1月10日にがんとの闘病の末他界したデヴィッド・ボウイをブライアン・イーノが偲んでいて、息を引き取る1週間前にメールを受け取っていたことを明らかにしている。
ブライアンとデヴィッドのコラボレーションは70年代のベルリン三部作と呼ばれる『ロウ』、『英雄夢語り(ヒーローズ)』、『ロジャー(間借人)』が特に有名だが、最新のコラボレーション作品だった1995年の『アウトサイド』を振り返りつつ、なにか新しいところへと持っていけないかという話を生前にデヴィッドとしていたと明かしている。BBCで公開した声明でブライアンは次のように偲んでいる。
「デヴィッドがやってきたほかのすべての活動と同様、デヴィッドの訃報には本当に驚かされました。なにかぽっかりと大きな穴が空いてしまったような心境です。
デヴィッドとは40年来の知り合いになりますが、いつもピート・アンド・ダド(コメディアン・コンビ)の仲を思わせるような友情を育んできたように思います。ここ数年はデヴィッドはニューヨーク住まいで、ぼくはロンドンということもあって、ぼくたちのやりとりはもっぱらメールによるものでした。いつもお互いにでたらめな名前でメールを締め括っていたものですが、デヴィッドがよく使っていたのは、ミスター・ショービズ、ミルトン・キーンズ、ローダ・ボロックスとザ・デューク・オブ・イア(耳公爵)というものでした。
1年くらい前にぼくたちはふたりで一緒に制作した最後の作品となっている『アウトサイド』について語るようになっていました。ぼくたちはふたりともこの作品がとても気に入っていたのですが、どうもちょっと見過ごされている感じがしていたのです。そこであの作品に立ち戻ってみて、そこからなにか新しいことができないかと話し合っていたのです。ぼくはこの話をとても楽しみにしていました。
デヴィッドからは7日前にもメールをもらいました。いつものようにおかしなメールで、シュールで、言葉をかけたりほのめかしたりと、ぼくたちがいつもやっている遊びに満ちた内容でした。最後に次のような一文がありました。『ブライアン、楽しい時間をありがとう。きみとの思い出は朽ちることはないよ』。署名はドーン(日の出)となっていました。
今になってデヴィッドはさようならといっていたのだとわかりました」