シャープは4月21日、光センサー液晶を搭載した世界初のノートPC「PC-NJ70A」を発表、都内で記者説明会を実施した。シャープのノートPCは、2008年4月発売の「Mebius FW」シリーズを最後にコンシューマー市場から姿を消していたが、今回約1年ぶりに新製品が投入されることになる。実売価格は8万円前後で、発売日は5月下旬だ。
PC-NJ70Aは、1024×600ドット表示の10.1型ワイド液晶を搭載するNetbookで、入力デバイスとして搭載された「光センサー液晶タッチパッド」が最大の特徴。製品説明を行ったシャープパーソナルソリューション事業推進本部副本部長の新井優司氏は、手書き操作とマルチタッチ操作を両立した光センサー液晶パッドは「従来技術である静電容量式と抵抗皮膜式のよさをすべて兼ね備える」と紹介。マルチタッチ入力のサポートをはじめ、圧力や電気を使わないペン入力、表示品質の高さ、タッチしたものの形状まで認識できる点などを挙げ、「従来のPCにはない楽しみ方を提案できると思う。(光センサー液晶の採用は)直感的な操作への革新だ」と自信を見せた。
なお、光センサー液晶パッドを利用して行う簡易スキャン機能については、現状では搭載されていないものの、今後のアップデートで対応する予定があるという。また、光センサー液晶向けのソフトウェア開発キットの配布や、ソフトウェアベンダーとの連携、デバイス自体のOEM供給なども積極的に展開していきたいとコメントしている。
PC-NJ70Aの主なスペックは、Atom N270(1.6GHz)とIntel 945GSE Expressを組み合わせたシステムに、1Gバイトメモリ(最大2Gバイト)と160GバイトHDDという、現在市場に並ぶNetbookとしては標準的な仕様と言えるが、光センサー液晶パッドによる使いやすさを前面に出すことで、18〜20代/30代〜40代の女性層や、キーボード入力に不慣れなシニア層の開拓をめざすという。
発表会の冒頭に登壇したシャープ副社長の松本雅史氏は、新製品の登場を予告するティーザー広告とともに展開したモニター募集(1万人から100名を選出)がわずか1日で締め切らなければならないほど盛況だったことを受け、「うれしい誤算。新生Mebiusに対するユーザーの期待の表れだと思う」とコメント。また、TFT液晶を搭載した初代Mebiusや“銀パソ”の先がけとなった「PC-PJ2」、薄型かつ堅牢なボディで人気を博した「MURAMASA」シリーズなど、同社が過去に投入してきたノートPCを挙げ、同社製品がPC市場のパイオニア的存在だった点をアピールしたうえで、「いまネットワークサービスは(クラウド化によって)デバイスの垣根をこえて享受できる環境になった。その中でもノートPCは情報機器の核となる存在だ」と述べ、Netbookに“使いやすさ”という付加価値をつけた製品として「PC-NJ70A」を紹介した。「光センサー液晶による入力によって、手書きによる新しいコミュニケーション文化を創造していく。一家の2台目、あなたの1台目としてシリーズの展開をめざす」(松本氏)。
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