マッサージとは、対象の体を擦ったり揉んだり叩いたりする事で血流を改善し、筋肉の緊張を解す事を言う。その歴史は古く紀元前にまで遡る。行為だけなら有史以前からだ。日本においては按摩と称され、江戸期には主に視覚障害者の専門職として一般に広まった。
無論、現代でも至る所で気軽に行われている。職業として請け負っている者だけでなく、子供から年寄りまで対象者施術者は老若男女に関わり無くだ。
しかしながら厳密にいうと、マッサージ行為を行っていいのは、国家資格を持つマッサージ師と正規の医師のみなのである。じゃあ子供の肩叩きもアウトなのかと言えば、流石に法律もそこまで頭は固くない。
法で規制されるマッサージは「体重をかけ、対象者が痛みを感じる強さで行う行為」である。軽く肩を叩くくらいは楽々セーフだ。それに、警察が動くようなマッサージ犯罪は、無資格者がマッサージを業務として客から金を取るといったものである。カイロドクターや整体師がマッサージ師の資格無しにマッサージを行うのはアウトなのだ。学校の体育教師が生徒に本格的なマッサージをするのも、かなり黒に近いグレーだったりする。
何故なら、マッサージはれっきとした医療行為だからだ。純粋な親切心からであっても、身体に害をなす可能性がある限り、素人がやってはいけないのである。
俺が高校を出てマッサージの専門学校に入ったのは、祖父がマッサージ師だったからだ。影響とか薫陶を受けたわけでなく、治療院の看板を掲げて開業していたのである。就職に悩まなくて良かったのだ。
それに慢性的な胃痛を抱えて会社に向かう父の姿を見て、サラリーマンは辛そうだと思ったからでもある。年寄りの増える時代で需要も多かろうし。
そういう訳で専門学校に進み、首尾よく「あん摩マッサージ指圧師」の国家試験に合格。ついでに友人に引き摺られて「アスティックトレーナー」と「健康運動実践指導者」の資格も取得。前者はスポーツ選手の健康管理や怪我の予防に関わる物で、後者は選手のみならず幅広く一般の人に健康の為の基礎トレーニングを指導できるという、どちらも民間の資格だ。
勉強は大変だったが、友人一同で「若い女の子の体を合法的に触りまくる!」を合言葉に頑張った。下心は偉大である。
そういう訳で、晴れて祖父の治療院に正規のマッサージ師として就職。思惑通り、中高生のスポーツマッサージを一手に任された。無骨な男子学生は程ほどに荒っぽく、可愛い女の子には丁寧かつ丹念に。
もう何と言いうか国家資格の力は絶大である。下着姿になった中高生の女の子を思いっきり撫で回して給料が貰えるのだ。選んだ道は間違いでは無かった。まあ汗臭い男共の相手もしなきゃならないのは我慢の一言だとしても。
こうして年月が過ぎ、オナニーのネタに困らない生活を送っていた俺は、一つの風評に眉を顰める事になる。
ちょっとした噂になってしまったのだ。俺の事が。
女の子を触りまくるエロマッサージ師として――ではなく、特に若い女の子のスポーツマッサージに定評があると、逆に有難がれたのである。
まあ自分で言うのもなんだが、それは確かかもしれない。プロになって数年、女の子の体は熱心に丹念に入念に丁寧に撫でまくっていたのだから。ついでに体調管理やトレーニングの相談も親身になって世話をしたし。
一つの契機になったのは、マッサージを手掛けた女子高生のインターハイ優勝だった。水泳の自由形で日本記録に並ぶタイムを叩き出し、一躍脚光を浴びたのである。彼女は世界水泳や五輪の強化選手にも指定され、インタビューにはこう答えた。
『支えてくれた友人と家族、何よりマッサージの先生のお陰です』
名前を出して貰えなかったコーチ涙目である。
絶賛された俺は市内外の学校やスポーツジムから引っ張りダコとなった。若輩者ながら某実業団や、とあるスポーツ協会が専属契約の話を持ってきたくらいである。だが俺は専属の話は丁重に断った。
