の名前、PKG-729とPKG-733はベトナム戦争での戦功者の名前である。

    番号 艦名 建造 進水 就役
    PKG-711 尹永夏
    (ユン・ヨンハ)
    韓進重工業 2007年
    7月6日
    2008年
    12月17日
    PKG-712 韓相国
    (ハン・サングク)
    STX造船海洋 2009年
    9月23日
    2011年
    9月14日
    PKG-713 趙天衡
    (チョ・チョニョン)
    PKG-715 黄道顯
    (ファン・ドヒョン)
    2009年
    12月11日
    2012年
    1月13日
    PKG-716 徐厚源
    (ソ・フウォン)
    2011年
    11月28日
    PKG-717 朴東赫
    (パク・ドンヒョク)
    韓進重工業 2010年
    7月28日
    PKG-718 玄時学
    (ヒョン・シハク)
    PKG-719 鄭兢謨
    (ジョン・グンモ)
    2010年
    11月2日
    2011年
    12月19日
    PKG-721 池徳七
    (チ・ドクチル)
    2011年
    12月23日
    PKG-722 林炳来
    (イム・ビョンネ)
    STX造船海洋 2012年
    11月20日
    2013年
    9月3日
    PKG-723 洪時旭
    (ホン・シウク)
    2013年
    10月10日
    PKG-725 洪大善
    (ホン・デソン)
    2013年
    11月4日
    PKG-726 韓文植
    (ハン・ムンシク)
    韓進重工業 2013年
    4月24日
    2014年
    1月28日
    PKG-727 金昌学
    (キム・チャンハク)
    2014年
    3月4日
    PKG-728 朴東鎭
    (パク・トンジン)
    2014年
    4月1日
    PKG-729 金寿鉉
    (キム・スヒョン)
    STX造船海洋 2014年
    4月30日
    2014年
    9月30日
    PKG-733 李秉哲
    (イ・ビョンチョル)
    2014年
    11月28日
    PKG-732 全炳翼
    (ジョン・ビョンイク)
    2016年
    6月24日
    2018年
    1月11日

    事件・事故

    [編集]
    • 2013年11月25日未明、韓国慶尚南道昌原市鎮海区STX造船海洋造船所岸壁で艤装中の本艇1隻が、波浪により水没する事故が発生した。死傷者はなかったが[9]水没艇は修復不可能となったため放棄し、2015年1月末から新たに新造することになった。STX側は天災による事故を理由に納期延長を申請したが、軍側はこれを認めず遅滞賠償金の支払いを求めて紛糾している[10]
    • 2014年、韓国軍全体の納入品偽装問題が明らかになる過程で、犬鷲型の「尹永夏」も本来フランス製であるべき電子機器冷却ファンなどが、台湾製にすり替えられていた事実が発覚している[11]
    • 2015年1月22日、「PKG-715黄道顯」で76mm速射砲の暴発事故が発生、一等兵が頭部に重傷を負い、同年7月17日に死亡した[12]。本級の現代WIA製76mm速射砲は、退役艦に装備されていたオート・メラーラ製の76mm速射砲に対して韓国が独自に改良を施して転用したものであり[13]、オート・メラーラは特許侵害により営業損害を受けたとして訴訟を起こしたが、大法院に退けられていた[14]。2014年10月に北方限界線を侵犯した北朝鮮艦艇に警告射撃を行った際に、「PKG-713趙天衡」の現代WIA製76mm速射砲が突然作動を停止したことは判明していたが、この事故を受けて、北方限界線での不発事案発生直後に2度行われた発射試験でも不発弾が発生していたことを韓国海軍が隠蔽していたことが判明した。またこれらに先立つ2014年4月にも、「PKG-716徐厚源」の現代WIA製76mm速射砲が異常動作していたことが判明した[15]。これら5件の事案により、現代WIA社が行った76mm速射砲事業に根本的に欠陥があった疑いが提起されている[16]

    出典

    [編集]
    1. ^ 軍“서해 방어 유도탄고속함 10대 더 도입”、東亜日報 2011年7月13日
    2. ^ a b “차기고속정 30여척 건조“、naeil.com 2011年8月31日
    3. ^ Navy launches high-speed patrol boat”. JoongAng Daily (2007年6月29日). 2016年6月7日閲覧。
    4. ^ "걸핏하면.." 최신예 고속함 '하자투성이'、SBSニュース 2009年11月13日
    5. ^ "欠陥だらけ"高速艦‥西海戦力化、また遅延、MBCニュース 2011年8月28日
    6. ^ 열 번째 유도탄고속함 ´임병래함´ 해군에 인도
    7. ^ 해군 15번째 유도탄 고속함 '박동진함' 취역、連合ニュース 2014年04月1日
    8. ^ 韓国軍 ミサイル艇20隻建造へ=最前線での機動力向上 聯合ニュース 2016年3月21日
    9. ^ “強風により建造中の海軍高速艇1隻沈没”. 聯合ニュース. (2013年11月25日). http://www.yonhapnews.co.kr/local/2013/11/25/0812000000AKR20131125125800052.HTML 
    10. ^ “‘건조중 침수’ 유도탄고속함 대체 함정 건조” (朝鮮語). 世界日報. (2015年1月24日). http://www.segye.com/content/html/2015/01/23/20150123003571.html 
    11. ^ “韓国原発、「欠陥・事故」続出の恐ろしき実態…偽造部品納入は当たり前、放射能漏れ数値は18倍増に修正”. 産経新聞社. (2015年1月2日). https://www.sankei.com/article/20150102-YHRGIB2WI5JJLAB3J2SFJYQ43A/ 2015年1月2日閲覧。 
    12. ^ “韓国海軍の高速艦が故障で誤射、水兵の頭に直撃し死亡=韓国ネット「就役から3年もたってないのに…」「海軍のほぼすべての事業に不正が絡んでいる」”. record china. (2015年7月28日). https://www.recordchina.co.jp/b115003-s0-c30-d0052.html 
    13. ^ “함정 ‘함포 오작동’ 포탄 발사 사고…병사 1명 중상” (朝鮮語). KBS. (2015年1月22日). http://news.kbs.co.kr/news/NewsView.do?SEARCH_NEWS_CODE=3006868 
    14. ^ “西海英雄達が先端高速艇となって西海を守る”. 朝鮮日報. (2009年9月24日) 
    15. ^ “76㎜ 함포에서 오작동 불발탄…책임 주체는 불분명” (朝鮮語). KBS. (2015年2月19日). http://news.kbs.co.kr/news/NewsView.do?SEARCH_NEWS_CODE=3022957 
    16. ^ “76mm 함포, 시험 사격서도 이상..해군 '쉬쉬'” (朝鮮語). KBS (daum). (2015年2月12日). http://media.daum.net/politics/others/newsview?newsid=20150212213208062&RIGHT_REPLY=R8 

    関連項目

    [編集]
    同時期に建造された、諸外国のミサイル艇

    外部リンク

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