欧州委員長、EU長期予算での途上国支援削減に反対表明
[ブリュッセル 21日 ロイター] 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のバローゾ委員長は21日、欧州議会で演説し、EUは途上国支援予算を削減すべきではないとの考えを示した。
ファンロンパイEU大統領が先週提示した2014─2020年のEU予算案では、支援プロジェクトの96億ユーロ(123億ドル)の削減と欧州開発基金(EDF)の11%削減が盛り込まれている。EDFは欧州の元植民地を中心に、アフリカ、カリブ海、太平洋の低所得国への支援に使われる資金。
バローゾ委員長は「EDFと人道支援予算が千分の数%少ないことが、世界で最も弱い人々にとって生死にかかわる問題となる」と述べた。
ただ、EUの支援予算削減に強く反対を唱えるのはバローゾ委員長だけにとどまる可能性がある。
EU当局者はロイターに対し「支援予算を本気で取り上げる人はいない」と語り、バローゾ委員長は支援予算の維持を個人的に重視していると指摘した。途上国支援はEUが世界の離れた地域に「ソフトパワー」を行使するための主要ツールの一つだ。
デンマークやフランスなど支援賛成派の国も今回の予算削減には沈黙したままで、EU外交官らは予算交渉の終盤にあたる現段階で支援予算がすべて維持される可能性は低いとみている。
海外開発研究所(ODI)は先週出した報告書で、EUの支援はEU加盟国自身に経済的恩恵をもたらしており、EUの納税者は20%の投資利益を得ていると指摘した。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」