「より多くの人に自分の力を役立てたい」というのが表向きの理由だが、言うまでもなく、より多くの女体を撫で回したいというのが本音だ。無論、活動の場所が広がるのは歓迎であるから「必要ならどこにでも行きますから呼んでください」と名刺を渡すのは忘れなかった。
そうやって各種のスポーツイベントにマッサージ師として顔を出すようになった俺は、いずれ「奇跡の手」とまで称されるようになる。が、それはまだ先の話だ。
とある冬の事。俺はさるスポーツの協会から依頼され、一件のホテルに赴いた。
用件は言うまでも無い。選手へのマッサージである。大事な試合を明後日に控えているが、最終調整が上手く行かず、筋肉に疲れが残って張っている。どうにかマッサージで体を解して欲しいという事だ。
「じゃあ、始めるからね。服を脱いでベッドにうつ伏せになってくれるかな」
「は……はい。その、お願いします」
鹿嶋祥子さん。18歳の高校3年生で、フィギュア・スケートの若きホープである。顔立ちこそ地味で大人しめだが、体を目一杯使う伸び伸びとした動きは評価が高い。ただ、子供っぽさが抜け切れておらず、頑張っているという印象はあっても優美さに欠けると言われているそうな。
よし、その辺の艶っぽさも引き出してあげよう。
本人及びコーチやトレーナーを交えたミーティングの後、彼女の部屋で2人きりになって服を脱がせる。飾り気は無いが、清楚な白いブラジャーとパンツが目に麗しい。
「腕を広げて、ちょっと足も開こうか。そう、気を楽にして」
事前に「先生の指示には全て従うように」とコーチの口から言わせているので従順な物だ。顔は真っ赤だが、ちゃんと素直に足も開く。
「んっ、ん……」
先ずは背中側に手を触れ、筋肉が云々疲労が云々と言いつつ若い素肌を撫で回す。一応専門家なので、普段どういう練習をどれだけやっているかピタリと当てる。そうなると体のどこをどう触られても祥子ちゃんは黙るしかない。
大人しく可愛らしい童顔で一見すると華奢な体つきだが、流石に鍛えられているだけに弾力的で柔軟性がある。太ももなど見かけによらずムッチリ感が素晴らしい。
「ん……くぅ。あ、あの……」
「足を上げたままにする機会が多いよね。付け根の部分が固くなってる」
「あ、はい。んっ、ん」
下着の線ギリギリを指一本はみ出した辺りに手を置き、内腿を振動させたり撫で擦ったりする。後2cmで下の唇という距離だ。祥子嬢も流石に戸惑う。だがやっている事はちゃんとマッサージである。こんな所を酷使する方が問題なのだ。
手に吸い付くような白く滑らかな肌の感触を楽しみつつ、パンツに覆われた性器を鑑賞する。それを脱がして一方的に触れるのは如何せん医者だけだ。そして自分から脱いで「触って下さい」と言わせるのがマッサージ師の腕の見せ所でもある。
両足の付け根を丹念に揉み解すが、今の所、彼女の性器に変化は無い。だが、まあ焦る事は無い。時間もあるし、これからが勝負だ。
「ん、あ……んむ。んっ、ふう……ふう」
肩から足首まで、間接の周辺は優しく、そして筋肉はやや強めに撫で擦る。同時に背骨の脇にあるツボを親指で指圧。体中で滞っていた血流を解放する。これに、自分が楽しむための愛撫を織り交ぜて、丁寧に体を解しつつ丹念に彼女を味わう。
「全身が熱くなって来たろう?」
「は……はい。先生、私……凄く、ポカポカしてきました」
「うん。血行が早くなって新陳代謝が活発になってるんだ」
「んッ! ふぅ、はぁ……は、はい」
疲労回復の為の血行促進マッサージに隠れて性的な愛撫を施された祥子ちゃんは、大分息が上がってきた。肌も上気して赤味が差し、しっとりと汗をかいてもいる。体中がジワジワとした感覚に覆われてきた筈だ。その中に性感が潜んでいるとは気付かずに。
頃合と見て、彼女の体を仰向けにさせる。
子供っぽいと言われているが、中々どうして色っぽい顔も出来るじゃないか。俺は内心でニンマリと笑みを零した。
すっかり力の抜けた祥子嬢は、目をトロンと垂れ下げ、頬を赤く染めてボウッと俺を見上げている。実に良い兆候だ。もう少し可愛がれば自然と甘い鳴き声を上げるだろう。
「じゃあ、前の方もマッサージするからね。もう少し腕を広げて」
