既報のとおり、九十九電機は110億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請した。TSUKUMO eX.などの系列店はその後も通常営業を続けているが、製品の仕入れはすでにストップしている。ある店員さんは「上から“ノーコメント”を貫くように指示されていますが、店舗には何も情報が降りてきていないから、もとからコメントしようがないんですよね」と語る。仕入れの再開や今後の動向などは不透明なままだ。
九十九電機は店舗の通常営業を続けながら、再建に向けて動き出すとしているが、周辺ショップからは先行きを悲観視する声がいくつかあった。
あるショップの店長は「一度ショートすると、仕入れ先に信用されなくなります。九十九電機はそれを覆すくらいに体力をつけるしかありませんが、現在の世界的不況の中では難しいでしょう。正直、復活してほしいんですけどね……」と語る。
また、別の企業に買収されるという予想もある。これについて某ベテラン店員さんは「確かに九十九電機は全国に系列店がある。つまりは、全国のユーザーに向けて製品を販売できる機能を持っている。なので、余力のある代理店やその親会社が買収に乗り出すことは考えられるんですが、でも秋葉原だけで経営していても厳しいのに、地方もってなると、かなりの資金が必要でしょ。その余力を持つ企業が今あるのかどうか……」と声を落とす。
印象的だったのは、九十九電機について語る各ショップの話しぶりだ。これまでにも、PC-Successや高速電脳といった有名PCパーツショップが閉店しているが、その際にはジョーク交じりの楽観的なコメントをする人もいた。しかし、今回はそれがない。同情や何とか復活する手を考える声、「ウチは大丈夫です……と、言うように指示されています」(某ショップ)など、自分の身に降りかかることを懸念する姿勢が大半なのだ。
あるショップの店員さんは、最悪のシナリオとして次のような予想を語った。「11月3日には石丸電気パソコン館も閉館します。その後、もしもこのまま、純粋な自作PCショップとしては最大規模のTSUKUMO eX.が閉店することになったら、現在のアキバ自作市場にそのショックを払拭するパワーはないかもしれません。そのまま今回の件が、アキバ電気街の終焉(しゅうえん)を告げた出来事として語り継がれるとか……」。
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