飲み物がなんだか分からない
日本と同じくらい台北にはコンビニがある。コンビニの種類もほとんど日本と同じだ。品揃えはと言うと、日本製品も多く置いてあるのだが、飲食に関してはやはりオリジナリティがすごい。
特に、飲み物の種類がなんかすごい。
日本に来た外国の人も同じことを思うのだろうか。自国以外の飲み物は不思議に思える。漢字やデザインからなんとなく中身が想像つくものもあれば、全くわからないものもある。個展のバタバタから逃げるように、片っ端からコンビニでジュースを買いまくった。これは、私がただ味の知らない飲み物を飲むだけの記事だ。
統一 西瓜牛乳
これは、マイベスト。一位。マジうま。これくらいボキャブラリーがなくなるほど美味い。スイカジュースを牛乳で割ったというか、スイカ味の牛乳というか……。とにかく美味しい。
うまいうまいと飲んでいたら、台湾の友達に「屋台で買ったほうが美味しいよ」と言われた。でも私はコンビニでしか飲みものを買わない。そういうポリシーを持ってやっている。
統一 木瓜牛乳
木瓜とはパパイアのことだ。こちらもかなり美味しかった。パパイアにあまり馴染みはないが、柿のようなかんじだ。たまに日本でも柿と牛乳を使った飲み物やデザートを見かけるが、そんなような味だった。もし台湾に来たときは、安心して購入してほしい。
黒松沙士(ヘイソンサースー)
これは、台湾ではお馴染みのドリンクらしい。コカコーラと並んでいるのをよく見かけるし、系統が似たビジュアルだ。
コーラの一種だろうと思ってスルーしていたのだが、台湾の人に「これ飲んで見て」とニヤニヤしながら渡された。外国人がニヤニヤしながら自国のものを勧めるときは絶対にヤバイやつだ。世間のことは全く知らない小娘だが、それだけは知っている。
断れず、一口頂戴したら衝撃が走った。アンメルツヨコヨコ味だったのだ。ドクターペッパーより強烈だ。
「うっ」となったものの、なんだろう、台湾の暑さとアンメルツヨコヨコのスースーさが妙に合う。美味いというわけじゃないがなんだか癖になる味で、滞在期間中に2回ほど自ら購入した。台湾の人は割と引いていた。
蘋果西打/APPLE SIDRA
台湾といえばこのアップルジュース。「打西果蘋」と読みそうだが、「蘋果西打(ピングォシオダァ)」だ。台湾の庶民的な居酒屋は、冷蔵庫から勝手にビールを持って来てお会計のときに瓶の数を計算する寿司システムが主流。そのビールが沢山入っている冷蔵庫にソフトドリンク代表としていらっしゃるのが、この蘋果西打。味は日本のアップルソーダよりも少し甘ったるい感じだ。
全く話が逸れるが、
調べていたらソーダをテイスティングするだけのYouTuberがいた。
もう一つ話が逸れるが、二番目の写真、手が合成みたいですごく怖くないですか。
檸檬小紫蘇
レモンジュースにツブツブが入ったやつだった。名前の通りだった。
スカッとしていて美味しい。小紫蘇というのは、台湾でよく飲み物に入っているカエルの卵のようなツブツブのことっぽい。
台湾のヤクルトがなんかおかしい
スーパーに行ったときのこと、台湾のヤクルトがおかしくなっていることに気づいた。
なんだか、凄くデカイのだ。
ヤクルトの良さといえば、あの小ささにある。クッと飲めるあの小ささがヤクルトのアイデンティティでもあるのに、なぜ片手で持つのが辛いほど大きくしたんだ。アメリカか。
コンビニで一回り大きいものがあったので購入して飲んでみた。
それが、びっくりしたのだが、ヤクルトではなかった。ピルクルと緑茶を混ぜたような味だった。どうやらキャップが緑色なのは緑茶味を表していたようだ。マジかよ。
一口飲んで「緑茶!?」とびっくりしたものの、なんだか妙に美味しい。ピルクルと緑茶が合うなんて……。しかも寒天のようなものも入っている。これは、大きい容器で作りたくなる気持ちがわかる。
金蘋果
これもまたヤクルトのような入れ物。アドベンチャー・タイムのパッケージが可愛いのでただ買ってみた。リンゴ味の乳製品という感じだった。
統一 多多
パッケージが怖すぎて購入したけれど、ヤクルト的な感じのお味だった。
アスパラガスジュースで脳がパーンとなる
純萃喝
台湾で一番ハマったのはこのボトルのシリーズだ。ものすごく可愛いというところで、私の中の飲み物ポイントが上昇する。
コーヒーとお茶があり、模様が変わっている。
正直なところ、コーヒーは想像通りの味だけれど、グリーンミルクティーは少し違和感があった。日本人の飲み物リテラシーからすると、緑色のパッケージは「抹茶」として想像する。英訳が「GREEN MILK TEA」だったこともあり、無意識のうちに抹茶ミルクの感覚で飲んでしまったのだ。しかし、実際はよく分からないお茶に牛乳を足した感じだった。検索してみるとジャスミン茶と緑茶をミックスした飲み物のミルクティーだそうだ……。
とりあえず何でも混ぜてみる。そうすれば新しいものが生まれるかもしれない。台湾人の哲学を感じた。
また同じシリーズで日本語のものが発売されていた。味は特に日本人向けにされているわけではない。
健酪乳酸飲料
こんなに爽やかなキャラクターは見たことがないなと思い、購入した。
これはかなり見た目通り。カルピスに近くて飲みやすかった。