「ん……ぁ、はい。ふぅ、ハァ――っ! ん、んんっ」
横から細い胴体を挟むように両手を脇に当て、ゆっくりと上下させる。腕の付け根から脇の下を通り、大胸筋の横から骨盤に至るまで。真面目な顔を装って撫で擦る。例によって腕の振り上げ方がどうだの、腹筋が苦手だろうだのと口々に言いつつだ。
「うーん、ここん所の疲労度が高いな。トレーナーさんにも伝えておこう」
「はっ、ハァっ……ん。んっ」
かなり盛り上がってきた祥子ちゃんを前に、メモを書き付けて見せる。振りだけでなく、ちゃんと仕事も兼ねてだ。理想の動きを想像して鍛える場所とトレーニング法を決めるのがトレーナーなら、筋肉の疲労度を見て必要な鍛錬ポイントを見つけるのがスポーツマッサージ師である。これがピタリと的を射るから、俺は選手本人だけでなく関係者一同からも信頼されるようになったのだ。全ては不自然なく女体に触れるための前振りであるにしても。
「良し。じゃあ、ちょっと体を起してくれるかな」
「あ……ん、んしょ。んんッ、ハア……ふぅ」
「うんうん。後ろに座るからね、君は力を抜いて。そう、持たれかかっていいから」
「はぁ、はァ……ん。はい、先生……んっ、ふぅ」
ベッドに登り、彼女の背後で膝立ちになる。そして祥子嬢の体格に合わせて腰を下げ、最終的に爪先を立てた正座になった。その体勢で彼女の腰に手を回す。
傍目から見れば後ろから抱き締めている感じだ。
「腕を上げて、そして大きく息を吸う」
「はい。こう……ですか?」
スゥーと俺の言う通りに肺一杯に空気を溜めた祥子ちゃん。かれこれ30分以上も撫で擦られ続けただけに、ちょっとやそっとでは驚かなくなっていた。何の疑いも持たずに力を抜いて、こちらに身を預けてもいる。
「ん――っ!? んっ、あぅ。んっ」
「そのまま。もう一度息を吸って。うん、分かるかい? 大胸筋が疲れているのが」
「あ、んっ。は、はい……。何か、張ってる感じ……です」
ただ、やはりそっと胸を持ち上げられると驚いたようだ。ビクリと震える。が、そこはそれ、何故なのかをちゃんと説明すると黙って受け入れた。
胸ではなく、乳房の下にある大胸筋を解す――のを、ついでとして、俺としてはやっぱり乳房目当てで触っているのだが。
「目一杯、背中を反らしてー。そうそう、良し、力抜いてー」
「はい……ん。んんッ、んぁ。は……ふぅ」
「今度は肩を後ろに反らしてー。うん、良し、力抜くー」
「はぅ――っ! ん、んぁ。あッ、あ……」
手の平にすっぽり収まる小振りな胸を下からムニュッと持ち上げつつ、彼女に身動きを要求。自分から体を動かさせるのがポイントだ。背中を反らせれば、戻った反動で俺の手の平に乳房全体が収まり、肩を反らせれば戻った反動でやはり胸が俺の手の中に飛び込む。
祥子嬢にしてみれば、自分から男の手に胸を擦り付けているという格好である。大胸筋マッサージの為に俺の手はグイッと押し付けてあるので、もう思いっきり胸を揉んでいるのと変わりないのだ。
そして既に固くなり始めていた乳房の先端が、何回かこれを繰り返す内にピンと尖ってきた。カップ無しの柔らかいブラジャーだからそれが良く分かる。乳輪も僅かに膨らみ、手の平を擦る感触が明らかに変わっていた。
「はぁ……ハァ。んっ、んはぁ……あンっ」
「うん? ちょっと疲れたかな?」
「あ、その……大丈夫、です。続けて――下さい」
「分かった。苦しかったら言ってね。じゃあ、背中反らすー」
「んんんっ、んふぅ。はあ……んあ、あッ!」
完璧に思惑通りであった。祥子ちゃんは形だけでなく、自分から胸を俺の手に当てて来るようになったのだ。脳ミソに行き渡る酸素が減って思考力が低くなっているのだろう。目を潤ませてこちらの手の平に乳首を擦り付けている。吐息も一段と熱くなり、呻き声も鼻に掛かるようになった。チラリと下を見れば、両太ももをモジモジと微妙に擦り合わせている。
