トランプ大統領、フリン氏巡る捜査中止をFBIに要請=関係筋
[ワシントン 16日 ロイター] - トランプ大統領が、解任したコミ―前連邦捜査局(FBI)長官の在任中に、同氏に対し、フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)とロシアの関係を巡る捜査を打ち切るよう求めていたことが明らかになった。コミー氏に近いある関係筋が16日にロイターに語った。
この関係筋は、2月14日にフリン氏が辞任した翌日にコミー氏がホワイトハウスでトランプ大統領と面会した直後に書いたメモを見たとしており、ロイターに対し、ニューヨ-ク・タイムズ(NYT)紙が最初に報じたメモの詳細は正しいと語った。
メモによると、大統領はコミー氏に「この件については何もしないでほしい」と述べたとされ、この関係筋もメモの内容を確認した。
フリン氏は、ロシアのキスリャク駐米大使との接触について、ペンス副大統領に虚偽の内容を報告したとして、事実上解任された。
ホワイトハウスは「大統領とコミー氏の会話を正確に伝えていない」としてNYTの報道を否定している。FBIの報道官はメモの詳細についてコメントを控えた。
NYTによると、大統領執務室でコミー氏と面会した際、トランプ氏は、リーク情報がメディアに流れているとして非難し、FBIは機密情報を報じた記者の訴追を検討すべきたと述べたという。
今回のメモは、先週のコミ―長官の電撃解任、また15日に明らかとなったトランプ大統領によるロシア外相への機密情報漏えいに続くもので、議会には大きな衝撃が走っている。
「今回のメモは司法妨害の強力な証拠であり、すぐさま特別検察官による捜査を開始すべきだ」と、リチャード・ブルメンタル上院議員(民主党)は語った。
共和党議員からもメモの現物を見たいという声が上がっている。下院監視・政府改革委員会のジェイソン・チャフェッツ委員長(共和党)は、「コミーメモが存在するなら委員会で入手する。早期に確認する必要がある。(提出求める)召喚状を書く準備はできている」と述べた。
チャフェッツ委員長は、FBIのマケイブ長官代行に書簡を送り、24日を期限に、「コミー氏と大統領が交わしたコミュニケーションに関するすべてのメモやノート、要旨や録音」を提出するよう要請した。
ポール・ライアン下院議長(共和党)は、「われわれはすべての事実を知る必要があり、監視・政府改革委員会の要請は適切だ」とのコメントを出し、同委員長を支持した。
法律専門家からも、メモに書かれたトランプ大統領発言を問題視する指摘が相次いだ。
「大統領がFBIに犯罪の可能性のある捜査の終結を求めたとすれば、司法妨害になる」とカリフォルニア大学アーバイン校法科大学院のアーウィン・チェメリンスキー教授(憲法)は指摘。「それはニクソン大統領を辞任に追い込んだものだ」
トランプ大統領の発言意図が、司法妨害が成立するための重要要素になるとの指摘もある。
大統領が、直接的に捜査終結を命令したのではなく、捜査を終結を「希望する(hope)」との表現を使ったとされることについて、「ケースとしては弱くなるが、(司法妨害として)成立可能だ」と、バンダービルト大学法科大学院のクリストファー・スローボジン教授(刑法)は指摘する。
トランプ氏の政治団体と共和党全国委員会は、今回の報道を受けて支持者にメールを送り、「メディアがわれわれを倒そうとしているのはご存じの通りだ。悲しいことに、偽ニュースだけではなく、選挙で選ばれていない官僚機構の中にも、トランプ大統領とアメリカ・ファースト運動をサボタージュしようとしている連中がいる」と訴えた。
*内容を追加しました。
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