Location via proxy:   [ UP ]  
[Report a bug]   [Manage cookies]                

「きのこの山」と「たけのこの里」を味覚センサーで分析してみたら、新たな争いの火種を発見した

「きのこ」とか「たけのこ」とかの問題ではない。

» 2014年08月21日 13時16分 公開
[太田智美,ねとらぼ]

 1979年にたけのこの里が登場して以来激しい戦いが続いている、おなじみ「きのこの山」と「たけのこの里」。そろそろ研究室かどこかで本格的な味覚分析をしてみたい。


画像

 そんなわけで、慶應義塾大学理工学部を訪れた。出迎えてくれたのは、慶應義塾大学研究員であり、AISSY代表取締役社長の鈴木隆一氏。世界に1台しかない「レオ」(特許取得済み)という味覚センサーをお借りし、検証に協力してもらった。


画像 鈴木隆一氏と味覚センサー「レオ」

味覚センサー「レオ」

発明の名称:味の測定方法並びにそのための味覚センサー及び味測定装置

特許・特許出願番号:日本国特許第4240003号

ヨーロッパ特許出願 No. 06746686.2

米国特許出願 No. 11/920,924


 この味覚センサー「レオ」は、「甘味・塩味・酸味・苦味・うま味」の5つの基本味のもとになる成分を電気的に測定したあと人工知能によって補正し、人間が感じる味の強さを測るというもの。これにより、主観的な「味」を客観的に見ることができるという。


実験開始

 まずは、きのこの山とたけのこの里をそれぞれビーカーに入れる。


画像
画像

 そこへ、味の物質を取り出すための液(詳細は非公開)をかける。こうすることで、口の中が再現される。


画像
画像 たけのこの里の方が溶けやすい

 それからスポイトで、きのこの山・たけのこの里が溶けた液を吸い取り、機械で実験するための小さな容器に移す。

画像 実験中……
画像 (左)たけのこの里(右)きのこの山

 続いて、味覚センサーにかける。この小さな容器から1マイクロリットル(=1ミリリットルの1000分の1)を取り出し分析する。


画像
実験の様子

 同様に、きのこの山・たけのこの里の「チョコレート部分」と「ビスケット部分」の実験を行う。


画像
画像 (左)きのこの山(右)たけのこの里

実験結果

【前提知識(鈴木氏より)】

  • 甘味と苦味はシーソーのような関係。甘味が増加すると苦味が減少し、苦味が増加すると甘味が減少するように感じる。
  • 旨味と塩味の関係は、どちらか一方が増加するともう一方も増加、どちらか一方が減少するともう一方も減少する。
  • 酸味は他の味覚とのシーソーのような関係。酸味が強くなると他の味覚が減少し、酸味が弱くなると他の味覚が増加する。


画像 単位:レベル(数値の算出方法は非公開)
画像
画像
画像 「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つの基本味をチャート化

「きのこの山」と「たけのこの里」の全体比較

  • 甘味:「きのこの山」の方が、0.37レベル高い
  • 塩味:「たけのこの里」の方が、1.34レベル高い
  • 酸味:差分0
  • 苦味:「きのこの山」の方が0.01レベル高いが、誤差の範囲内(95パーセントの人は、全ての味覚に対して0.2レベル違うと味の違いを感じる)
  • 旨味:「たけのこの里」の方が、0.24レベル高い

「きのこの山(チョコレート部分)」と「たけのこの里(チョコレート部分)」の比較

  • 甘味:「きのこの山」の方が、0.21レベル高い
  • 塩味:「たけのこの里」の方が、1.82レベル高い
  • 酸味:「たけのこの里」の方が0.02レベル高いが、誤差の範囲内
  • 苦味:「きのこの山」の方が0.05レベル高いが、誤差の範囲内
  • 旨味:「たけのこの里」の方が0.27レベル高い

「きのこの山(ビスケット部分)」と「たけのこの里(ビスケット部分)」の比較

  • 甘味:「たけのこの里」の方が、0.26レベル高い
  • 塩味:「たけのこの里」の方が、1.01レベル高い
  • 酸味:「たけのこの里」の方が0.01レベル高いが、誤差の範囲内
  • 苦味:「きのこの山」の方が0.01レベル高いが、誤差の範囲内
  • 旨味:「たけのこの里」の方が0.14レベル高い