もう一押しだ。もう少し優しく刺激すれば、彼女は俺の手の虜になってくれるだろう。そう判断し、俺は手の角度を僅かに変え、少しだけ指を開く。彼女が動く度に、その乳首がこちらの指に挟まれるようにだ。そして固くなったポッチが指の股を掠める瞬間、ホンのちょっぴり指を閉じる。
「んあぁ……あっ! んああッ。ん、ふぅ……あ、やぁ。先生、私……んっ」
「どうした?」
「胸が……体が、その……ジンジンして。んっ、んむ。あンっ。こ、こんな気分になるなんて、んふぅ。あ、あん……おかしいですか?」
「いいや、そんな事無いよ。体の活性化に伴って性的衝動が沸くのは自然な事なんだ。お腹がすけば、ご飯が食べたくなるだろう? 生きた人間なら当たり前の欲求なんだよ」
そんなマッサージの教科書のどこにも書いてない無茶理論で諭しつつ、宥めるように優しく腰を抱き、頭をポンポンと撫でる。今の今まで信頼しきって体を委ねてきた相手だけに、祥子ちゃんは何の疑いも持たずにうっとりと目を細めた。
プロの技術で全身を解きほぐされ、愛撫され捲くった後である。男に免疫なさそうな女の子が性の衝動までもやんわりと肯定されてしまっては、我を忘れて悦んでしまっても仕方がなかった。
「んっ、んふぅ。先生、先生……その。お願い、私……んっ、このままじゃ」
「僕で良いのかい?」
「だ、だって。んぁ……私、先生に。んっ、んーっ! あ、あ……っ」
俺の腕を抱え、スンスンと鼻を鳴らす彼女の姿に内心で快哉を上げる。最後の仕上げだ。トロットロにしてしまおう。
「分かった。じゃあ、コレもとって良いかい?」
「は……はいっ。あんッ、ん……はぁ。あ、ぁ」
優しげに頷いて見せ、キュと抱き締めてから白いブラジャーの肩紐に手を掛ける。そして向こうが頷いたのを確認し、おもむろに俺はブラジャーの肩紐をずらした。祥子ちゃんは恥ずかしさの余り顔を横に向けているが、一切の抵抗はない。ウズウズ感が体内に堪ってしまい、どうしようない様子だ。しきりに体を震わせ、荒い息を吐いている。
背中のホックをプチと外し、ゆっくりと白い下着を彼女の腕から抜く。我ながら感動の瞬間だ。
慎ましくも形の良い、小振りな胸が姿を現す。乳輪は充血して尚も桜色。自己主張する乳首も可愛らしい。見た目にも柔らかそうな膨らみは、しっとりと汗ばんで艶やかだ。
思わず「ほぅ」と溜息が漏れる。それを耳にした祥子ちゃんは今になって緊張を始めたのか、顔を伏せて胸を隠してしまった。だが頬とお腹に手を当てて優しく撫でれば、やがて「くぅん」と鼻を鳴らして力を抜く。
うむ。実に組し易い子だ。
「あ、あっ! ん、胸……気持ち、良い。んっ、んああぁ」
そして今度こそ普通に乳房を愛撫。生乳の感触を楽しみ、彼女にストレートな快感を与えていく。力を込め過ぎず、だがちゃんと揉まれる事の良さが伝わるように。角度を変え、強弱をつけてネットリと。合間合間にプクっと膨れた乳首も撫で擦り、先端の突起を指の腹で摘み上げ、押し潰す。
「はッ! あ、あぁ、やぁ……こんな、胸、気持ち良いの、知らなかった」
半開きになった彼女の口から悦びの悶え声が漏れる。だらしなく歪んだ顔が歓喜とも淫らともとれる表情を作っていた。気持ち良さの余り朦朧としてきたのか、目の焦点が半ばズレているようだ。そこまで喜んで貰えるとは、こちらとしても男冥利に尽きる。
「あああ、あン! せ……先生。んっ、そっちは……ん、ああッ!」
「足、開いてくれるかな? 怖くしないから、ね?」
「んっ、んんっ! だ、ダメぇ。んんあッ、か、感じすぎて……私、わたし」
そろそろコッチも責めてみようかと、俺は腕を伸ばして祥子嬢の股間に触れる。白い下着は既にしっとりと水気を纏っていた。軽く擦れば徐々に蜜が溢れだし、やがて布地がヌルヌルとした粘性の液体に濡れて性器に張り付くようになった。
そんな自分の変化に彼女は弱々しく足を閉じるが、快感を求める本音には逆らえず、俺の言う通りに股を開く。
「んーっ、あ、あッ! やぁ、体の奥が、震えて……止まらな、んぁ、あッ」
焦らずゆっくり、ジワジワと割れ目をなぞり、確実に祥子嬢から快感を引き出す。陰唇の薄さを確かめながら、僅かな痛みも感じさせず、ただ快感だけを与えるのだ。何しろマッサージ師である。人体の手探りはお家芸だ。
