最高裁判決の4大争点
個人請求権は消滅したか
慰謝料の請求権には協定適用されず
「請求権行使できない」という反対意見も
消滅時効は過ぎたか
2005年までは権利行使困難
日本の時効完成の主張は権利乱用
日本の判決には国内効力がない
日本は植民地支配を合法と判断
大韓民国憲法と正面から衝突
新日本製鉄に責任を問えるか
昔の日本製鉄をそのまま承継
損害賠償責任も承継すべき
日帝強制徴用の損害賠償請求訴訟の結論は変わっていない。2012年に最高裁判事4人が参加した最高裁(大法院)小部の判決と2018年の最高裁判事13人が全員参加した全員合議体の判決は、主要争点においてほとんど同じ判断を下した。
■韓日請求権協定で個人請求権が消滅したか
核心争点である「韓日請求権協定の適用対象に個人請求権が含まれるか」について、最高裁は2012年、「個人の損害賠償請求権は消滅していない」と判断した。
30日に下された全員合議体の判決でも、最高裁判事の多数意見(7人)は2012年の判決に同意した。多数意見は、まず被害者の損害賠償請求権が「未払い賃金や補償金を要求するものではなく、日本政府の違法な植民支配および侵略戦争の遂行と直結した日本軍需会社の『反人道的不法行為』に対する『慰謝料請求権』」だと判断した。幼いときに日本に連れて行かれ、賃金も受け取れず、監禁状態で強制労働と暴力に苦しんだ徴用被害者の「精神的苦痛」に対する慰謝料ということだ。
さらに、1952年の韓日会談以来1965年の韓日請求権協定の時まで、日本の植民地支配の違法性に言及する内容がない点▽1965年に政府が発刊した「韓日会談白書」にも「韓日間の請求権問題には『損害および苦痛』に対する賠償請求が含まれない」と明示した点▽交渉当時、日本が強制動員被害に対する法的賠償を否定した点▽韓国政府の要求額(12億2000万ドル)よりかなり低い3億ドルに強制徴用慰謝料が含まれているとは考えにくいことなどを理由に挙げた。
多数意見は、1961年の第5次韓日会談予備会談で、韓国政府が「被徴用者らの精神的・肉体的苦痛に対する補償」について言及したとし、日本企業が追加提出した証拠も認めなかった。当該発言は「公式見解ではなく、交渉担当者が交渉で有利な地位を占めるための発言にすぎず」、実際、第5次交渉が日本の反発で妥結されなかったということだ。
これに対し、クォン・スンイル、チョ・ジェヨン最高裁判事は「請求権協定文の『完全かつ最終的な解決』という文言は、これ以上請求権を行使できないという意味だ」とし、「請求権協定が憲法や国際法に反しないなら、その内容如何に関係なく、従うべきだ」として、反対意見を提示した。二人の最高裁判事は、その代わり「大韓民国は、被害を受けた国民に訴訟提起の有無と関係なく正当な補償が行われるようにする責務がある」と述べた。
イ・ギテク最高裁判事は多数意見のような結論を下しながらも、「2012年5月の最高裁の判決の羈束力(下級審に及ぼす影響)により、今回も同じ判決を下さなければならない」という別の意見を出した。キム・ソヨン、イ・ドンウォン、ノ・ジョンヒ裁判官は多数意見とは異なり、請求権協定には個人の損害賠償請求権も含まれていると判断しながらも、「請求権協定で日本に対する韓国国民の賠償請求権を韓国政府が『外交的に保護する手段』を失ったことに過ぎない」として、個人請求権は依然として有効という別の意見を提示した。
■被害者たちの請求権消滅時効はもう過ぎたか
最高裁全員合議体は「訴訟が起こされた2005年2月当時まで、権利を行使できない障害事由が客観的にあったと言える」とし、2012年の最高裁判所と同じ判断を下した。これに先立ち、最高裁は「少なくとも徴用被害者が国内で訴訟を起こした2005年2月まで、客観的に権利を事実上行使できない障害事由があったと見なければならない。日本企業の新日鉄住が消滅時効の完成を主張することは、権利乱用で認められない」と判断した。2005年1月になってようやく国内で請求権協定に関する文書が公開され、同年8月に韓日会談文書公開の後続対策官民共同委員会が「人道に反する違法行為については請求権協定で解決されたとは言えない」と明らかにした点などが根拠として提示された。
■日本の裁判所の確定判決の国内効力
徴用被害者であるヨ・ウンテク氏とシン・チョンス氏は1997年、日本の裁判所に損害賠償金および賃金支給訴訟を起こしたが、2003年に日本の最高裁敗訴が確定した。この判決を受け、国内で同様の訴訟を起こすことが不可能かについて、2012年に最高裁は「そうではない」と判断した。当時、最高裁は「日本の判決は日本の植民地支配が合法だという前提のもと、日帝強占期(日本の植民地時代)当時の国家総動員法や国民徴用令などの法令が有効だと判断した。これは日帝強占期の強制動員自体を不法と見る大韓民国憲法の核心的価値と真っ向から衝突する」とし、(日本の裁判所の判決の)効力を認められないと明らかにした。最高裁の全員合議体も同じ意見だった。
■日帝戦犯企業の責任を今の日本企業に問うことができるか
2012年、最高裁は「現在の新日本製鉄(合併後には新日鉄住金)がヨ氏らを強制動員した旧日本製鉄をそのまま承継したと見るのが正しい」として、賠償責任を認めた。当時最高裁は「新日本製鉄は旧日本製鉄の営業財産や役員、従業員を実質的に承継し、会社の人的・物的構成に基本的な変化がなかった」という理由を挙げた。最高裁の全員合議体でも意見の相違はなかった。