と、こんな感じで飲んだことのない飲み物を試してみた。しかし、私は完全に安牌をいっている。コンビニで飲み物を選ぶときにチラチラ目に入るヤバいパッケージのものを見て見ぬふりをしていたのだ。観光地に行かずともこの国を感じたい。意を決し、試してみることにした。
津津蘆筍汁
全体的に不穏なパッケージに惹かれて購入してみた。アスパラガスジュースと書いてある。野菜ジュース的な感じかな、と思い一口飲んでみたら、脳がパーンとなった。人は液体を味わう時、温度と味を感じると思う。舌咽神経から孤束核で中継され、大脳へ行き味覚を感じることができる。しかし、このアスパラガスジュースを飲んだら、孤束核とかそういうのを通りこして、直接大脳に行きパーンと破裂させるのだ。電子工作で例えると、抵抗をいれずにLEDに9Vの電流を流したときみたいな感じだ。
裏面。飲んだあと、アスパラガスを赤いリボンで包んでいる感じやアスパラガスのゆるキャラにまで怒りが湧いてきてしまった。
生活泡沫綠茶
色々な人がダンスを踊っている。そんな素敵なパッケージだったので購入してみた。
飲んでみるとどうだろうか。パッケージに書いてある「緑茶」という文字は嘘だということがわかった。今私が口にしているのは、緑茶ではなくて砂糖水だ。そう感じたのだ。小学生のときにクラスでカブトムシを飼育していたのだが、そのときエサで砂糖水をあげていた。お世話がかりになった私は、我慢できずに砂糖水をペロッと舐めたことがあったのだが、そのときと同じ味がした。
誰だって嘘はつく。私だって数え切れないほど嘘をついてきた。許していきたい。
ちなみに裏にはクイズがあり、楽しい。
もっともっと、過激へ・・・
台湾の滞在も1週間を超えたころ、ふと「台湾のコンビニでジュースを買うようにしているんですよ」と現地の方に言った。すると、ニヤニヤしながら「~とか、~とか、~も飲まなきゃね」と、ガンガン進めてくるのだ。台湾は美食の国。美味いものを来た人に食べさせようとする熱量もあるが、マズイ飲み物を勧める熱量もすごい。
私もその期待に応えるために沢山購入してみた。もうユーチューバーだ。いや、ユーチューバーではあるんだけど……。
維大力 VITALI
コンビニの飲み物コーナーの端のほうに追いやられていたドリンク。味の想像が全くつかない。パワーの字があるから、エナジードリンク系か……? と思い飲んでみると、一寸の狂いもなくデカビタだった。
加多賓
やはり、字しか書いていない飲み物は情報が少なくて怖い。「涼」と「茶」という文字から、少しだけ味を想像してみたものの、残りの90パーセントが全く理解できず怖くなってしまった。あと、上のラーメンのお椀に書いてあるような模様も謎だ。ミステリーだ。
飲んでみると、甘いお茶だった。さきほど紹介した「生活」よりかは甘くない。かすかにお茶の気配を感じられる。たまにお茶が顔をだしてくれる。
半天水鮮剖100%純椰汁
おじいさんが丸いなにかを持っている絵が描かれている。先ほどの2つより、絵がある分情報が多いと思いきや、全く何も感じられない。ただ、「COCONUT」という文字があることに気づいた。これは、100パーセントココナッツジュースではないだろうか! ココナッツジュースといえば、成城石井とかで売っていておいしいやつだ。
しかし、一口飲むと青臭さが口の中に充満した。なんというか、こう、雨の降った後の街を飲んでいるような感じがする。おじいさんはヤシの実を見ながら、何を考えているんだろう。
鶏精
コンビニのサプリコーナーに置いてあるこちらの飲み物。四角い箱に入っている。
台湾に住んでいる人曰く、マラソン大会で配ったりしている元気になる飲み物らしい。小さい瓶ということもあり、精力剤のような感じだろうか。ちなみにこの量で1つ280円以上もした。
元気が欲しくなったので、購入してみた。
思っていたのと違う色の飲み物がでてきた。
真っ黒だ。タミヤカラーのようにも見える。色を見てしまったら味の想像が全くできなくなった。恐る恐る口に運ぶ。
……なんだこれは。なんだ。なんだろう。木の皮を剥がして食べているような、そんな気持ちになってくる。あと、自然と涙がでてくる。うろたえていると、台湾に住んでいる日本人に、「スープだと思えば大丈夫だよ」。なるほど、と思いもう一口飲んでみたが、やっぱり涙は止まらなかった。
「スープだと思って」と言ってくれた日本人(漫才少爺・三木さん)に残りをあげたら、3口ほど飲んで「うん、やっぱりダメだ」と言っていた。
パラレルワールドなコンビニで観光欲を満たせた
台湾のコンビニは、パラレルワールドのようで面白い。日本で毎日のように行く店の中に、全く知らない食べ物や飲み物が置いてあるのは不思議だ。馴染みのある商品たちとパッケージからは想像もつかない商品が入り混じっているコンビニにいるだけで、なんだか楽しい。観光はもうコンビニでいいんじゃないだろうか、そう思いつつも次に来るときはもっとゆっくりスケジュールを組もうと思った。
ちなみに台湾で一番食べたのは「インド風カレー」という名のよく分からないプレート料理だ。ケチャップがかかった食べ物にカレーをかけることで完成される。2週間のうち、4日ここで満たした。不思議でうまい。