「ひぅ……ふぁ、あッ! せ、先生……先生っ。んっ、私……んんッ」
下着越しの緩やかな愛撫が余りにももどかしかったのか、目に涙を溜めた彼女は、震える手を必死に伸ばして自分からパンツを下げた。そしてポロポロ泣きながら俺の腕を取り、露出した股間に押し当てた。
「お、お願い……せんせ、い。んっ、もっと……もっと、してっ。ああンっ」
いや中々に根っこの部分は積極的だ。フィギュアスケートという舞台で観衆の前に立つだけはある。大人しくて素直なだけの子ではないのだろう。
「あああンっ! あ、ああ……私、こんなの――んッ! あ、気持ち、良くて。んッ」
リクエストに応じて直に性器を撫でる。僅かに開いた大陰唇に指先を埋め、割れ目の内部を上から下、そして下から上へと。膣口、尿道口、クリトリスを順に刺激された祥子ちゃんは、ワナワナと腰を揺すって悶え喘いだ。完全にのめり込んでいるようで、甘い叫び声を抑えようともしない。
声がドアの外に漏れてたりしないだろうなぁと、少しばかり冷や汗物だが、まあ大丈夫だろう。言葉にならない叫びならマッサージの一貫だと思ってくれるだろう。
「んはぁっ! あ、あッ。や、やぁぁ……先生の指が、あ、あッ! 入って……」
頃合を見てツプと中指を膣口に挿入。だが第一間接の先だけだ。傷など残さないよう注意を払ってクチュクチュと掻き回す。体の中に異物が侵入するのは僅かであっても恐怖感があるのだが、ここまで乱れていれば快感が上回る。彼女も顔を歪めてパクパクと口を開閉したが怯えの色はない。
「先生……ん、あぁっ! せ、先生、私――んあぁ。気持ち、良いの」
「そうか。うん、良し良し」
タラタラと股間から愛液を漏らし、全身を細かく震わせて祥子ちゃんが俺を見上げる。体の中が快感で飽和状態になっているようで、異様なまでに幸福そうな顔だ。深く悶えながら背中をこちらの胸に擦り付け、ハフハフと浅い呼吸を繰り返す。
正に夢見心地といった所か。初見の女の子をここまで連れて来れるようになった自分を褒めたい。
「んっ、あ、ああ……んっ! 先生、何だか……あっ、私、んんっ」
「大丈夫。怖くないからね。全部、受け入れて大丈夫だから」
「ん……っ。う、うん、あぁ。あッ! ひッ、く、来る……の。す、凄いの」
ただ夢のような時間には必ず終わりもあるもので、一時は体中に広がって妙に安定した快感が、再び渦を巻いて膨れ上がったようだ。初めて体験する怪物のような快感に、彼女は喘ぎながらも身を竦ませた。それを我ながら胡散臭いほどの猫撫で声で宥め、片手で腰を抱いて安心感を与える。
だが、そろそろトドメを差してあげるとしよう。快感も過ぎればトラウマになりかねない。
「ん、あああっ! 気持ち、いっ! い、いぃ……あ、あッ。んんっ」
俺は抱いた腰をキュッと引き寄せ、片手で祥子嬢の股間に最後の刺激を送った。中指の先端を膣口に出し入れし、親指で僅かに顔を覗かせているクリトリスを擦る。胎内に生まれた大きな快感が急激に暴れ出したようで、彼女は目を剥いて仰け反った。だが恐怖や嫌悪を感じる暇はなかったろう。
「んあああッ! 先生ッ、せ、先生っ! あ、あぁんッ。んあぁッ!」
中指を入れた膣が急に狭くなり、祥子ちゃんが一際高い悲鳴を上げた。細い腰に巻きついた俺の腕を両手で掴んで背中を弓なりにし、全身をブルブルと痙攣させる。かと思えば前傾してくの字になり、そしてまた仰け反る。
倒れる時はやや苦しげだが、仰け反る時はパァッと花が開くような幸福感に満ちた顔だ。実に良い果てっぷりである。
「んふ……んっ。はぁーっ。ふぅ……んっ。先生、せんせぃ」
「うん。どうかな、気持ち良くなれたかい?」
彼女は一通り強烈な快感が過ぎた後も、間を置いて何度か細かい痙攣を繰り返した。真っ当な全身マッサージに続いての事だから息も絶え絶えだ。グッタリと俺に寄りかかり、だが優しく抱き締めれば心底気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
