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次のシリコンバレーは、シンガポールか? アジア有数の投資額、日本のVCも注目

 シリコンバレーはGoogle、マイクロソフト、アップル、Facebookなどの大企業に独占され、海外に拠点を探す新興企業はシンガポールに注目している。アジア・ベンチャーキャピタル・ジャーナル(AVCJ)によると、2013年のシンガポールのハイテク企業に対するベンチャーキャピタル(VC)資金は17億ドル(約1736億円)に達し、日本、韓国、香港を超えた。また、ワシントン州立大学ビジネスカレッジによる調査で、「起業するのに最適な5ヶ所」に選ばれている(他4つは、香港、カナダ、アメリカ、オーストラリア)。

【シンガポール政府の取り組み】
『IEET』によると、シンガポール政府は、起業家、投資家を積極的に自国に集める政策だ。承認された新興企業に対して、政府が最大で85%、または50万ドル(約5150万円)まで共同出資する。残りの資金は、14社のテクノロジーインキュベイトから出資される仕組みだ。

 またシンガポール政府は助成金ばかりでなく、クラスタリングを通した協力体制を発展させ、新興企業セクターの活性化を図るという。『IEET』は、新興企業活動の拠点となっているアラヤジャ地域の“Blk71”、サマセットの“The HUB”といったビルを取り上げている。“Bkl71”は100以上の新興企業の拠点となっている。

 Hybrid Reality Instituteの共同取締役Ayesha Khanna氏は、「助成金だけではなく、クラスタリングがとても重要。人が集まってアイディアやメンタリングを交換できる。専門技術学校の卒業生が集まってプログラムを開発する場にもなっている」、と評価する。「多種多様な新興企業が集まる場での交流、多様な意見の交換」から、改革が生まれることは証明されている、とも語っている(IEET)。

 また1年前にニューヨークからシンガポールに移住した夫婦は、シンガポールでは頭脳流入が著しいと指摘する。「シンガポール人ばかりでなく、ここで育った子どもが起業するために戻ってきている。規則の枠組みと、精神的・経済的サポートが充実しており、起業の環境が整っていると考えている」。YouTube、Yahoo、MSN、Facebookなどの大企業も進出し始め、新興企業育成の基盤が確立されつつある、と『IEET』は報じた。

【投資家にも魅力的】
『Tech in Asia』は、東京に拠点を置くVC、インキュベイトファンドを取り上げた。共同設立者で代表パートナーの本間真彦氏が、シンガポールを活動の拠点にしていることを報じている。インキュベイトファンドは、主にモバイル、ゲーム、インターネットメディア関連の新興企業を対象にした、日本最大の新参投資グループのひとつ。本間氏の実績としては、2012年にGREEが1億7380万米ドル(約177億円)で獲得した『ポケラボ』、最近シリコンバレーのVCであるWorld Innovation Labによる4900万米ドル(約50億円)の資金調達を確保したgumiなどがあげられる。

【国外に目を向ける日本の投資家】
 ウォールストリートジャーナル紙(WSJ)は、新興企業Hotel Quickly、Tomas Laboutka CEOのインタビューを報じている。ホテル直前予約を手掛けるHotel Quicklyは、日本起業から多数の投資オファーを受け、今月初めGREEから450万ドル(約4億5千万円)の投資を受けることを決定した。これに伴いGREEは先月、ホテル当日予約アプリ「Tonight」を公開した。

「日本の投資家はどんどん国外、特に東南アジアと北アジアに目を向け始めている」と、Laboutka CEOはインタビューに答えた。国外への進出を狙う企業は、NTTから国内トップのインターネット複合企業であるソフトバンクや楽天まで幅広い。

 WSJによると、ソフトバンクは早い時点で中国のeコマース最大手アリババ・グループに投資することによって、東南アジア、韓国、インド、アメリカでの投資を強化してきた。またオンラインショップの楽天は、1年前に設定した1千万ドル(約10億円)とは別に新たに1億ドル(約102億円)の立ち上げ資金を設定している。

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Text by NewSphere 編集部