欧米の制裁、2017年末まで続くと想定=ロシア中銀

General view of the Russian Central Bank in Moscow
 11月10日、ロシア中銀は2015年の経済成長率がゼロ%になるとの予測を示した。2016年の予測は0.1%のプラス成長。写真は2008年12月、モスクワのロシア中銀(2014年 ロイター /Sergei Karpukhin)
[モスクワ 10日 ロイター] - ロシア中銀は10日、ウクライナ情勢をめぐる欧米の対ロシア制裁が2017年末まで続くとの見通しを示すとともに、2014─16年の経済成長率見通しをゼロ%近辺に引き下げた。金融政策の戦略をまとめた年次文書で明らかにした。
基本シナリオとして、2014年の成長率が0.3%、2015年がゼロ%、2016年が0.1%のプラス成長になると予測。2017年は1.6%まで回復すると見込んでいる。原油価格が来年、1バレル=95ドルに回復し、その後再び低下するとの前提を基にしている。
また、2014年の純資本流出額見通しを1280億ドルに、2015年は990億ドルに、それぞれ引き上げた。
スタンダード・バンクのアナリスト、ティム・アッシュ氏は顧客向けノートで、「原油価格が95(ドル)というのは楽観的かもしれないが、2017年まで制裁が続くという想定は非常に現実的で、ロシアが長期的視点で計画を立てていることを示唆している」と指摘した。
中銀は基本シナリオとして、ロシアのウラル原油が、2015年には平均95ドルに回復するが、17年末までには90ドルに下落すると想定。
中銀は基本シナリオ以外の見通しも公表。2015年第3・四半期に制裁が解除されるという想定では、原油価格95ドルを前提に、同年の経済成長率が0.3%になると予想。原油価格が105ドルに回復した場合は0.6%の成長率を見込んでいる。
原油価格が2015年末までに60ドルに落ち込むという最も悲観的なシナリオでは、経済が2015年に3.5─4%のマイナス成長に陥ると予測した。
中銀は、「ここ数年のロシア経済の傾向として、既存の構造的制約が素早く解消されないことが示されており、各シナリオの想定ではこれを考慮に入れた」と説明。「このため、外部要因で好条件がそろったとしても、控えめな経済成長率を予想している」とした。
(内容を追加しました)

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