出来ればこのままお持ち帰りしたい所だ。だが、そうもいかないのが辛い所である。もう少しイチャイチャするだけで我慢しよう。俺の立場ではそれが限界なのだから。
暫くの後、自分を取り戻した祥子嬢が真っ赤になって俺から離れ、替えの下着を身につける。だがパンツを穿き、ブラジャーを身に着けた所でフラフラーッと倒れた。予想していた事なので軽く受け止め、抱き上げてベッドに寝かせる。
「あ、そ、その。有難う御座います」
「うん。それより、さっきので筋肉使ったからね。軽く解しておくよ」
「え……あっ。そ、その。は……い」
自分がさっきまでどんなだったかを思いだした彼女は、一声唸って羞恥に悶えたが、それでも素直に体を広げて力を抜く。全くやり易い子である。
「今日は夜まで体がグッタリしている筈だから、もう運動はしないように」
「はい。ん……んっ」
「夕食は軽く。でもデザートに果物をたっぷり取る事。果汁100パーセントのジュースもいいね」
「ひゃくぱーせんとの、んっ。ジュース。あ、んっ! はい」
「明日の朝もちょっとダルいかもしれないけど、午後にはスッキリするから安心して」
「は……い。はぁっ、ふぅ――んっ」
「よし、これで終わりだ。お疲れ様。今日明日、体を冷やさないようにね」
「はい。ふぅ……はぁ、有難う、御座いました」
軽く全身をマッサージし、愛撫で凝ってしまった筋肉を弛緩させる。手渡したジャージを着るが、上着の前を閉めた時点で祥子ちゃんはグッタリと横になってしまった。まあ、マッサージ、エッチ、マッサージのトリプルコンボだ。如何に鍛えてあるスポーツ選手でも、暫くは起き上がれまい。
「せ……せんせ、い。あ、あの……また、マッサージを」
ベッドの上掛けを剥ぎ、そこに転がしてシーツを被せる。彼女は名残惜しそうに俺の袖を掴んでいたが、やがて睡魔に負けて安らかな寝息を立てた。
パーフェクトに任務完了だ。満足気に頷いて自分の健闘を称える。後は帰って抜くだけだ。
ベッドサイトのメモ帳に『応援しています。頑張って!』と書き残し、俺は彼女の部屋を後にする。ドアの前に怒りで茹蛸になったコーチやトレーナーがいなくてホッとした。どうやら祥子ちゃんの鳴き声を聞いた者はいなかったようだ。
「あ、マッサージの先生。随分、時間を掛けて下さったようで、スイマセン」
「いえいえ、とんでもないです。仕事ですから」
「どうです? 明後日の試合に間に合うでしょうか?」
「ええ。若いですし、実に良く鍛えられてますから。明日の午後には回復するでしょう。試合には最高のコンディションで望めると思います」
「おお! 流石ですな。いやぁ、来て下さって有難う御座います」
ホテルのロビーでお茶を飲んでいたコーチとトレーナーに挨拶し、警戒する事も無かったかと苦笑する。それに呼んでくれて嬉しかったのはこちらも同じだ。彼女のマッサージには是非また呼んで欲しい物である。
一応は真面目に書き付けたメモを「今後のトレーニングの参考に」と渡し、一仕事終えた男の顔で、颯爽とホテルを出る。
同期の連中も今頃は女の子をしっぽり濡らせているのかね、とか考えながら。
一日おいて翌々日。
午後の診療を終えてテレビをつけると、一昨日たっぷり可愛がった鹿嶋の祥子ちゃんがドアップで画面に映って驚いた。しかも泣いている。ガン泣きだ。が、嬉し涙のようで胸には金のメダルが輝いていた。
アナウンサーによれば『一皮剥けて、演技に艶が出た』とか何とかだそうな。そしてリプレイが画面に映し出された時、俺は思わず頭を掻いた。銀板に綺麗な弧を描く彼女の表情が、イった後のうっとり顔そのままだったからだ。
艶っぽさを引き出そうとは思っていたが、ちょっと引き出し過ぎたかもしれない。
女性アナウンサーにインタビューを受けた祥子嬢は、涙で顔をくしゃくしゃにしながらもこう答えた。
『マ……マッサージの先生に優しくして貰ったお陰ですっ!』
さて。
暫く身を隠す準備でもしようかね。
――了。