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1.生命の地上進出と当時の環境
大気中に増え、成層圏まで達した酸素によって5億年前にオゾン層が形成されました。生命に有害な紫外線は防がれるようになり、生命が地上で生き延びられる環境が整ってきます。先に陸上にあがったのは植物でした。脊椎動物が陸上に進化するのはもうすこし後になります。
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活発なプレートの活動によって大陸同士はぶつかり合い何度も成長・分裂を繰り返していました。
約4億年前にも2つの大陸がぶつかり大きな山脈が出来ました。そこにはヒマラヤ級の山脈ができ、そこで降った雨は大きな河川を作り、海以外の新たな生育環境をつくりだしました。 |
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2.植物の地上への進出
陸の上は、海に比べ、植物にとってもより生育には厳しい環境でした。海の中では単純な構造で海の上を漂っていれば生きていることが出来ました。陸上ではそうはいきません。重力に耐えられるだけの強靱さと、水分を吸収し輸送する仕組み、etcが必要です。植物は自分の体の構造を適応させながら、河川沿いに陸地に進入していきます。
この頃にはいくつかの藻類が現れていました。それぞれが持つ色素の色によって緑藻類、褐藻類、紅藻類、・・などいくつかの種に分かれます。色素の色の違いは光合成で活用する光の種類の違いです。
緑藻類が持つ色素(クロロフィル)は広い波長の範囲の光を利用することができるため、水面近くで生活します。紅藻類の持つ色素(フィコビリン)は水面近くで吸収された残りの波長の光を使って光合成を行うため、緑藻類よりも水深の深いところで生活をします。
従って、陸上へ進出する植物は緑色の色素を持つ緑藻類から現れることになりました。現在の森が緑色をしているのは、緑藻類から陸上植物の祖先が現れたことの結果です。
紅藻類から地上進出が行われていたとしたら、もしかしたら、現在の森林は赤い色をしていたかも知れません。
約5億年前頃からコケ植物、続いてシダ植物が水際に沿って陸上に進出します。
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4億5千万年前頃に誕生したシダ植物では、葉・茎・根のしくみがしっかりし、土の上でも暮らせるようになりました。
しかし水分運搬の仕組みはまだ不完全であり、しかも繁殖においては水に依存する部分があったので、まだ水の豊富なところでしか生活できず、内陸に進出することは出来ませんでした。
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それでも、それまで岩石に覆われたただの荒れ地だった地上は少しずつ緑で覆われていくことになります。実に地球誕生から40億年ほどは、陸地というと地面がむきだしになった荒れ地しかなかったのです。
3億5千万年前頃には、地球最初の森が誕生したと言われています。シダ植物は繁栄し、その堆積物は石炭として現在に残っています。
3.昆虫類の地上への進出
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植物の上陸に続き、約4億年前頃から昆虫類も地上に進出します。
昆虫類は脊椎動物よりも約4000万年早く陸上に進出することが出来ました。 |
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小さな体と発達した外骨格が陸上での生活に早く適応することを可能にしたようです。
彼らの呼吸方法も、陸上に進出する上でほぼそのまま用いることができました。昆虫類の体の側面には、気門という穴が開いています。そこからは気管が体中に張り巡らされ、体中の組織に直接酸素を届けています。
水の中にいる間は、酸素を含んだ水を気門から取り入れることで呼吸をしていました。陸上に出ても、水を取り込むか、空気をそのまま取り込むかの違いがあるだけでその仕組みは、ほぼそのまま用いることができました。
脊椎動物では空気中の酸素を取り込むための仕組みをいちから作り上げないといけませんでした。ただ、その「体の組織に直接酸素を送り届ける」という仕組みは、「体に酸素が供給できる大きさまでしか巨大化できない」という制約にもなります。
現在では、昆虫は比較的小さな体をしていますが、過去の酸素濃度が高い環境においては、今よりも巨大な姿をしていた時代もありました。
現在でも昆虫類は地球上で繁栄を極めており、500万種以上の種類があると言われています(ほぼ毎日新種が見つかっているそうです)。ちなみに現在のほ乳類は約4000種だそうです。昆虫はずば抜けた環境への適応力を持っています。
4.魚類の川への進出
脊椎動物では約4億年前に、まず海の生活でオウムガイに圧迫されていた魚が川に進入してきます。
淡水域は浸透圧差のせいで細胞が破裂し、住むにはリスクのある場所です。また海水中と違い、カルシウムなどのミネラルも希薄でした。魚類は淡水域へ進出ための適応と変化を進めていきます。
そして、浸透圧差を克服するために腎臓を身につけ、ミネラルを補給するために脊椎を発達させました。また、雨の降らないときに川が泥地になることもしばしばしばだったため空気から直接酸素を取り込むための肺を作ります。これは後に陸上へ進出するための基礎となりました。
魚類はえらやひれを発達させ運動能力を向上させていきます。淡水中に適応する中で体を変化させた魚は、いつしか運動能力、適応能力において、オウムガイを凌駕するようになっていました。
やがて河川で体を発達させた魚類の一部は海に戻り、海の覇権をオウムガイから奪っていきます。
5.脊椎動物の地上への進出
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水辺に植物が進出すると、倒れて水中に沈んだ木は水中で折り重なりあい、ジャングルのように入り組んだ「水中の森」を形成します。
すると、その環境に適応し、ひれを倒木の中を足で蹴って進むための四肢に作り替えたものが現れました。
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四肢の原型は最初、陸上を歩くためでなく、水中で有利に生きるために発達していったものです。発達した四肢は陸上を這うことにも用いられるようになり(外適応)、皮膚や呼吸のしくみも、徐々に陸上生活により適応したものに作り替えられていきました。
それまでの魚類も、原始的な肺を持ってはいましたが、空気中で呼吸するためにより発達した肺呼吸を行うようになります。現在見られるふつうの魚の祖先も肺を持っていましたが、肺としては使用しなくなり、その名残が浮き袋として残っています。
陸上で肺を進化させた僕達の祖先は、陸上に出るために肺を進化させたのではなく、陸上に進化するに伴い、その適応の結果として、肺が進化していったのです。
脊椎動物で陸上への進出を成し遂げたのは、魚類の一部から新たに出現した両生類の仲間です。
約3億6000万年前に両生類は誕生し、後の爬虫類、鳥類、ほ乳類へ進化する元になっていきます。
陸上への適応は乾燥と重力に対する適応でもあります。両生類はより乾燥に強い皮膚を持ち、四肢で体重を支えることが可能です。内臓を守るために肋骨もしっかりしたものになりました。
しかしまだ乾燥には強くなかったので水辺を離れることは出来ませんでした。現在でも両生類の生態は半水半陸であり、幼体時にはえら呼吸、成体から肺呼吸を行います。卵はからを持たないので水中に産む必要があります。
脊椎動物が完全な陸上進出を果たすのは次の爬虫類からです。
植物・動物が地上に現れることで、それまで荒れ地でしかなかった大地は次第に緑に覆われ、豊かな生態系を作っていくことになります。
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