結果の分析と考察

 以上のことから、全ての実験において「酸味」と「苦味」は誤差の範囲内であることが分かる。よって、それ以外の味覚「甘味」「塩味」から結果の分析と考察を行う(「旨味」は塩味との相互作用があるため、いったん除外する)。

 「たけのこの里」のビスケットはクッキーのため、「きのこの山」のクラッカーに比べ剥がれやすく、チョコレート部分に付着しやすいことが、前回の調査(記事)から分かっている。「きのこの山」と「たけのこの里」はそれぞれ同じチョコレートを使っているにもかかわらず、今回「きのこの山」の甘味が「たけのこの里」より0.21レベル高く、塩味が「たけのこの里」の方が1.82レベル高かった。また、ビスケット部分のデータに着目すると、甘味では「たけのこの里」の方が0.26レベル高い。しかし、全体では「きのこの山」の方が0.37レベル甘味が高いとされている。したがって、「きのこの山」全体の甘味が「たけのこの里」より高いのは、チョコレート部分に付着したビスケットが大きく影響していると考察する。

 つまり、「たけのこの里」派と「きのこの山」派は、「ビスケット部分の甘味」「ビスケット部分の塩味」「チョコレート部分に付着したビスケットの塩味」の3点の味覚の差による派閥なのではないだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/22/news086.jpg 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に
  2. /nl/articles/2502/21/news157.jpg 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  3. /nl/articles/2502/22/news024.jpg 釣れたアオリイカを2カ月飼ってみると…… 同じイカとは思えぬ変化に「魚より賢くてかわいい」「なんて凄い映像」
  4. /nl/articles/2502/22/news059.jpg 「17歳ってまじ?」老けて見られる長髪青年を理容師がカットすると…… 「彼の人生を救ったね」「パーフェクトだよ!」【海外】
  5. /nl/articles/2502/20/news011.jpg 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  6. /nl/articles/2502/21/news028.jpg 業務スーパーで買ったアサリを水槽に入れて120日後…… “まさかの大事件”に衝撃「うわーー」「あさりちゃーーーん!」
  7. /nl/articles/2502/22/news029.jpg 「コレ知らないと老けるよ?」 プロが教える“10歳若返る整形メイク” ちょっと工夫するだけで印象ガラリ「毎日古メイク全開でした」
  8. /nl/articles/2502/21/news145.jpg 「キスの会しよう」 華原朋美、高級接待した記者に“関係迫られる”トラブル 激怒の相手に5歳息子も怯え「あの人頭おかしいよ!」「ママやばい」
  9. /nl/articles/2502/19/news035.jpg 温かそうだけど…… 呉服屋さんが教える「マフラーの巻き方」になぜか既視感 「あの巻き方ってこうやってたの!?」
  10. /nl/articles/2401/13/news020.jpg 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後…… 「時間止まってる?」と驚愕の声がやまない父子の姿が870万再生
先週の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  4. 雑草ボーボーの荒れ地に“牛3頭”を放牧→2週間後…… まさかの光景に「感動しました」「いい仕事してますねぇ〜!!」
  5. “この子はきっと中型犬サイズ”と思っていたら……たった半年後とんでもない姿に 「笑わせてもらいました」
  6. 年の差21歳で「夫は娘の同級生」 “両親大激怒”で結婚は猛反発されるも……“まさかの行動”で説得
  7. 163センチ、63キロの女性が「武器はメイクしかない」と本気でメイクしたら…… 驚きの仕上がりに「やっば、、」「綺麗って声でた」
  8. サイゼリヤ、メニュー改定で“大人気商品”消える 「ショック」悲しみの声……“代わりの商品”は評価割れる
  9. ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  10. 「さすがに無神経な内容」 “暴言受けた”伊藤友里が降板発表→岡田紗佳の直後の投稿に批判の声 Mリーガーも反応
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議